ビジネスやIT、医療分野など、ニュースがよりわかりやすくなるための、メディアでよく見聞きする用語のその意味や使用例を連載で紹介しています。これまでの「ホールディングス」「エビデンス」「コンプライアンス」などの用語は文末のリンク先を参照してください。
今回・第16回は、スマホやパソコンの操作中に見かける「アクティビティ」という用語について、編集スタッフ・藤原椋(むく)が大正大学表現学部の非常勤講師・前教授で情報文化表現が専門の大島一夫さんに尋ねました。
ユーザーの「活動状況」や「行動履歴」を表す
アクティビティは、IT用語としては、グーグルクローム、エッジなどのブラウザを閲覧する際に、また、フェイスブックやツイッター、インスタグラムなどのSNSを利用するときの「ユーザーの活動状況」や「行動履歴」を表します。
どのような活動や行動がアクティビティになるのでしょうか。
例えばブラウザでは、ウェブサイトを閲覧すること、検索をすること、ブックマークの登録などです。これらの行動履歴は、基本的にはブラウザに自動で保存されています。これに関しては、第14回「Cookie」で取り上げたのでそちらを参考にしてください。
SNSでは、他者の投稿に「いいね」ボタンを押す、コメントを投稿する、フォローする・されるなどの行動の履歴がアクティビティとして相手にも表示されます。その機能があることで、互いに自分のアカウント、文や写真の投稿などの行動=アクティビティを確認し、安心してコミュニケーションができるようにと考えて設計されています。
ただし、すべてが相互に公開されているわけではなく、SNSごとにそれぞれ、互いのプライバシーを確保しつつ、よりよいコミュニケーションになるように改良を続けているようです。
他のユーザーのアクティビティも閲覧できる
SNSでは、他のユーザーのアクティビティも確認できますね。
SNSではそうしたアクティビティが表示されることが投稿の動機になっていますね。「いいね」が増えるとさらに投稿したくなる。そのしくみはSNSが流行するカギでもあります。
インスタグラムの場合、投稿が「いいね」された回数や、「いいね」をしたユーザーのアクティビティがわかります。
またインスタグラムでは、プロアカウントに切り替えることで、さらに詳しいアクティビティ情報を知ることもできます。
それがSNSの特性のようですが、実際にはビギナーの場合、自分のアクティビティが他者に閲覧されることを知らずに、「あとから困った」ということも多いようです。
インスタグラムのストーリー機能は、24時間以内なら誰が閲覧したのかが投稿者はわかります。また、フェイスブックやツイッターでも、自分が誰かの投稿に「いいね」を押したことは、他のユーザーが閲覧できます。
備忘録としていろいろな情報に「いいね」を押す場合も多いと思いますが、中傷を含む投稿に安易に「いいね」を押すのは禁物です。「いいね」はその投稿への同意とも取られますので、その点もよく考えて行動しましょう。
また、インスタグラムやフェイスブックでは、自分がリアルタイムでログインしていることが相互にわかります。それを避けたい場合は設定を変更しましょう。その場合、相手のリアルタイムログインも知ることはできません。
一方で、「いいね」やリツイートをしないで誰かの投稿を閲覧するのみのアクティビティの場合は、他のユーザーに知られることはありませんね。
そうです。SNSでは投稿の公開範囲を設定できる場合もあります。SNSごとにアクセシビリティの設定があるので、どんな設定があるのかをチェックして活用しましょう。
アクティビティを宣伝、活動報告に活用する
宣伝や活動報告のためにSNSを利用する人や企業は多く、ユーザーのアクティビティが活用されていますね。
どのような投稿情報がどの層に興味を持たれているのかがわかれば、宣伝活動に有効に活用できます。
当初はフォロワー数が少ない、アクセス数が少ないなどで分析に足るデータを把握できないかもしれませんが、利用しているうちに徐々にデータが集まって次の戦略を立てることが可能ででしょう。
利用しているSNSごとに、どのようなアクティビティが共有できるのかを把握すると、自身のアピールや会社の宣伝など、さまざまに活用できそうです。これまでアクティビティは意識していませんでしたが、これを機に活用法を考えながらSNSを使ってみます。
次回・第17回は「リスキリング」について伺います。
(構成・取材・文・イラスト 藤原 椋/ユンブル)
SNSを利用していると、設定画面などで「アクティビティ」という単語を目にします。英語では「activity」で、直訳すると「活動」「活気」という意味ですね。ですが、ネット上やSNSで出てくるIT用語としては、意味合いが違うようです。どのように使われるのでしょうか。