川原好恵のランジェリーコラムVol.147

データの計測も…「Femtech Tokyo」で見つけた注目の吸水ショーツ3選

データの計測も…「Femtech Tokyo」で見つけた注目の吸水ショーツ3選

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10月のピンクリボン月間、10月11日の「国際ガールズデー」、10月18日の「世界メノポーズデー」、10月19日の「国際生理の日」など、10月は女性の心身の健康に関するイベントが多く開催されました。

そのひとつが、10月20日〜22日に東京ビッグサイトで開催された「Femtech Tokyo(フェムテック トーキョー)」。日本最大級のフェムテック・フェムケア製品の見本市で、今回が初めての開催。3日間で1万4,123人が来場しました。

会場は「生理・月経」「プレ更年期・更年期」「妊娠期・産後」「妊活・妊よう性」「女性の健康全般」のゾーンで構成され、約200社が出展。20・21日はビジネスの商談が主でしたが、22日は一般デーとして広く開放され、特別価格でのショッピングも楽しめました。

すでに“飽和状態”も、まだまだ続く「吸水ショーツ」開発

「生理・月経」ゾーンの中で、多くのブランドが扱っていたのが、やはり「吸水ショーツ」。市場はすでに“飽和状態”とも言えますが、現在、生理用品ではなく雑品に位置づけられている「吸水ショーツ」を、医薬部外品として認可する動きがあり、今後もさらに開発が活発になりそうです。

今回は、そんな「吸水ショーツ」の中から、「Femtech Tokyo」で見つけた新しい提案を3つ紹介します。

【Be-A】経血量を測定できる吸水ショーツが遂に完成!プロトタイプを初披露

以前、このコラムでも紹介した(https://wotopi.jp/archives/129183)、ベア ジャパンとミツフジの共同開発による「経血量を計測できる吸水ショーツ」が遂に完成し、「Femtech Tokyo」で初披露されました。

ショーツに付けたトランスミッターとスマホのアプリを連動させ、経血量を計測

展示ブースでは、経血量を測定できる吸水ショーツの仕組みを解説するデモンストレーションが行われ、毎回人だかりに。吸水ショーツに液体を吸水させると、そのショーツに付けたトランスミッターを通じて、スマホのアプリに経血量が表示されるという一連の使用イメージが、わかりやすく解説されていました。ショーツをはき替えると、トランスミッターも付け替えるため、1日の経血量の計測はそこでリセットされますが、そのデータはアプリに蓄積され、生理周期別、日別で経血量の確認が可能となる予定です。

この吸水ショーツは、今年度中を目標に福島県川俣町の町民および川俣町で働く方を中心に100〜200人規模の実証実験を開始することが決定しています。

デモンストレーションには、毎回人だかりができ、初日にはNHKの生中継も

同展で催されたセミナーで、ベア ジャパンCEOの髙橋くみさんは、「(経血量を)客観的な数値で把握することができれば、女性特有の疾患等の早期発見に結びつくかもしれないという期待がある。例えば、通常何mlくらいだったのが、突然ある月からものすごく量が増えた、ということであれば、いち早く体の異変に気づくことができ、婦人科を受診してみようというきっかけにもなる」と、婦人科系疾患早期発見や予防医学にも期待ができるという、未来への展望を述べました。

商品化されるのはまだ先のことになりますが、女性の健康にとって大きな一歩となりそうです。

ウエアラブルIoT技術を開発するミツフジとベア ジャパンの共同で開発

【hanayaka(R)】ヒップラインに自信が持てる!スタイルアップ機能付き吸水ショーツ

総合繊維メーカー「セーレン」のブースでは、スタイルアップ機能付きの吸水ショーツ「hanayaka®(ハナヤカ)」が展示されていました。セーレンは下着業界では広く知られた存在で、接ぎのない1枚の生地に見えながら、実はパワー切り替えによって補整力を付加する独自素材「VISCOMAGIC®(ビスコマジック)」を展開する会社。その高い技術で、最近では大ヒットガードルを誕生させています。

「hanayaka(R)(ハナヤカ)」のブース

「VISCOMAGIC(R)」を使用した吸水ショーツは、適度なおなか抑えとヒップアップの機能があり、裾も折り返しや縫い目がないので、服にひびきにくくフラット。ボディーラインを整える機能はありつつも、窮屈な締め付け感はなく、細身のボトムを自信を持って着こなせるようスタイルアップしてくれます。

クロッチの吸水体は4層構造になっており、ショーツタイプの吸水量目安は90mL、ロングタイプは60mLとなっています。

素材も縫製も日本製。ロングタイプ(左)7,480円、ショーツタイプ(右)6,380円

【NonPLUS.】豊富な色展開、セットでおしゃれを楽しむブラと吸水ショーツ

おしゃれなディスプレイで目を引いていたのが「NonPLUS.(ノンプリュ)」。女性のからだや心の悩みにアプローチするプロダクト、フェムテックやセクシャルウェルネスに特化したアイテムを扱うオンラインセレクトショップ「DAY by DaY」のオリジナルブランドです。「NonPLUS.」を直訳すると「もう嫌!」。もう嫌!と思うことを解決し、より楽しくなる自由な日々を選択できるようなアイテムを提案します。

デビュー商品となるのが、同展でお披露目されたオーガニックコットンで作られた吸水ショーツで、現在「Makuake」で応援購入がスタートしています。

カラフルな色展開で、ブラとのコーディネートが楽しめる「NonPLUS.」

「NonPLUS.」の特徴はファッション性あふれるデザインと豊富なカラーバリエーション。そして、ブラジャーとセットでコーディネートを楽しめること。ビジュアルもファッション雑誌の1ページのようです。

世界観が伝わるビジュアル(「DAY by DaY」HPより引用)

吸水ショーツは、普段のショーツに近い感覚ではける「Slim」、おなかまですっぽり包む「Standard」、腿まである安心感抜群の「Full」の3型。表地のオーガニックコットンには、グレープフルーツの種子から抽出された天然成分由来の防臭抗菌加工が施され、クロッチの吸水体は「Slim」と「Standard」が3層、「Full」が5層になっています。

トライアングルブラやハーフトップとセットで着用すれば、カジュアルな下着のおしゃれが楽しめます。

左から「Slim」「Standard」「Full」(「DAY by DaY」HPより引用)

このように「吸水ショーツ」は進化しているものの、フェムテック製品を集めた展示会場にも関わらず「吸水ショーツって何ですか?」と女性から尋ねられることも多いと、あるブランドの方が話していました。一見、活況のように感じる「吸水ショーツ」ですが、ナプキンやタンポンのように認知が広がるのには、まだまだ時間がかかるのかもしれません。

選択肢が広がり、それらを自身の意思で選び使うことで、今より快適な生活が手に入る。「吸水ショーツ」もそんな選択肢の一つになってほしいと思います。

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下着は、ボディラインを整えるだけではなく、女性に自信を持たせ、内面から輝かせてくれるもの。自分が素敵だと思う下着を選んで身につけることで心と体を自由にしてくれるアイテムです。ランジェリーライター・エディターの川原好恵さんに大人の女性にこそ着けてほしいランジェリーをテーマごとに紹介していただきます。

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