この前、職場の人と雑談をしていたときに「長男が来年中学受験なんだよね」という話をしたところ「勉強ばかりさせてかわいそう」と言われてモヤっとしています。うちには2人子供がいるのですが、それぞれ好きなことを見つけて得意な部分を伸ばしてくれればいいなあと思っています。確かに親がレールというか環境を整えた側面は否めないけれど、先日の皆既月食のときも目を輝かせて写真を撮ったり、月食について調べたりしていました。今のところ塾も楽しく通っています。
件の雑談のときは笑って流してしまったのですが、思い出すたびにモヤっとします。「勝手にかわいそうって決めないでよ」って言えばよかったのでしょうか?
ステレオタイプの罪
「ストレスで喋るA型、ストレスで黙るO型、ストレスで泣くB型、ストレスで笑うAB型」みたいな、血液型等の特定な属性に付与されている固定観念や単純化されたイメージをステレオタイプと呼びます。
上記の例はネットで拡散された各血液型のステレオタイプなのですが、もちろんストレスで笑うO型もいれば、ストレスで踊るB型だっているし、ストレスで固まるA型だっているでしょう。
多くの人に当てはまるような気がするのかもしれませんが、血液型で傾向がわかるのなら人間なんて4種類のタイプしかいないことになるわけで、元々雑なステレオタイプなんですよね。
こんな適当なステレオタイプを垂れ流したやつなんてイーロン・マスクに頼んでアカウントを凍結させてやりたいのはやまやまなのですが、もう発祥元がわからないくらい広域に流布されてしまっているのが残念でなりません。
まぁ犯人は私なんですけどね。
“個人”ではなく“イメージ”でジャッジされただけ
そんなことはさておき、相談主さんのお悩みには二つのステレオタイプが存在します。
ひとつは「長男」というステレオタイプ、もうひとつが「中学受験」というステレオタイプですね。
一般的に「長男」というと、真面目で責任感が強いわりにプレッシャーに弱く要領が悪い、みたいなステレオタイプが存在します。
そして「中学受験」というと、小学生のうちから塾に行って暗くなるまで勉強させられているというステレオタイプが存在します。
この二つのステレオタイプを合体させると、プレッシャーに弱い長男が親の言いなりに勉強をさせられて、「子供らしく」遊ぶ時間もないみたいなイメージができ上がってしまうわけです。
だから「かわいそう」という感想に至ってしまったのでしょうね。
まぁ私たちが「ブラジル人はみんな陽気でサッカーがうまい」と思い込んでいるようなもので、ぶっちゃけて言えば個人の情報が何もないというだけの話なんですよ。
ステレオタイプをマルっと盲信してしまうのも困ったものですが、いちいち目くじらを立てるようなことでもないと思いますよ。
だってべつに個人が侮辱されたわけではなく、ステレオタイプという実在しないただのイメージが侮辱されただけですからね。
同じ属性でも100人いたら100通りの人格が存在するのが人間ですから、元々人というのはどこにも属していない独立した存在なんですよ。
「私」という人間を知ってほしい人にだけ理解してもらえたらそれでいい。
べつに理解を求めていない人が誤解をしていても「勝手に誤解してろ」と思っておけば万事解決なんじゃないですかね。