『「何者」かになりたい』インタビュー・第2回

「何か面白いことしましょうよ!」なんて言わなくていい【三浦崇宏】

「何か面白いことしましょうよ!」なんて言わなくていい【三浦崇宏】

クリエイティブディレクターの三浦崇宏(みうら・たかひろ)さんが10代から70代までの年齢も性別も職業もバラバラの9人と対談した『「何者」かになりたい 自分のストーリーを生きる』(集英社)が4月に発売されました。

「何者」かってなに? 「何者」かになったほうがいいの? 今の時代特有の“しんどさ”って? 仕事やコミュニケーションの悩みあるあるなど、3回にわたって三浦さんにお話を伺いました。

【前回は…】隣の芝生がめちゃくちゃ青い…今の時代特有の“しんどさ”って?

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別れ際は「ご機嫌よう」って帰ればいい

——ホテルプロデューサーの龍崎翔子さんとの対談が一番しっくりきました。というのは、「相手の時間を奪うことについてすごく繊細」「人にお願いごとをするのが苦手」とかウートピの読者にとっても“あるある”なのではと思ったんです。「ご飯行こうね」と社交辞令で言ってしまって後悔するとか……。

三浦崇宏さん(以下、三浦):「今度ご飯行こうね」っていうサヨナラがあるじゃないですか。やりたいことと、言いたいことしか言わないって決めたらいいんじゃないですかね。本気で「今度ご飯行こうね!」って思ってたら言えばいいし。

——逆に、言ってしまったら社交辞令で終わらせないでちゃんと行ったほうがいいのでしょうか?

三浦:うん、でも言わなくていいと思うんですよね。「ご機嫌よう」って帰ればいい。ビジネスパーソンの男性がよく言うのが、「何か面白いことしましょうよ」。でも、そう言っている人たちが一緒に面白いことしてるの見たことあります? ないですよね。だったら言わなくていいですよね、そんなウソ。「ご機嫌よう」でいいじゃないですか。だから、本当にしたいこと以外、口にしないって決めたらいいんですよ。

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頼られるってそれだけでうれしい

——人にお願いするのが苦手というのもすごく共感しました。

三浦:龍崎さんにもまったく同じことを言ったんですけど、「頼る」コミュニケーションもあると思うんですよね。頼られるってうれしいんですよ。「今度こういうことあるから、手伝ってくれない?」とか「教えてほしいことがあるんだけど」って言われると自然にうれしいじゃないですか。もっと言うと、この人に必要とされていることだからうれしいんですよ。自分が頼みごとをされたり相談されたらうれしいのに、自分が頼む側になると忘れちゃうんですよね。

——そうなんです。自尊心が低いんでしょうか? こんな私がお願いをするなんて申し訳ないと思ってしまう。

三浦:うーん、自尊心もそうですし、臆病というか、自分が傷つくくらいだったら自分でやったほうがマシって思っているのかもしれないですね。

僕、一応「The Breakthrough Company GO」って会社の社長なんですけれど、みんなが仕事をしているときに「昼飯行こうぜ」って言っても本当に誰からも返事がないときがあるんです。これって恥ずかしいですよね? インターンの学生の前で社員6人くらいに「飯行こうぜ」って誘ってみんなから無視されることもあって、インターン生から言われるんですよ。「三浦さんって、意外にあまり尊敬されてないんですね」みたいな。割とド直球で言われるんですよ。「え? まあそうね」みたいな。まあそうやって傷つくのが嫌だから、最初から誰も誘わないで一人でご飯行く人が多いんじゃないかな。

でも、タイミングが合わなかっただけで、誘われるのがウザいとまでは思ってないと思うんですよ。断ればいいだけなので。だから、頼まれたり誘われたりすることは、そもそも気分が良いことなんだってことを知っておいてもいいのかもしれない。

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——言われてみればそうかもしれないです。

三浦:インスタで知り合いがみんなで旅行に行ってるのを見て、たとえ自分は都合が悪くて行けなかったとしても声かけてほしいと思いますもん。行けないけど誘ってくれてうれしいってあるじゃないですか。だから、頼んだことに対して相手が受けてくれなかったとしても、頼むこと自体が相手を一つ喜ばせてるって思ったほうがいい。あなたは私にとって必要だよってことだから。

——さっきのランチに誘って誰もこないとき三浦さんは傷つきますか?

三浦:もう慣れてきちゃいましたけど、みんなに断られると悲しい気持ちにはなりますよね。

——それって慣れですか?

三浦:慣れもあるし。でも1回1回ちゃんと傷ついていったらいいんじゃないですか?

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傷つくってすごい体験

——結局傷つきたくないって思っちゃうんです。

三浦:失恋もそうだけど、いや、格闘技のほうがいいかな。僕はすごく格闘技が好きなんです。応援してる青木真也さんや昔だったら桜庭和志さんとか有名な選手がいるんです。そういう応援している人が負けるとまるで親が死んだくらい落ち込むんですよ。悲しいなって思うんですけど、ある日ふとした瞬間に気付いたのが、なんで俺はこんなに金を払って悲しい思いをしなきゃいけないんだろうって……。でも、冷静に考えたら、親も誰も死んでないし、金も損してないし、なのにこんな悲しい思いができるってすごく幸福なことだなって思ったんです。

それと同じように、たとえ失恋したとしても傷ついた経験自体は、すごく大切なことだと思うんですよね。悲しかったりつらかったりしても、それを体験した事実自体はプラスだと思う。お金をだまし取られたとか暴力をふるわれたとか、そういうことじゃない限りは。

僕はよく「ライフ・イズ・コンテンツ」って言うんですけど、自分の人生を物語だと捉えたときに、傷ついたことってすごく大事なシーンだなって思える。たとえ悲しいことがあったとしても。

——ちゃんと傷つくことが大事なんですね。第1回でもおっしゃっていた「自分に問いかけてみる」とつながる気がします。

三浦:そうだと思います。なんで私こんなに悲しいんだろう? あの人のことが本当に好きだったんだなって思えたら、すごくすてきなことだと思います。

※次回は5月18日(火)公開です。

(聞き手:ウートピ編集部・堀池沙知子)

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