座りっぱなしの腰痛ケア…30分に1回「ツボ意識ストレッチ」を【鍼灸師に聞く】

座りっぱなしの腰痛ケア…30分に1回「ツボ意識ストレッチ」を【鍼灸師に聞く】

デスクワークでは集中するとあっという間に数時間が過ぎ、パソコンのモニターを凝視している間に体のあちこちがこわばっています。とくに、腰の痛み、だるさ、コリのつらいこと! そこで太子橋鍼灸整骨院(大阪府守口市)の丸尾啓輔院長に、座ったままでもストレッチ効果が高いケアを尋ねました。

座り続ける時間は30分まで

座ったままの時間が長い人はメタボになりやすい、また寿命にも影響するという医学的エビデンスが確立されてきました。一方で、座り続ける時間が30分未満の場合は、1日の中で座っている時間が長いとしても、メタボへの影響は見られないという研究報告もあります。そうした情報を受けて丸尾さんは、デスクワーク中の運動についてこう話します。

「つまり、『座り続ける時間は30分以内』と決めて、細切れに立ち上がったりストレッチをしたりすることが重要と言えます。タイマーを使って実践しましょう。

ただ、『そうは言っても、30分なんて仕事中はあっという間、会議も終わらないし立ち上がれない』という患者さんがとても多いのが現実です。

そこで、30分に1回行いたい、椅子に座ったままツボを意識して脚と腰を動かすトレッチを紹介します。ツボを意識すると血流が促され、効率的にストレッチができるでしょう。一連の動きを1回につき2~3セット行ってください」

ツボ「丹田(たんでん)」を意識・上半身ひねり

椅子に浅く腰をかけ、ツボ「丹田」(おへそから、ひとさし指・なか指・くすり指の3本を揃えた幅の分だけ下がり、さらにそこから背中に向けて同じ幅の分をいったところ)に軽く力を入れて、上半身をゆっくりと後ろにひねります。

両方の手でイスの背もたれを持ち、おしりが浮かないように注意して20~30秒キープしましょう。次に元の姿勢に戻ってからひと呼吸し、反対側も同様にひねりましょう。

丹田の位置がわかりにくければ、おへその5センチぐらい下をイメージしてもOKです。丹田に力を入れることで、腹筋や腹斜筋(脇腹の筋肉)をより使うので、腰や肩のストレッチだけでなく、腹筋を鍛えることもできます。また座ったまま丹田に20秒ほど力を入れて背筋を伸ばすだけでも、肩こりや猫背の対策になります。

ツボ「志室(ししつ)」「丹田」を意識・脚上げ

椅子に深めに腰をかけ、左右の手でそれぞれ、椅子の座面の脇を持ちます。ツボ「志室」(背中にあり、おへその真後ろの背骨からおや指以外の4本を揃えた幅の分、左右それぞれ外側にいったところ)と、先に紹介した「丹田」を意識しながら、両方の脚を椅子と平行の高さまで持ち上げましょう。5~10秒キープしてから、ゆっくりと脚を下ろします。うまく上がらない場合は、片方の脚ずつ交互に上げてもOKです。

その後、志室を両方の手のおや指やこぶしで、ひと押し20秒ほど指圧し、それを2・3回くり返します。指先や手のひらで腰のあたりをさするだけでもOKです。このときも丹田に少し力を入れましょう。

  

ツボ「委中(いちゅう)」を意識・膝裏伸ばし

ツボ「委中」(膝の裏にあり、膝を曲げたときにできる横じわの真ん中)を意識し、膝とふくらはぎを伸ばします。椅子に浅く腰をかけ、左右の手はそれぞれまっすぐと降ろしておしりの横に置きます。片方の脚を前方に伸ばしてかかとを床につけ、指先は上に向けます。膝の裏とふくらはぎ、土ふまずを伸ばして20~30秒キープ。反対の脚も同様に行います。

座ったままだと滞りがちな、足先から腰までの血流を促し、下半身のむくみも改善します。両方の手の指や、反対の足の膝頭(ひざがしら)で委中を刺激するのもよいでしょう。

聞き手によるまとめ

3つとも試したところ、腰まわりが軽くなって気分もリフレッシュし、次の30分もデスクワークに集中できました。仕事をしながら、負担にならずに継続ができそうです。「座業中、30分に1回はツボ意識ストレッチ」を習慣にしてはいかがでしょうか。

(構成・取材・文 藤原 椋/ユンブル

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