運動とダイエット vol.4

短期集中ダイエットの注意点、いちばんリバウンドしやすいのは…

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短期集中ダイエットの注意点、いちばんリバウンドしやすいのは…

メディアで盛んに取り上げられる短期集中型ダイエットジム。別人のようなビフォーアフター写真を見ると、ついつい心動かされそうになります。とはいえ、そんなに都合に良い話ってあるの?と疑ってしまう気持ちもわいてくるもの……。

競歩・元日本記録保持者で、シドニー五輪代表の柳澤哲さんに、身をもって運動による身体の変化を実感してきたアスリートならではの観点からダイエットへの偏った思い込みを正してもらうこの連載。最終回は、短期集中ダイエットに隠されたさまざまな疑問に迫ります。

柳澤哲さん

柳澤哲さん

【第1回】痩せたいのは何のため?
【第2回】階段の一段飛ばしで美脚を目指す
【第3回】今日からできるウォーキング法

カロリーの収支の差を極端に広げる短期型ダイエット

——正直に言います。ダイエットをコツコツと継続させる自信がありません! 短期集中でサクッと痩せたいのですが、まずはどんな理由で短期間で痩せられるのか知りたいです。

柳澤哲さん(以下、柳澤):摂取カロリーと消費カロリーのバランスに極端な差をつけて体重を絞らせるのが、短期集中型ダイエットの理論です。40歳で体重50キロ、通常の消費カロリーが1800キロカロリーの女性を例に話をしましょう。まず食事制限で、1日の摂取カロリーを1200キロカロリーに徹底します。

——その時点で結構シビアに感じます……。

柳澤:さらに、筋肉トレーニングで消費カロリーを1日200キロカロリー増やします。そうすると、1日の消費カロリーが2000キロカロリーになりますね。そこから摂取カロリーを引くと、800キロカロリー。1日で800キロカロリーの消費が期待できるんです。これを続けていくと、2カ月で6キロから8キロ減らすのも十分可能になるんです。

——食事制限と運動、どちらもストイックに求められるのですね。

柳澤:はい。そして多くの場合、アルコールの摂取を制限されるケースが見られます。肉を500グラム食べてもアルコールを500ミリリットル飲んでも、増えるのは同じ500グラムです。しかし短期集中型ダイエットジムでは、短期間で「○キロ痩せた」と数字で謳うことを重視することが多い。そのため、アルコールなど水分を制限されがちなんです。

もともと太っている人の方が痩せにくい

——ちょっとしたトリックですね。アルコール制限のせいもあるのか、周りの経験者に聞くと、高いお金をかけて入会したのはいいけれど、途中で挫折してしまう人も多いようです。

柳澤:そうでしょうね。もちろんアルコール好きにとってはシビアですし、そもそも体にとっては、筋トレを始めていつもより消費カロリーが増えたのにもかかわらず、摂取カロリーを抑えられてしまうわけですから……。「一体どうしたの?」と、より強く“空腹感”というサインを出すようになりますので、そこで挫けてしまう人もいると思いますよ。

——挫折しやすい人としにくい人の違いって、やっぱり意思の強さによるんでしょうか。

柳澤:元から痩せている人より太っている人のほうが、比較的ダイエットを困難に感じられるかもしれません。その体型を作った生活環境を、大幅に変えなくてはなりませんからね。また女性は、ホルモンの関係で男性より筋肉がつきにくく脂肪が減りにくい。そのため体重も減りにくく、筋トレの努力がすぐに反映されないので、途中で諦めてしまうことがあるかもしれません。

——確かに、効果が出にくいとイヤになってしまいます。そしてもし短期で痩せられたとしても、リバウンドするかもしれないと思うとテンションが下がってしまいます。

柳澤:短期間を狙って「運動+食事」で痩せただけに、どちらも痩せる前の生活に戻してしまえば、早い時間でリバウンドするでしょう。ただし、どちらかを習慣として残しておけば、リバウンドのペースは緩やかになります。特に運動習慣を残せば基礎代謝が維持されるので、リバウンドをしない可能性もあると思います。一番リバンウンドしやすいのが、食事制限だけで痩せた場合です。リバウンドするまでの期間も短いですし、減らした体重の倍太ると覚悟したほうがいいでしょう。

大事なのは「太ったから痩せる」という概念を捨てること

——心に留めておきます。ちなみに私(筆者)は今、産後1年目なのですが、産後15キロほど太ったまま、まったく痩せられないんです。本気で短期集中に取り組みたいのですが……。

柳澤:できれば産後しばらくは、ダイエットのことは気にしない方がいいでしょう。産後は母乳のためにしっかり栄養を摂る必要があるのと、体力を回復するためにエネルギーがいるからです。早く産前の体型に戻りたい気持ちはわかりますが、決して無理はしない方がいいと思いますよ。基本的には、太ったのと同じ時間をかけて痩せるものだと考えましょう。

——わかりました、焦らずに取り組みます。柳澤さんのお話をまとめると、短期集中型ダイエットですぐに結果が出る場合もあるけれど、それなりの努力が必要だし、退会した後は自分で意識を持ち続けなければキープできないということですね。

柳澤:そうですね。まずは「太ったから痩せる」というダイエットの概念を捨てた方がいいと思います。太った理由は生活習慣に原因があるはず。そこに向き合って「そもそも太らない」生活を心がけることです。これまでの連載でお話してきたように、できるだけ階段を使うようにしたり、上手なウォーキングを心がけたりする。日常生活にちょっとした運動を取り入れることが、実は一番簡単なダイエット方法なのかもしれません。

(取材・文、撮影:波多野友子)

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