腰痛や頭痛を招いたり、スタイルを悪くする「カラダの歪み」。その対策としてよく「バッグを左右片方ばかりで持たない」「足を組まない」といった方法が紹介されますが、実はもっと根本から解決するすごいメソッドがあるのだそう。
心身の不調を目の体操で改善するメンタルビジョントレーニングを提唱している松島雅美(まつしま・まさみ)先生によると、「カラダの歪みは“利き目”が要因になっている可能性があります」とのこと。目のせいで、カラダ全体が歪んでしまうとは、ちょっと意外ですね。一体どういうことなのでしょうか?
利き目の調べ方
ーー目が「カラダの歪み」の原因になっているとは、どういうことですか?
松島雅美先生(以後、松島):人間には、利き手と同じように利き目があります。これは、利き手と同じようになかなか変わるものではありません。「カラダの歪み」に関しては、この「利き目」がポイントになってくるんです。まずは、自分の「利き目」が左右どちらか把握しましょう。
ーー利き目は簡単にわかるのですか?
松島:はい。両手を前に出し左右の指をつけて輪を作ります。その輪の中を見て少し離れた場所にある目標物を決めてください。左目をつぶって。輪の中に目標物は見えますか?
ーー見えます(右目で見ている状態)。
松島:今度は右目をつぶって。
ーー見えません!(左目で見ている状態)。
松島:利き目は右ということですね。目標物の見えた方が利き目です。
ーー両目利きという人もいるんですか?
松島:まれにいますが、ごくわずか。ふつうは左右のどちらからであり、利き手と利き目がリンクしているとは限りません。私は右利きですが、利き目は左です。そして、利き手と利き目が逆の人ほど、カラダが歪みやすいんです。
ーー私の場合、利き目も利き手も右なので、カラダは歪みにくい?
松島:そういうことです。私の感覚だと、利き目と利き手が同じ人は8割、2割の人は利き目と利き手が逆でカラダが歪みやすい状態にありますね。
ーーどうして、利き目のせいでカラダが歪むんですか?
松島:人は両目で物を見ているようで、実は正しい距離感は利き目で把握しています。利き手と同じように、どうしても利き目を優位に使ってしまう。利き手と利き目が逆の人は主に使う眼と動作をする手が逆になり、それぞれの動きが交差してしまうため、カラダに歪みが生じやすいのです。
パソコンを置く場所に注意
ーーでも、利き目も利き手も、今さら変えられません。どうすれば、いいですか?
松島:まずは、意識して左右の目をバランスよく使うことが大切です。ちょっとした工夫でそのバランスは改善できますよ。たとえば、利き目でない方の目で遠くの看板などの文字を読むなど、普段使っていない方の目を意識的に使うだけでも違います。その上で、デスクワークをしている人だと、一日のかなりの時間をパソコンの前で過ごすと思いますが、パソコンを置く位置を変えるだけでもかなりカラダの歪みは改善されます。
ーーパソコンをどういうふうに置けば?
松島:私のように利き手が右で、利き目が左の場合、モニターをやや左よりに置きましょう。そうすると利き目(左目)は正面でモニターを捉えることができます。つまり、パソコンを正面に置かずに、利き目の方に5センチくらいずらすわけです。
ーーなるほど、利き目と利き手が逆の人は、利き目の方にずらせばいい。
松島:なるべく利き目が正面を向く位置に対象物がくるようにすること、それがカラダを歪ませないコツです。ただし、できればキーボードは正面に置く方がベスト。長い時間作業する場合は画面とキーボードが別々に配置できるタイプを使用することをおすすめします。
ーー他にはありますか?
松島:講義を受けたりする場合、座る席に注意してみてください。利き目がどちらであろうと、見るべき対象の正面に座るのがベスト。端に座るなら利き目が右の人は左端、利き目が左の人は右端に座るのがベター。逆に座ってしまうと、大きくカラダをひねらないと対象物を正面に見ることができません。
ーーカラダがより不自然な体勢になってしまうということですね。
松島:見るべき物の位置や自分が座る場所を工夫することでカラダの歪みを予防できるだけでなく、落ち着いて作業ができるようになります。整体などに行ってもカラダが改善しないという人は、もしかしたら利き目のせいかもしれません。まずは利き目を把握し、物と利き目の位置関係を修正してみましょう。
(塚本佳子)