人気作品に描かれた女性性から浮かび上がる私たちの姿
『逃げるは恥だが役に立つ(逃げ恥)』で描かれた高学歴女子の絶望、『ちびまる子ちゃん』が凡人に与えた救済、星野源が醸し出す”やさしい”雰囲気に救われたい女子たち--。
『セーラームーン世代の社会論』『ぼくたちの離婚』などで知られるライター・稲田豊史(いなだ・とよし)さんによる新刊『オトメゴコロスタディーズ フィクションから学ぶ現代女子事情』(サイゾー)が4月15日(金)に発売されました。
同書はウェブメディア『サイゾーpremium』と月刊誌『サイゾー』に2015年3月から2021年10月まで全73回にわたって掲載されたコラム「オトメゴコロ乱読修行」に加筆・修正・再編を施して単行本化。
『アナと雪の女王』『逃げるは恥だが役に立つ』『梨泰院クラス』『ちびまる子ちゃん』など人気を博した映画やマンガ、小説などのフィクション作品に描かれた女性性(オトメゴコロ)を読み取り、分析を試みています。
「保育園落ちた日本死ね」「#MeToo」…激動だった2010年代後半
コラムの連載期間は、女性活躍推進法の施行と政府による一億総活躍社会の提唱(ともに2015年)や「保育園落ちた日本死ね」(2016年)、ワンオペ育児問題化(2017年)、#MeToo運動(2017〜18年)、東京医科大学の女子受験者差別表面化(2018年)など、フェミニズムやジェンダーに関する出来事や問題が表面化し、議論が活発化した時期と重なっています。コラムが書かれた時点での世の中の空気や“文化系中年男性”を自称する筆者の女性観の変遷も読みどころの一つです。
『オトメゴコロスタディーズ フィクションから学ぶ現代女子事情』は400ページ、1700円(税別)。