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ただ話を聞いてあげるだけでいい…“最悪な未来”を想像しがちな人への接し方【DJあおい】

ただ話を聞いてあげるだけでいい…“最悪な未来”を想像しがちな人への接し方【DJあおい】

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先日、父親にガンが見つかったのですが母親が「お父さんが死んじゃう」みたいな電話をしてきました。母親は現実と想像をごっちゃにして話すきらいがあるので、早速父親に電話で確認したところ、「手術で治るからすぐには死なないと思う」と冷静に私に伝えてくれました。

昔からそんな母親に振り回されてきて、実家にいる頃はいちいち真に受けて一緒に一喜一憂していたのですが、社会人になってからはとりあえず母親や相手が言っていることを聞いて、そのあと当事者に話を聞いたり周辺情報を集めたりして過剰反応しないというか真に受けないようにしています。

仕事でも重要事項が決定されたときなど、あることないことを自分の想像で口にする人を見ると「まあちょっとは落ち着けや」と思ってしまいます。「この人はそういう人だから」と受け止めて冷静に対処するしかないのでしょうか?

大きなストレスを受けると…

人は大きなストレスを伴う出来事があると記憶に混乱が生じるらしいですね。

私も経験があることなのですが、病院の個室に案内されて身内の病名を宣告される医療ドラマみたいなイベントってあるじゃないですか。

そこで明らかに命に関わる病名を宣告されると、あまりにもショックで脳みそが止まるんです。

「これ以上聞いたらメンタルがヤバいぞ!」と自己防衛が働くのでしょうか。

それ以降の話は耳には入っているけど頭には入っていない状態。

だからもう自分の中では「嗚呼、この人は近い将来に亡くなってしまうんだ」としばらくの間は絶望しかなかったのですが、落ち着いた頃に先生とお話をすると「ちゃんと治療をすればちゃんと治る病気ですよ」と言われて「え!? そうなの!?」と驚いた記憶があります。

きっと先生は病名を宣告したときにそれを詳しく説明してくれたはずなのですが、私の脳みそがシャットダウンしていたため頭に入ってこなかったんですね。

これは後で聞いたお話なのですが、大きなストレスを伴う出来事があると、その前後の記憶がなくなってしまうことがよくあるそうです。

そう言われてみると、病名を聞いた後のことも覚えていないけど、それ以前のことも覚えていないんですよね。

どうやって病院に行ったのかも覚えていないし、どうやって病院から帰ったのかも覚えていない。

病名を宣告されたところだけはハッキリと鮮明に覚えていて、その前後はまるっと抜け落ちているんですよ。

「人の脳ってストレスに弱いんだな」ということを改めて学習しました。

「幸福」より「不幸」を信じてしまうのは…

人って幸福は信じないくせに不幸は信じてしまう傾向があるのですが、それも蓄積されたストレス量に比例するんですよね。

ストレスが蓄積されるほど不幸を盲信しやすくなってしまいますので、精神的にお疲れな人ほど「彼氏が浮気しているかもしれない」とか「私は周りから嫌われているかもしれない」とか、ネガティブな予期をしてしまうものです。

それもまた自分のメンタルを守るための自己防衛の一種。

最悪のケースに備えてメンタルが身構えているだけなので、ある意味で言えば正常な反応とも言えますね(心身を休める必要はありますが)。

それは妄想と現実の区別ができていないわけではなく、「もしかしたら」という最悪な未来を予期して憂慮しているだけなので、精神疾患特有の「非現実的な妄想と現実の区別が難しい」という症状とはまた別のものと言えるでしょう。

まぁお疲れであることは間違いないので、そんな人のお相手をするときはただただ話を聞いてあげるように心掛けてください。

彼ら彼女らの望みは、助けてもらうことでもなく、気の利いたアドバイスをいただくことでもなく、ただただ話を聞いてほしいだけですから。

聞いてあげるだけで安心を提供できるのならお安い御用だと思って黙って聞いてあげるように努めましょう。

病んでいる人をまるで異常者のように見てしまう人がいるのですが、よくよく自分を見つめ直してみると、自分にも心当たりがあることばかりですからね。

人の弱さに共感できないことって本来はそんなにないはずなんですよ。

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