「セットしてもアホ毛が目立ってぼさぼさとした印象になる」「おでこの生え際にアホ毛が多くてスタイリング不可能」など、読者からお悩みの声が届いています。そこで、「Hair salon aruca」(福岡県北九州市)のオーナーで美髪を追求する三谷遥さんに、アホ毛の原因、ケア法について聞きました。
アホ毛の正体は、成長途中の毛髪や切れ毛
——アホ毛とはどういう状態をいうのでしょうか。
三谷さん:髪の生え際や頭頂部、髪の分け目から、ぴょんぴょんと飛び出ている細く短い毛のことを通称アホ毛と呼ぶことが多いです。「浮き毛」「飛び出し毛」「パヤ毛」とも呼ばれています。
——アホ毛の原因は何でしょうか。
三谷さん:ケア不足や乾燥など何らかのダメージを受けて毛髪が切れた状態、いわゆる「切れ毛」である場合が多いです。
また、 毛髪が生えてから抜けるまでには周期があり、これを「ヘアサイクル」といいます。成長期に伸びる過程の短い毛が、毛髪の流れに沿わなかったり、コシやハリが不足していたりで細く、浮いたり飛び出たりすることがあります。
さらに、頭皮の状態が良くない場合、毛穴のつまりによる毛髪の成長不足も考えられます。
——「40歳ぐらいからアホ毛が増えた」「子どもの時から多い」という人もいますが、特別な理由はありますか。
三谷さん:女性は産後や更年期のころから、髪質やヘアサイクルが変化して、切れ毛や成長不足の毛髪が目立ちやすくなります。ホルモンの変化によると言われています。
また、20歳ぐらいまでの人はヘアサイクルが早いため、伸びる途中で浮き毛や飛び出し毛になって目立ちやすいとも言われます。
さらに、毛髪が全体に軟かい、いわゆる「軟毛」の場合はダメージによって切れやすく、それが多いときには毛羽立っているように見えることもあるでしょう。
引っ張る、熱、静電気で毛髪が空洞化する
——では、切れ毛は何が原因なのでしょうか。
三谷さん:からまった髪をヘアブラシで無理に引っ張る、洗髪時やセット時に毛髪同士がこすれている、ドライヤーやアイロンの使い過ぎ、カラーやパーマ、強く結ぶスタイルが多い、静電気、紫外線、毛穴のつまりなどによるダメージが考えられます。
こうした要因で毛髪の水分や栄養分が流れ出て、内部が空洞のようになって切れやすくなるのです。
洗髪、ドライヤー、保湿、ヘアアイテムでケアを
ここで三谷さんに、アホ毛のセルフケアについて挙げてもらいましょう。
(1)摩擦を避けた洗髪を
毛髪が摩擦で切れることを防ぐため、洗髪時には毛髪同士をゴシゴシとこすらないようにしましょう。
(2)ドライヤーは上から下に向けて
必ずドライヤーは頭の上のほうから毛先に向けて、毛の流れに沿わせるように手ぐしやブラシでなじませながら乾かしましょう。
(3)乾燥と静電気は大敵。保湿ケアを
空気が乾燥していると、静電気が生じて髪が切れる、また広がりやすくなります。シャンプー後のトリートメント、アウトバス用のトリートメントやヘアオイル、毛髪にハリやコシを与えるヘマチンなどを活用して保湿ケアを行いましょう。
また、ヘアブラシは静電気予防タイプを使う、部屋の湿度を50~60パーセントに保つ、静電気が発生しにくい素材の衣類を着用するなど、静電気を避ける習慣も実践しましょう。
(4)ヘアスプレーやワックスでセット
ヘアコームにヘアスプレーを吹きかけて、アホ毛を毛髪の流れに沿うようにとかしつけます。それでも目立つ場合は、美容師の技術のひとつですが、ヘアコームの持ち手の「柄の部分」に、まとめ髪用のヘアワックスなどを少量つけて、飛び出している毛や浮いている毛をおさえる方法も試してください。
アホ毛に塗っておさえるスティック、マスカラ、スプレーなど各タイプのケアアイテムも市販されています。パッケージには、アホ毛用、まとめ髪用、ヘアマスカラなどさまざまに表示されているので、説明を読んで自分に合いそうなものを選び、丁寧に塗ってみましょう。手を汚さずに使えて、コンパクトで持ち運びもできるタイプが多く、外出先で気になったときにも活用できます。
——美容院でできるアホ毛ケアはありますか。
三谷さん:月に1回程度、美容室でヘッドスパをするとよいでしょう。ヘアサイクルを整えるには、土台である頭皮ケアが有用だからです。また、カットは毛量を減らし過ぎずに毛先をまめに整える、パーマやカラーの間隔を1カ月以上はあける、染め直しのカラーは根元だけにしてダメージを避けるなどを半年~1年ほど続けてみてください。根本的にケアするには、飛び出してる毛だけではなく、頭皮と毛髪全体の状態に目を向けることが重要です。
聞き手によるまとめ
ぴょんぴょんと気になるアホ毛とは、日ごろのダメージによる切れ毛、毛髪の成長サイクル、髪質、ホルモンの変化などで発生しやすいということです。原因を理解したうえで、こまめなケアを実践していきたいものです。
(構成・取材・文 藤原 椋/ユンブル)