高血圧と言われた、どうする?/第7回

高血圧の治療…食習慣の改善で最重要な「減塩法」Q&A【臨床内科専門医が教える】

高血圧の治療…食習慣の改善で最重要な「減塩法」Q&A【臨床内科専門医が教える】

「親が高血圧で自分も心配していたが、案の定、健康診断で指摘された」、「別の病気で受診した際に『血圧が高い』と言われて不安です」など、高血圧について、読者から悩みの声が多数寄せられています。そこで、日本臨床内科医会常任理事で同会認定専門医の正木初美医師に、対策について連載で聞いています。

第1回(リンク先は文末参照。以下同)は、高血圧と診断される基準について、第2回は病院や家庭で測定したときに数値が違う理由について、第3回は家庭で血圧をうまく測る方法について、第4回は高血圧は体にどう悪いのか、第5回は治療法について、第6回は注意したいヒートショックについて伝えました。今回は食習慣の改善の「減塩」について、読者の質問にお答えします。

正木初美医師

正木初美医師

Q1 第5回で生活習慣の改善の筆頭として、「減塩」の指針を教えてもらいました。減塩すると血圧はどれぐらい下がるのですか?

正木医師:日本人は食塩の摂取量が多いとよく言われますね。減塩とは文字通り、食事や飲料から塩分を減らすことです。

高血圧の人の目標は、「1日6グラム未満」の摂取です。高血圧の患者さんの場合、食塩摂取量を1日1グラム減らすと、上の血圧(収縮期血圧)は平均して1mmHg強の低下が期待できます。

ただし、急に厳しい減塩を実践すると体調を崩すこともあります。夏や運動時には、発汗による塩分流出もあります。かかりつけ医と相談して、少しずつ摂取量を減らすように食生活全体を見直しましょう。

日本高血圧学会は、おいしい減塩食品の普及を目的とした「減塩食品リスト」をネット上で公開しています。2021年5月現在、29社126製品を掲載し、その市販製品のひとつずつにそれぞれ、100グラムあたりの食塩相当量、減塩率、ホームページなどを網羅しています。

JSH(日本高血圧学会)減塩食品リストはこちら

Q2 減塩のために食生活で実践するべき具体的な方法を教えてください。

正木医師:調味料は先ほど紹介したリストから「減塩タイプ」を選んで使うなど、具体的方法はたくさんありますが、最低限、次の「してはいけないこと」を守りましょう。

・塩、しょうゆ、ソースなど濃い調味料を使わない。
・丼やカレーなどにかかっているソース、あんかけのあん、カレールウ、デミグラスソースなどは半分は残す。
・冷蔵庫に常備している、または市販の弁当に入っている、つけもの、ふりかけ、つくだ煮などは控えるかごく少量にする。
・ラーメン、うどんなど、めん類の汁は残す。
・かまぼこ、ちくわ、ソーセージなどの加工食品は塩分が多いので控えるかごく少量にする。
・外食やテイクアウト食品は塩分が過多の傾向になることを意識し、減塩タイプを選ぶ、控える、少量にする。

No,Salt.,Human,Gesture,Hand,Refuses,To,Salty.,Salt,Free.

Q3 減塩のために、テイクアウト食品の賢い選び方はありますか?

正木医師:最近は、デパート、スーパー、コンビニの弁当やテイクアウト食品でも、「減塩」を明示するものが増えてきました。テイクアウト時はこれを利用しましょう。

また一般食品を選ぶときには、パッケージに貼ってある「栄養成分表示」を必ず確認してください。「食塩相当量」という項目が食塩含有量にあたり、ナトリウム400ミリグラムあたりが食塩1グラムに換算できます。

高血圧の人の塩分接種は1日に6グラムまでと言いました。すると1食あたり2グラムで、ナトリウムなら800ミリグラムまでが目安になります。

Q4 「減塩の日」というのがあるそうですね。

正木医師:日本高血圧学会と日本高血圧協会は毎月17日を「減塩の日」と制定して、キャラクターをつくって日本人の減塩食生活を啓発しています。毎月の半ばなので、減塩を忘れがちなときに思い出しやすい日として活用してみてください。

Q5 第5回で、高血圧は心臓と脳と腎臓に重大な病気をもたらすと教えてもらいました。減塩生活はこれらの病気の予防になりますか?

正木医師:もちろんなります。減塩は血圧を下げるように作用するだけでなく、心疾患、脳卒中、腎臓病に直接的に影響する可能性が多くの研究で示されています。

子どものころから、健康的な食塩摂取量の食生活を実践しておけば、加齢による血圧上昇は抑えられると考えられています。そのため日本高血圧学会では、食育の一環として、「塩育」にも取り組んでいます。

聞き手によるまとめ

減塩として食塩の摂取は1日6グラムまでに抑えたいこと、それには減塩食品リストを活用しながら、調味料やめん類の汁、加工食品を控え、減塩タイプの食品を選ぼうということです。忘れたら、毎月17日の減塩の日を機に、減塩が心臓や脳、腎臓の重大な病気を防ぐ習慣であることを思い出したいものです。

次回・第8回は、高血圧について読者からのQ&Aについて紹介します。

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