仕事も楽しくなってきてお金もそれなりに稼げるようになってきたウートピ世代。
モノを選ぶ時にも生活の質や仕事のパフォーマンスが上がって、気持ちも上がるモノが欲しい! と日々感じている読者も多いのではないでしょうか。本当にいいモノだったら価格が高くても構わない。
そんな働く女性の間で話題になったのが昨年、ダイソン初の美容家電として発売されたヘアードライヤー「ダイソン スーパーソニック」。4万5000円という価格帯ながらもヘアードライヤーの概念を壊す斬新なデザインとパワフルな風力で、グッと女性の心もつかみました。
「吸引力の変わらない」掃除機や、羽根のない扇風機など、製品を出すたびに新たなファンを獲得しているダイソン。その裏側にはきっと独自の哲学(フィロソフィー)があるはず。というわけで、ダイソンでコミュニケーションズ マネージャーを務める山崎史(やまざき・ふみ)さんに話を聞きました。
個性的なデザインが生まれる理由
ーーダイソンの一度見たら忘れられないデザインはどうやって生まれるのでしょうか?
山崎史さん(以下、山崎):実はダイソンにはデザイナーはいないんです。エンジニアが製品を開発して、必要な機能が最大かつ最適なパフォーマンスを発揮することを考えた結果があのデザインになるというだけなんです。
ーーデザイナーがいないというのは驚きです。では、エンジニアはどんな発想で開発をしているんですか?
山崎:ダイソンのエンジニアが大事にしているのは、日常生活における問題をエンジニアリングや新しいテクノロジーで解決することです。製品開発は、エンジニアが日々過ごす中で感じるフラストレーションや疑問をきっかけにスタートします。たとえば「ゴミを吸うのが仕事の掃除機。その掃除機のベストなパフォーマンスはどんな掃除機であるべきか」というようなことですね。
ーー「今はオシャレな家電が注目されているから」「意識が高い層にウケるデザインにしよう!」といった、いわゆるマーケティングの観点から製品開発がスタートするのではないのですね。
山崎:そうですね。マーケティングを起点に製品開発を行う企業では、まずどのような製品を作るか決定し、そこにどんな機能を入れたらいいかを考えると思います。けれどもダイソンの場合は正反対の方法を取ります。つまり、機能を先に開発し、それを活かすためにどのような製品を作ればいいか考えるんです。掃除機、空調家電、ドライヤー、照明など、製品のカテゴリーに一貫性がないのはそのためです。
LED照明「CSYS」の発想は宇宙から?
ーーエンジニアが「日常生活で不満や疑問を感じた」ことから開発された具体的な例を教えてください。
山崎:ダイソンの製品に「CSYS(シーシス)」という発光ダイオード(LED)の照明があります。LEDは蛍光灯よりも長寿命であることから普及率が上がっていますよね。ところがLEDには、熱を持ちやすく、それにより性能が落ちやすくなってしまうという弱点があるんです。LEDの劣化を防ぐ手段はないかとエンジニアが考えたところから、「ヒートパイプテクノロジー」という技術が開発されました。
ーーどのような技術なのでしょうか?
山崎:CSYSには水を1滴だけ入れた銅のパイプが組み込まれています。その水が左右に振れることで、LEDの熱を均一に逃がして、効率的に冷却することを可能にしています。銅のなかに水滴を入れて冷却させるという方法は、NASAなど宇宙産業でも使われている技術なんです。ヒントを得る場所が、他業種からというのは、ダイソンのユニークなところかもしれません。
ーー宇宙産業の技術から発想を得るというのはすごいですね。他の分野からヒントを持ってくるという部分にエンジニアの発想の自由さを感じます。
山崎:一つの問題を解決するために、宇宙産業にまで情報を求めるところに、エンジニアの熱い思いを感じますよね。創業者のジェームズ・ダイソンも、サイクロン方式の掃除機を作り上げるまでに5127台の試作品を作りました。言い換えれば5127回失敗しているわけです。失敗しても諦めずに自分の信じたものを目指して走れるのがダイソンのエンジニアであり、CSYSを開発したジェイク・ダイソンもその一人です。
ジェイク・ダイソンは、デザイン学校卒業後に自分でビジネスを始め、ヒートパイプテクノロジーを10年かけて形にしました。ダイソンに参画したのは2015年です。技術を先に開発しその後で製品化を考えるという流れはこれまでと同じですが、CSYSはダイソン以外で開発した技術を活かした初めての製品。そういう意味で、CSYSはブランドに新しい風を吹き込む製品なのかもしれないと感じています。
これは身長計? CSYSの独特なデザインのヒミツ
ーーCSYSも身長計のような独特なデザインです。一瞬、これは何なのか、どう使うのかわかりませんでした。
山崎:「斬新さをアピールしよう」という狙いはないんです。エンジニアがデザイン領域にも関わり、開発した技術を最大限活かすにはどのような形が適しているか考慮した上でデザインが決まります。たとえばCSYSは、製図板*を参考にしています。これは、都合のいい高さでピタッと止まる、角度を変えられるという2つの動きを実現するためです。CSYSではさらに、360度回転するという動きも実現しました。
*製図をする際,用紙の下に置く平らな四角い板
既存のデスクライトは、長年使ううちに首の部分が弱くなってしまい、必要なところで止まらなくなることが多いですよね。けれどもダイソンでは、十字形のデザインにしたことでその問題をクリアしました。「必要なところにきちんと最適な光を落とす」という目的に対して、最大限に応えられるデザインだと思います。
「選ぶモノでパフォーマンスが変わる」と考える女性に
ーー CSYSの価格は6〜10万円。決して手頃な価格ではありませんが……。
山崎:「照明に6〜10万円」と聞くと、確かに気軽に購入できる価格ではないと感じます。でも、自分が過ごす空間を照らして生活の質を高めてくれるもの、と考えるとどうでしょう?
人は光のある場所で、仕事をしたりコミュニケーションをとったり、さまざまな活動を営みますよね。きちんと光が当たることによって作業効率が変わりますし、空間の雰囲気も変わります。
働く女性のなかには、使うモノを変えただけでパフォーマンスが向上するという経験をしたことのある人も少なくないでしょう。生活の質をより良い方向に変えたいと考える女性には、納得して選んでいただける製品だと思っています。
ダイソンでは表参道のショールームをはじめ、各地にポップアップショップを立ち上げています。光を取り入れることで自身のライフスタイルがどのように変化するか、製品を間近に見てイメージしていただきたいですね。
あなたの生活をもっと上質に
安藤美冬さんと鈴木円香も愛用している革新的なLEDライト・ダイソンのCSYS(シーシス)は、読書や手元で作業する際に適したタスクライトで、そのシンプルなデザインからあらゆる家具にも合わせやすく、仕事はもちろん、プライベートの優雅な時間も演出してくれるアイテムです。
あなたも上質な光のなかで、素敵な“わたし時間”を過ごしてみませんか?
(東谷好依)