『すごい脳の使い方』後編

脳は、怠け者で飽き性で洗脳されやすい【すごい脳の使い方】

脳は、怠け者で飽き性で洗脳されやすい【すごい脳の使い方】

2022年11月10日に発売された『一生頭がよくなり続ける すごい脳の使い方』(サンマーク出版)。脳内科医の著者、加藤俊徳先生は「30代も40代も50代も60代以降も、脳は伸び盛り。むしろ、大人の脳は学生時代より『いい状態』になっています」と話します。

学び直したいと思っている大人に「希望の書」となる本書から、特別に全2回にわたり抜粋、一部を編集してご紹介します。(この記事は前後編の後編です)

脳の特性

大人の勉強法にとっていちばん大事なことは、脳のルールに従うこと。

そして、脳にとっていい環境を与えること。

この2つが何よりも大切です。

そのために、まずは脳全体の特性を知ることから始めましょう。

脳はとても繊細で複雑な器官でありながら、一方で、とても単純という面も併せ持っています。知れば知るほど親しみが湧いてきます。

本書では、冒頭でも登場している脳ちゃんが、大人脳について解説していきます。まずは脳ちゃんの性格を把握しましょう。

(イラスト:うのき)

脳の最盛期は40代後半から50代

好きなことばかりやりたがるけど、飽きっぽく、ご褒美が用意されているとわかると頑張れる──これが脳の本質的な性格で、誰にでも共通している部分です。

この基本的な性格をベースに、大人になるにつれ、それまで過ごしてきた環境や職業、人生経験、そして脳の活かし方によって、脳は個性的に成長していきます。しだいに脳にも持ち主に似た顔つきや個性が表れてきます。

前編(本書、27ページ)で脳の成人式は30歳と言いましたが、脳科学的には脳の成長に終わりはありません。

脳は、生涯にわたって成長し続けます。

死ぬまで未完成であると言ってもいいでしょう。

また、脳の特性として、たくさん使った部位が成長するというのがあります。そのため、年齢とともに興味の対象が移り変わり、仕事で求められるスキルが変わっていけば、それに合わせて脳の形状もどんどん変化していきます。

私がこれまで1万人以上のMRI脳画像を見てきた経験から言えることは、脳が個性をより光らせるのは30代以降だということ。

就職、昇進、結婚などライフステージの変化に富み、新しい刺激をたくさん浴びる時期に脳は急成長を遂げます。

そして、多くの人が、40代以降に脳の力が急激に衰えると感じているようですが、実際のところは、その真逆。

脳はこの時期、衰えず、成長し、むしろ旬を迎えます。

仕事でもプライベートでも、悩み、思考し、決定を下してきたその経験値が糧となり、学び直すことを面白いと感じたり、難しい話を理解したり、複雑な問題を解決したり、気難しい相手とコミュニケーションをとったりという脳の高次機能が熟成するのは、むしろ中年以降!

脳の中には、特に複雑な情報処理を担う、脳細胞のエリート集団がいます。

私はこれを「超脳野(スーパーブレインエリア)」と呼んでいます。

記憶や理解を担う「超側頭野」は30代でピークを迎えます。

視覚や聴覚から入ってきた情報をもとに分析や理解をする「超頭頂野」は40代でピークに。

実行力や判断力を司る「超前頭野」は50代でピークを迎えます。

これらの脳力は遺伝ではなく、後天的に伸ばしていけるもの。

つまり脳のピークは30~50代。

その中でも45歳から55歳は脳の最盛期とも言えます。

まさに、学ぶのに絶好の時期。

「55歳からは下り坂になるのか」と心配した方もご安心ください。

この超脳野がピークを迎える時期に、脳をしっかり働かせておけば、60代以降になっても脳はきちんと成長を続けていきます。認知症にならない限り、一生頭がよくなり続ける脳を手に入れることができるのです。

『一生頭がよくなり続ける すごい脳の使い方』(サンマーク出版)、1540円(税込)は好評発売中!

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