あの人を見るだけで、考えるだけで、触れるだけで、胸が高鳴り、カラダが芯から溶けてしまいそう。ああ、生きててよかった!人生って、最高! そんな甘い恋の経験を、誰しも一度はしたことがありますよね?
「薬物依存の脳」と「恋愛初期の脳」は同じ
最近の研究で、ロマンチックな恋愛の初期にある人の脳は、薬物中毒の人の脳とまったく同じ部位が活性化していることがわかったそうです。つまり恋愛感情は、自然界に存在する唯一の「中毒物質」であると分析されたのです。
めくるめく恋愛の初期段階にある時、脳内ではさまざまな感情が渦巻いています。幸福感で満たされていたかと思えば、またすぐに逢いたくなり渇望と忍耐のフェーズが訪れる。やがて「あの人がいないと、生きていけない」と精神的・物理的に依存するようにもなりますし、「自分が愛しているほどには、相手は自分を愛していないかもしれない」と感情が揺れ動いたり、「やっぱり愛してくれてるんだ!」と気持ちが高ぶったり……。恋愛初期の脳内は、まさに嵐の中のジェットコースター状態です(よね?)。
こうした感情の嵐に大きく関係しているのが、脳内の「報酬系」と呼ばれる部分です。激しい欲求が満たされた時に刺激を受けて、快楽物質ドーパミンが大量に分泌されます。報酬系の特徴は、刺激があると快楽を感じ、快楽を感じるとさらに刺激がほしくなるというサイクルが働くこと。これによって、人は薬でも、恋愛でも、中毒に陥っていくのです。
失恋はもっと激しい中毒状態
ところで、ときめきまくりの恋愛初期は一体どのくらい続くのでしょう? 20代ならひと月? 週1しか逢わないなど工夫すれば1年? 意見はいろいろあると思いますが、ある研究によれば8ヵ月が平均値なんだそう。よくいう「マンネリ」は、脳が中毒状態から脱するこの時期に起きると考えられています。
実は今回の研究では、恋愛初期以上に失恋も中毒症状を引き起こすことがわかりました。むしろ、失恋の中毒症状の方が強烈なのだそう。別れようと心に決めたのについついメールをしてしまう、一緒に写した写真を見てしまう。一緒に歩いた道を歩いてしまう。そんな未練も実は中毒症状の一部だったとわかれば、いろいろ腑に落ちることもありますね。
そして、わざわざ科学に教えられるまでもありませんが、そんな中毒状態から脱するには、やっぱりその恋に関わるモノやコトを身近に置かないのが一番とのこと。「思い出だから」と過去の恋人の写真やプレゼントをとっておくのは、科学的知見からも厳禁なんですね。
なんだか、まぁ、「そんなの当たり前じゃないの」と鼻で笑いたくなる話ですが、科学的に証明されたとなると、失恋からの立ち直りもちょっと早まるような気がします。
(編集部)