『ソロエコノミーの襲来』インタビュー第1回

「まずは自撮りしてみよう」自己肯定感を高めたい貴女に伝えたいこと

「まずは自撮りしてみよう」自己肯定感を高めたい貴女に伝えたいこと

「孤独」と聞くとどんなことをイメージするでしょうか? 「老後、独りぼっちになるのが怖いから結婚したい」「友達が少ない私は孤独でかわいそうなのか?」と思っている人もいるかもしれません。

このほど、独身研究家の荒川和久さんが『ソロエコノミーの襲来』(ワニブックス)を上梓しました。

荒川さんは「精神的に自立した価値観を持つ人=ソロ」と定義し、「ソロで生きる力とはつながる力である。それは、他人とつながるだけではなく、自分ともつながることであり、そのつながりは、強く継続的なものである必要もなく、一瞬でもいい」と提唱しています。

他人はともかく自分とつながるってどういうこと? 結婚していればソロじゃない? つながるのは一瞬でもいいの? 荒川さんにお話を伺いました。

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「仕事が充実してなければ価値がない」という意識

——ソロについての本格的な話に入る前に、読者にとって身近な話題の部分から伺いたいです。

既婚男女は「自分が有能であるかどうかと、自己肯定できるかどうかは無関係」であるのに対し、ソロ男女は「有能でなければ、自己肯定できない」というくだりがありました。つまり、女性は仕事で「がんばらなきゃ」という意識が高ければ高いほど自己肯定感がない、という……。

荒川さんの場合はデータで示していますが、働く女性をテーマに記事を書いている身からしてもうなずくことが多かったです。彼女たちは「成長したい」「社会で役に立ちたい」と思っているけれど、逆に言えば「成長しなければ」「社会の役に立たなければ」自分は存在する価値がないと思っている。実際に「成長しない自分は意味がない」と話す女性もいました。

荒川:自己有能感と自己肯定感*の話をすると、ソロ男女は有能じゃない自分は肯定してはいけないって思っています。既婚者は真逆。有能であることと、肯定できることは別物であると考えている。その違いがソロと既婚との幸福度の差に表れていて、幸福度は圧倒的に既婚者の方が高いんですね。

例えば、「仕事ができなきゃ私は自己肯定ができない」「お給料をいっぱい稼いでなければ私は自己肯定ができない」「モテなければ自己肯定ができない」というふうに、要するに有能であることが、自己肯定できる条件になっちゃってる。

有能であるかどうかと自分を肯定できるかってことを分けられないことが、ソロの不幸感というか欠落感のもとなんですよ。

*自己有能感:客観的に自分を評価したときに「才能や能力がある」と思える意識。
自己肯定感:主観的に自分を見たときに「自分が好きだ」「自分を認められる」という意識。

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自己肯定感を高めたかったら自撮りせよ

——だから苦しくなっちゃうんですね。自己有能感がなくても自己肯定できるようにするには?

荒川:リア充っていう言葉は今はあまり使わないかもしれないけど、自己肯定ができていて、毎日楽しそうにしている、いわゆるリア充の女性のインスタって必ず自分が写っているんです。自撮りじゃなくても、友達に撮ってもらっていても、とにかく自分が写真の中にいるんです。

——どういうことですか?

荒川:インスタの中に自分を必ず写すっていうのは、大事なポイントなんですよ。「いいね!」をしてもらいたいのは、きれいな景色とか、かわいいお菓子とか、かわいい動物じゃなくて、それらと一緒にいる「私」なんですよね。「私」っていうものが提示できるということは、自分を客観視できていることでもあるし、自分を認めているということでもありますから。

——「私」というのは、自分の顔?

荒川:顔じゃなくても、別に足でもいいし、手でもいいし、後ろ姿でもいいんですけど、とにかく自分をフレームの中に残すことができていること自体がポイントなんです。

——そんなことでいいんですね。

荒川:どうやったら自己肯定感が上がるんですか? という話をするのであれば、根本的には自分を褒めることだし、自分を愛することです。でも、そう言うと「どうやったら愛することができるようになるんですか?」って次の質問になるでしょ?(笑)

——はい、まさに(笑)。

荒川:まずは、自撮りしましょう。自撮りをするとなぜ自分を肯定できるかっていうと、単純に自分の顔を見慣れるからですね。ザイオンス効果(単純接触効果)と呼ばれるものです。

自己肯定感のない人はとにかく自分の写真を嫌がります。写真だと、鏡で見ている自分とは左右反対になるし、撮った写真はだいたい気に入らない。それなのに、他の人から見たら「いつものあなただよね」と言われるから、輪をかけて何か気に入らない。本人は見慣れてないから違和感があるだけなんですけどね。それをなかったことにしようとしても意味ないんです。事実なんですから。

だから、最初は苦痛かもしれないけど、90日間連続で自撮りとかしてみればいい。

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——90日間自撮りをすると変わるんですか?

荒川:90日続ければ、ですよ。なかなか大変です。最初は写真の撮り方が下手なんですよ。でも、だんだんコツを覚えてくる。コツを覚えてくると同時に、今はいろいろなアプリがあるので、加工も覚えてくる。

——それはSNSにアップしないといけないんですか?

荒川:アップしたほうがいいですね。

——いろいろな方向から矢が飛んでくるじゃないですか。「かわいくないくせに自意識過剰」「イタい」とか。

荒川:それでやめちゃう人も多いんだけど、継続していると、1日目に撮った写真と90日目に撮った写真の顔が全然違ってびっくりしますよ。本当に「ビフォーアフター」みたいに。加工や整形をしなくても、本人が見慣れるというのもあるけれど、第三者から見ても変わります。

「見慣れる=自分を認めた」ってことなんです。「認める=自分のことが好き」っていうこと、「自分を肯定できてる」ってことになるので。90日間で自己肯定感が上がってくれば、顔は変わるんですよ。内側から変わるんです。

——データを取ったんですか?

荒川:継続できた人の9割がそうなっています。

どんなふうに変わっていくかというと、まず、内向的な人は最初は大抵、自分の部屋で撮ります。自分の部屋で誰にも分からないように自撮りをするんですけれど、そのうち、代わり映えがしないので飽きてくるんですね。そうすると、今度は外で撮るようになる。外に行って、外の背景と一緒に撮る。次に、背景がマンネリ化すると、その背景を演出しようとする。かわいい建物の前とか。それってもうインスタ女子と同じことをやっているんですよ。

四角い画像の中に写った自分を、ある意味では、客観的に見られるようになったということだし、客観的に見られるようになったってことは、自分の顔に慣れたってことなんですよ。

そうなってくると、1日目と90日目では、着てる洋服も違えば、立ってる場所も違うし、写真の撮り方も違うし、歴然とした差があるわけですよ。男性でいえば、途中で美容室にカットしに行くようになって髪型が変わっちゃうとか、ジムに行って鍛えたり、めっちゃ痩せたりとか。そういう変化が出てくるんですよ。

——面白いですね。

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荒川:それから、もう一つ。周りのことを口に出して褒めるってことも大事です。それは自分が褒められることになるから。

脳はそれほど優秀ではないので、しょっちゅうバグるんです。よく、人やモノに対して「かわいい!」って言う人がいるじゃないですか。「かわいい」って口に出して言うことで、その自分の声を耳で聞くことになります。そうすると、自分が「かわいい」と言われたって脳が錯覚するんですね。いわば、オキシトシンの自家発電みたいなものです。

「かわいい」を連発するのは、結果的に自分を褒めてることになるから言ったほうがいいんです。本心から言ってそうな人ってかわいかったりするじゃないですか。

——言われてみればそうかも。

行動して自分とコミュニケーションをとってみる

——面白いですね。でも、自己肯定感を上げるにはもっと内面的な鍛錬とかが必要だと思っていました。

荒川:本にも書きましたが、意思の力で何とかしようとするのは大間違いです。基本的には、行動と行動のもとになる環境が変われば、人間は変わるんです。結果的に変わったことを「自分は意思を持ってやったんだ」って理屈づけしてるだけです。

——ごちゃごちゃ言ってないで自撮りしろってことですね。

荒川:そうです、自分を肯定できてないってことは自分とコミュニケーションがとれてないってことだから。コミュニケーションっていうと「誰かとコミュニケーションをとる」って思いがちだけど、それ以前に自分とコミュニケーションをとりなさいよ、と。それが自己肯定感を上げるってことなんですよ。

——それってこの本に書いてあった「自分の中の多様性」という部分につながってきますか?

荒川:つながります。

——次回は「自分の中の多様性」について伺えればと思います。

※第2回は6月5日(水)公開です。

(聞き手:ウートピ編集部:堀池沙知子、撮影:宇高尚弘)

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