柳楽優弥さんインタビュー1

「劇団ひとり監督のSっ気が強い演出も、嫌いじゃない」柳楽優弥、若き日のビートたけしを熱演

「劇団ひとり監督のSっ気が強い演出も、嫌いじゃない」柳楽優弥、若き日のビートたけしを熱演

ビートたけしが師匠・深見千三郎と過ごした日々を描いた自叙伝を元にした『浅草キッド』が、このたび、劇団ひとりさんの脚本・監督によって映画化されました。12月9日より、Netflixにて全世界独占配信が始まっています。

作中より

作中より

若き日のビートたけしを演じたのは、柳楽優弥さん。特徴的な話し方や仕草から、漫才、タップダンスまで、みっちりと練習を重ねて作り上げたといいます。短期インタビュー連載の第1回では、どのようにして「ビートたけしを演じること」に向き合い、作品を作り上げていったのかを伺いました。

1122wotopi_004

あるのは「たけしさんが好き」という自信だけ

——まずは、オファーを受けたときの印象を教えてください。

柳楽優弥さん(以下、柳楽):実在していて、いまも第一線で活躍されている方を演じる怖さが、まずありましたね。あとは役作りで必要なタップダンスの練習とか、動作や声を真似しながら自然に演じなければいけないというのが、シンプルに大変でした。

——確かに、声や仕草からタップダンスまで、柳楽さんの身体的な「ビートたけし」の表現がとても印象に残りました。モノマネでもパフォーマンスでもない絶妙なバランスは、どのように探っていかれたんでしょうか。

柳楽:そこは本当に苦労したところです。「ビートたけしさんが好き」という気持ちに自信はありましたが、これまでモノマネをやってきたわけでもないし……。劇団(ひとり)監督がたけしさんと濃いつながりを持っていて、作品への愛情が本当に強い方だったから、指導は厳しかったですね。長いときだと8時間くらいずっとモノマネを練習しました。特別講師の松村邦洋さんにもみっちり教えていただいて。違うドラマを撮っている現場まで、劇団監督がいらしたこともありました(笑)。

——すごい……! それだけの練習を重ねて、正解を見つけていったということですね。

柳楽:いや、それでも最後まで、はっきりした正解は見つからなかった気がします。「どれが正解なんだろう?」という状態のまま、わからないなりに撮影をしていくというか。撮りながらも「これ似てるのかな」って不安が、常につきまとっていましたね。たけしさんのことは誰もが知っているからこそ、スタッフ全員が監督のように見えてくる感覚もあったりして。だから、完成した作品を初号試写で観たときに、ようやく少しだけほっとできました。

1122wotopi_005

監督の演出にまっすぐ応える

——それだけのプレッシャーや不安を感じながらも、しっかりと成果を出せているのが、柳楽さんのすごさだと感じます。

柳楽:それは僕の力ではなくて、演出のおかげだと思っています。僕は本当に、監督から演出してもらうことが好きなんです。演出してもらうのが好き。劇団監督はまったく褒めずに「もっとこうして」「もっと」と求めてくる方でしたけど、そういうSっ気の強いスタンスも嫌じゃないんです。なんとか求められる水準に追いつこうとして挑んでいって……仕上がった作品を観たら、すごくよかった。僕は監督の手の中で転がされていたんだなって気づいたし、劇団監督はモテるだろうなって思いました。僕、モテる人も好きなんですよね。異性からも同性からも支持されていて、うまく人をまとめられるような、モテる監督と仕事をするのが楽しいんです。

——まったく褒められないまま演出をされ続けて「自分はこう演じたいのに!」みたいなジレンマを持ったりはしないんでしょうか。

柳楽:(『浅草キッド』の現場では)なかったですね。監督自身もたけしさんのモノマネがうまいから、僕はついていくのに必死でした。それに、最前線で活躍する芸人さんが伝説の芸人さんの映画をつくるという時点で、劇団監督が抱えているプレッシャーの大きさって想像できるじゃないですか。だから、一人の役者としてそこへ参加する僕には、誠意をもって監督の指導に応えていくことしかできないと思って。今回は僕が考える「こういうタケシを演じたい」みたいなものはなくていいと考えていました。「監督はこういうタケシを作りたいのかな」って想像したり、指導されることからヒントを得たりして頑張ろうと思ったんです。だから本当に、演出されたことに応えていったらこうなった、という感じなんですよ。

——誰もがプレッシャーを持ちながら、一丸となって、誰もが知るたけしさんに挑んでいく……なんだか特殊な現場だったことと思います。

柳楽:そうですね。でも、いままでにない作品で、めちゃくちゃいい経験になりました。すごいエンジンを搭載できた、みたいな……いや、これじゃ全然意味わかんないですね(笑)。僕、自分が俳優として進んでいる道のりを物語っぽく考えるのが好きなんですけど、この作品を通じて、車から飛行機レベルのエンジンを手に入れたような気がしてるんです。役者としての経験値だけでなく、全世界に配信されているので、作品が届く距離も格段に伸びていますし、そういう意味でもスケールがぐんとアップしたなって。

yagira-1

第2回は12月22日(水)公開予定です。
(ヘアメイク:佐鳥麻子、スタイリスト:長瀬哲朗(UM)、取材・文:菅原さくら、撮影:西田優太、編集:安次富陽子)

■作品情報

AsakusaKid_Main_s

Netflix映画『浅草キッド』
Netflixで全世界独占配信中
出演:大泉 洋 柳楽優弥 門脇麦
監督・脚本:劇団ひとり
原作:ビートたけし「浅草キッド」

Netflix映画「浅草キッド」公式サイト

SHARE Facebook Twitter はてなブックマーク lineで送る

この記事を読んだ人におすすめ

この記事を気に入ったらいいね!しよう

「劇団ひとり監督のSっ気が強い演出も、嫌いじゃない」柳楽優弥、若き日のビートたけしを熱演

関連する記事

記事ランキング