妊婦とそのパートナーは注意! 流行中の風疹の症状と備え【臨床内科専門医が教える】

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妊婦とそのパートナーは注意! 流行中の風疹の症状と備え【臨床内科専門医が教える】

メディアで報道されているように、2018年11月現在、風疹の流行の拡大が止まらず、とくに妊婦と妊娠を希望する人とそのパートナーに感染への注意が促されています。

臨床内科専門医で正木クリニック(大阪市生野区)の正木初美院長によると、「妊婦が風疹に感染すると、おなかの赤ちゃんに心臓や目、耳に障害が出る可能性があります。妊娠する前に抗体があるかを確認し、予防接種を受けましょう」ということです。風疹の感染ルートや症状を含め、詳しく聞いてみました。

飛まつ感染して全身のリンパ節が腫れ、発疹、発熱も

——風疹は感染症ということですが、どういう病気でしょうか。どういうルートで感染し、どういう症状が出るのでしょうか。
  
正木医師:風疹とは、「風疹ウイルス」に感染することで発症する「急性熱性発疹性疾患」です。
感染ルートは、インフルエンザや風邪と同じく、感染者のくしゃみやせき、会話時に発するしぶきを吸い込むことで感染する「飛まつ感染」、ウイルスに手や口で触れることで感染する「接触感染」です。

風疹ウイルスに感染すると、平均16~18日間ほどの潜伏期間を経て発症します。その三大症状は、「リンパ節の腫れ」、「発疹」、「発熱」です。おのおのの特徴を次にまとめておきます。

・リンパ節の腫れ……全身、とくに耳の後ろや後頭部、首に見られる。発疹の数日前に現れて、3週間から2カ月で消える。
・発疹……赤くて小さい発疹が全身に出る。3日ほどで消える。
・発熱……38度前後の発熱。風疹患者の約半数の人に現れる。3日ほどで下がる。
・そのほか、目の充血、軽いせき、関節痛など。おとなは関節痛が多い。

感染しても症状が現れずに、感染源となっているかも

——おとなが感染すると、症状はきついのでしょうか。

正木医師:子どもに比べて、先に挙げた症状が治まるまでに長引く、高熱が出るなどで重症になることがあります

また、風疹ウイルスに感染した人のうち、15~30%は症状が現れない「不顕性感染(ふけんせいかんせん)」となります。この場合はキャリアと呼ぶ保菌者になりますが、当人は風疹にかかっているという自覚がなく、周囲の人も気づかないため、知らないうちに感染源となる可能性が高くなります。

——風疹は子どもが感染する病気と思っていましたが、おとなにも多いのでしょうか。

正木医師:最近では9割がおとなで、2018年夏からの流行では、患者さんの約7割が30~50代の男性と報告されています。これは、過去に風疹のワクチンを接種する制度が変更になった影響で、30~50代の男性は抗体を持つ割合が低いからと推察されています。抗体とは免疫のもとで、ウイルスに対抗する物質のことです。

妊娠初期に感染すると赤ちゃんに障害が出る可能性が高まる

——妊婦やおなかの赤ちゃんへの影響はどうなのでしょうか。

正木医師:もっとも感染を避けてほしいのが、妊婦とそのパートナーや同居の家族です。妊娠20週ごろまでは、おなかの赤ちゃんは器官を形成する時期です。この間に妊婦が風疹ウイルスに感染すると赤ちゃんにも感染し、難聴、心臓の病気、白内障・緑内障などの目の病気、精神・運動発達の遅れ、発育の遅れなど「先天性風疹症候群」という病気になる可能性があります。

風疹の予防接種は1カ月以上あけて2回行うことが推しょうされています。妊娠中はワクチン接種を受けることができないため、妊娠を希望する女性は、妊娠前に2回の予防接種を受けて、その後、抗体ができる2カ月後までは避妊することが重要になります。

——すると、妊娠を希望しているけれど抗体がない場合は、都合3カ月以上は妊娠を待たねばならないことになります。

正木医師:そういうことです。少しでも早く予防接種を打つほうがいいのですが、妊娠を希望する人でも、「まだ自分は関係ないか」と、現実問題として深くとらえていないことが多い印象もあります。

また、妊娠が確定した初期の人で、風疹ウイルスへの抗体があるかどうかわからない人はかかりつけの産婦人科に相談してください。血液検査で抗体の有無を確認することができます。そして、風邪やインフルエンザの予防と同様に、人混みを避ける、マスクの着用、手洗いを徹底するなど、感染を避けるように日常の習慣に気を付けてください。

妊婦への感染を避けて。パートナーや同居家族も予防接種を!

——先ほどのお話しにあった「自覚がない風疹」もあるようで、恐いと思います。パートナーや同居の家族の感染を防がねばなりません。

正木医師:そうです。妊娠がまだ確定していない初期のころから赤ちゃんへの影響は大きいため、パートナーや同居の家族はもちろん、妊婦の周囲の人、たとえば職場の人も予防接種を受けてください

風疹は2013年に大流行し、患者数は14,000人を超えたということですが、当時も男性が女性の約3倍の数に上っています。一方で、「自分は抗体があるかどうかわからない」、「あると思っていたのに検査を受けると実はなかった」、「はしかと間違っているかも」といった、自分に抗体があるかどうかの記憶があいまいな人も多いのです。

厚生労働省は2019年から、30~50代の男性の抗体検査を無料にすることを発表しています。また、いま、妊娠を希望する女性やそのパートナーに対し、予防接種や抗体検査の費用を助成する自治体や企業が増えています。抗体があるかどうか不明な人、記憶がはっきりしない人は、自分が住む市区町村にウエブサイトや電話で、またかかりつけ医に問い合わせをしましょう。

風疹は、抗体ができればその後は感染しません。予防接種で防げるのだということを認識して、早く対処をしましょう。たとえ今回の流行が終息したとしても、また次に流行することはあり得るのです。

——ありがとうございました。

現在、医療団体や専門家は、厚生労働省に感染リスクの高い人に予防接種の公費による助成を求め、2020年の東京オリンピック開催までに風疹を排除するように働きかけているということです。自分ひとりの予防が、家族や職場の人、社会の多くの人を風疹から守ることにつながることを自覚して行動したいものです。

※2018年11月15日時点での情報です

(取材・文 海野愛子/ユンブル)

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