「今は元気に働いているけれど、もし病気になって働けなくなったら……」「社会保険だけでは心もとない。民間の保険に入ろうと思っているけれど、何に入ればいいかわからない」
万が一に備えて保険に加入したいけれど、自分に合った保険がわからない。あるいは、一応勧められるままに保険に入ったけれど、病気やケガをした場合に自分が必要とする保障を受けられるかわからない……という人は少なくないのでは?
ウートピ世代の働く女性が保険を検討するときにチェックするポイントは?
というわけで、今回は「35歳・未婚・年収500万円」の会社員の女性を想定して、「ソニー生命」のライフプランナー・中村俊介(なかむら・しゅんすけ)さんに、ウートピ世代の保険について、3回にわたって話を聞きました。
第2回目のテーマは「医療保険の選び方」です。
【第1回】「35歳・未婚・年収500万円」の私に保険は必要?
がん保険と医療保険のちがい
——今回の場合、保険に入ったほうがいいというのはわかったんですが、がん保険と医療保険のちがいがよくわからないです。やっぱり両方入ったほうが安心なのかな。
中村俊介さん(以下、中村):がん保険は、あくまでもがんと診断されたり、がんで入院、手術したときなどの保障。それに対して、医療保険はがんを含めて病気や怪我などの治療を目的とする入院や手術などをしたときなどに保障されるものです。
保障される範囲は医療保険のほうが広いんですが、大切なのは一般的な話ばかりを鵜呑みにするのではなく、自分に合ったオーダーメイドの保険を設計することです。
——「一般的な話ばかりを鵜呑みにするのではなく」というのは?
中村:「ひとまずがん保険だけ入ってればいいや」という形で捉える方もいらっしゃるんですが、もしかしたら預貯金がたくさんあれば無理にがん保険に入らなくてもいいかもしれない。
そういう意味で、一般的な話ばかりを鵜呑みにするのではなくて、自分に合った自分の状況に合った保険に入ってくださいっていうことですね。
——「自分の状況」というのは預貯金がどのくらいあるか、ということですか?
中村:それもそうですし、収入やサポート体制もそうですね。
——サポート体制というのは?
中村:例えば、家族。今回のモデルケースでは結婚は今のところ考えていないということで親御さんからの援助を望めるのか? とか。
——うーん、実家からの援助があまり望めない場合は?
中村:そういう場合は、自分でしっかりとした保障を持っておいたほうがいいという話になりますよね。
「がんは年を取ってからなるんだよ」という一般的な話はあるかもしれないけれど、「今なったらどうするの?」という視点で考えたときに「治療費を自分の預貯金でまかなえきれない」ということになれば、自分の状況にあった保険に入る必要が出てくる。
——なるほど。一般論ではなく自分の状況に照らし合わせながら検討するということですね。
病気になっても選択肢を持っていたい
——ウートピでは以前から、がんになった女性の取材をしていているんですが、皆さん口をそろえて「保険には入っておいたほうがいいよ」とおっしゃっていたんです。
「通院は地味にお金がかかるから通院保障をつけたほうがいいです」という声もありました。そんな声を聞いているうちにウートピ世代の保険について知りたいと思ったんです。
中村:そうなんですね。確かに今のがん治療の実態を踏まえると、通院での治療が主流というのもあって入院保険だけ入っていてもまかないきれない部分がすごく多いんです。
ただ、通院保障もよいんですけれど、僕はどちらかと言うと、がんと診断されたら給付されるタイプの保険が必要なのでは? と思っています。
——給付金タイプの保険というのは?
中村:はい。例えばがんと診断されたらすぐにお金が給付される、診断給付型の保険です。そのお金を通院で使おうが入院で使おうが自由というのが特長です。
——そんな保険もあるんですね。
中村:通院保障付きの保険でも、通院のたびに通院の証明を保険会社に送らなきゃいけないというのをかんがみると手間かなと。それよりも300万円とか500万円のまとまったお金が銀行口座に振り込まれて、それを自由に使うほうが楽なのではと個人的には思っています。
——ただでさえ病気でしんどいのに事務的な手間が増えるのは避けたいですしね。
中村:そうですね。前回も入院時にかかるお金について話したと思うんですが、がんの治療に必要なお金もいろいろあって。医療用ウイッグや弾性ストッキング、病院の往復に必要なタクシー代などがかかってくる。
——がんの取材をした際もインタビューに応じてくださった方がおっしゃっていました。ウイッグも高かったし、抗がん剤治療の副作用で家事ができなかったから家事代行サービスを頼んだと。
中村:治療の副作用は人それぞれらしいんですが、やっぱり体がしんどくて仕事を休まざるを得なくなったときに本当に休める人と休めない人が出てきてしまう。そのちがいは何か? といえば、結局経済的な保障があるかないか、ということなんですね。
仕事を休んで治療に専念できるという選択肢を持てるというのは、きちんと貯蓄をしていたり、きちんとした保障がある保険に入っていたりとか、どちらでもいいんですがそういう“基盤”があるからこそ。
精神的にも肉体的にも辛いのに、経済的な理由で自分がしたい選択をできないというのはつらいですよね。
——そうですね。例え病気になったとしても、自分がどんな治療をしていきたいか、どんな生き方をしていきたいかの選択肢は手放したくないです。
※次回は4月11日(水)更新です。
(取材・文:ウートピ編集部・堀池沙知子、写真:宇高尚弘/HEADS)