33歳にして一度も海外旅行の経験がないウートピ編集部Y子。海外旅行バージンを卒業するのにふさわしい旅先を探そうと、ウートピ編集部は、旅歴25年間に80カ国以上を旅し、酸いも甘いも知り尽くしたトラベルジャーナリスト・寺田直子(てらだ・なおこ)さんに相談。
これまで、クリーンでスマートなヘルシンキにはじまり、シンガポールやグアムなど、初海外旅行にふさわしい旅先と楽しみ方を教えていただきました。
そして今回がついに最終回。これまでわがままばかり言ってきたY子が、海外旅行に踏み出せない本音をこぼします。
「寺田さん、私やっぱり、言葉や文化が違う場所に飛び込んでいくのは怖いんです……」
海外旅行を安全に楽しいものにするために
みなさま。遅ればせながら今年もよろしくお願いいたします。といいながらこのシリーズは今回が最終回。
Y子の「やっぱり怖い」という本音、わかります。そこで海外旅行を安全に楽しいものにするためのノウハウを伝授させていただきます。私も昨年12月、南米ひとり旅を敢行。女性が異国を旅するためにはどういうことに気をつけるべきか。身をもって体験してきたばかり。ぜひ、参考にしてください。
出発前の4つのポイント
1. 海外旅行保険に加入する
保険はクレジットカードに付帯されているから「わざわざ加入しなくても大丈夫」。そう思っている人も多いと思います。ただ、そのカードで航空券や旅行ツアーを購入した場合に限り適応されるなど加入条件はさまざま。また付帯されている補償額が低めに設定されている場合も多く、現地での緊急医療費用などがすべてカバーできないことも。
ジェイアイ傷害火災保険「2016 年度 海外旅行保険事故データ」によると事故発生率は3.40%(29 人に1 人)。保険金支払い件数をベースにした保障項目別の事故発生割合を見ると、ケガや病気の治療費用や医療搬送費用等を補償する「治療・救援費用」が51.5%と最も多く、次いで手荷物の盗難、破損を補償する「携行品損害」(30.9%)、偶然な事故における出費を補償する「旅行事故緊急費用」(13.7%)となっています。
私も今までにスーツケースの故障、カメラを落として破損、ロストバゲージによる当座の衣料や化粧品の購入など、何度か保険のお世話になっています。最近はクレジットカード付帯の補償額に上乗せするタイプもあるのでぜひ加入を。安全のためのお守りだと思ってください。
加入はネット保険が割安でおすすめです。空港で加入する場合と比べて同じ条件で3割ほど安く加入できますよ。
2. 「たびレジ」に登録する
「たびレジ」は外務省による緊急時の情報連絡ツールです。オンラインで旅行日程・滞在先を登録すると、現地の大使館や領事館といったオフィシャルなところから、最新安全情報や緊急事態発生時の対応がメールで届くシステム。
たとえば、「○○で邦人旅行者に強盗被害が発生」「△△で震度7の地震が発生」といった感じ。現地の窓口や問い合わせ先なども載っているので何かあった場合に心強い味方になってくれます。メールアドレスは複数登録できるので日本にいる家族にも同じ内容を送ることができます。
3. 外務省 「海外安全ホームページ」をチェック
これも外務省のオフィシャルサイトで、各国の最新安全情報が掲載されています。テロや自然災害、疫病など、自分が行く場所がどういう環境かを知るのは大事なこと。危機管理をしっかりすることで安全で楽しい海外旅行ができるというものです。状況によっては取り止める勇気も持ってください。
4. 日程表の作成、パスポート紛失時必要書類を準備
スケジュール管理をスマホでしている人が多いと思いますが、あ・え・て、紙で日程表をプリントアウトして持参してください。タクシーのドライバーにホテル名を伝える、空港のチェックインカウンターで便名を伝えるなど、とっさの場面にはやはりコピーがあると便利。ネットが通じないときの対処としてもぜひ。
海外旅行で最悪の事態がパスポートの盗難や紛失。その際に再発行の手続きをしたり、仮の日本再入国渡航書を作成してもらったりする必要があります。必要なものは戸籍謄本または抄本、写真など。これらを事前に取得して持参しておくと万が一の時にスムーズに手続きにかかれます。詳細は「外務省のホームページ」から。
現地で気をつけたい4つのポイント
1. 個人旅行の場合、夜の到着はできるだけ避ける
ガイドが出迎えるツアーならいいけれど、個人旅行の場合は可能であれば現地到着は明るいうちに。夜間の移動はそれだけでリスクが高くなります。やむなく夜になってしまう場合は、空港からホテルへの移動も公共バスなどではなくタクシーを利用すること。
国によってはタクシーも危ないこともあるので、そういう場所では事前にホテルや現地の旅行会社に送迎を頼むことを強くお薦めします。リスクはお金で回避するのが賢い選択です。
どうしてもタクシーに乗らなければいけない場合。私がよくやるのが目的のホテルに車内から電話、「I’m on the way to the hotel by taxi now. I will arrive around XX(今、タクシーでホテルに向かっているところです。XX時頃到着します)」と大きな声で話すこと。
目的は運転手に「この客がタクシーでホテルに向かっているということを誰かが知っている」とわからせることにあります。英語圏でない国でも、タクシー、ホテルなどのキーワードはわかるはずなので事件・事故への抑止力につながります。
そしてライセンスを持たない白タクは絶対に乗らないでください。空港のタクシー乗り場以外に誘導しようとしたら、「No」と言って断る勇気を。
2. ホテル周辺はストリートビューで事前チェック
なるべく予算をかけたくないとき削りたいのがホテル代。しかし、安い宿にはそれなりの理由があります。ロケーションもそのひとつ。泊まろうと思っているホテル周辺を事前にストリートビューでチェックしておきましょう。人通りが多いか少ないか、近くにコンビニやカフェ、スーパーなど常に人のいるスポットがあるかどうかも判断基準となります。安いツアーでも同じ。宿泊予定ホテルの周辺は確認しておくと安心です。
3. 路上で「ニホンジンデスカ?」と聞いてくる人は相手にしない
これは旅歴25年超えの私の経験則上。観光している際に、「ニホンジン?」と聞いてくる相手(女性に対してはまず男性が聞いてくる)は基本的に無視しましょう。
ナンパか土産物屋の客引きなど怪しい場合がほとんど。もちろん下心なしで親日家の人もいますが、日本にいても路上でいきなり声をかけられた人についていったりはしないはず。日本でやらないことを海外でするのはありえません。特にグループでいるときはご注意を。ひとりでいると働く警戒心が数人でいることによってゆるみがちになります。
4. 現金主義を卒業。支払いはクレジットカードで
たとえば香港2泊3日の旅行に行く場合、私が持参する現金は2~3万円ほど。チップやカード不可の場合の支払い用でそれ以外のホテル代、食事代などまとまった額の支払いはすべてクレジットカードを利用します。
理由は3つ。ひとつは現金を現地通貨に両替する手数料よりもカード会社の為替レートが一般的に有利であること。そして現金を持ち歩くよりも安全であるということ。最後にマイルやポイントが貯まること。
ただしオーストラリアや英国などクレジットカード払いの際、日本では店側が負担する手数料を客側に負担させることが法律で認められている国もあります。そういう場合は現金払いが賢い場合も。クレジットカードで現地のATMでキャッシングできるのでそれを利用してください。
今年はもっと旅をしよう
とまあいろいろお伝えしましたが、何かあったときにどう対処するか。そこがしっかりできていればOK。海外旅行は人生の中でもかけがえのない思い出や感動を味わうことができる本当にすばらしい体験です。初めての国、場所は誰だって不安。私だっていまだにそう。だからこそ情報をあらゆる角度から収集して、ハプニングや想定外のできごとに遭遇してもあわてずあせらず。その自信が旅力を高めてくれます。
旅と恋に落ちるためのスキルアップ。それは旅を終えても自分を輝かせてくれる大人の女性へのステップアップにつながることでもあります。
海外バージンY子も含め今年こそぜひ、自分らしい海外旅行へ飛び立ってください! 全力で応援します!!