前作の『赤い口紅があればいい いつでもいちばん美人に見えるテクニック』(幻冬舎)で、「女性はみんな、“美人”と“美人予備軍”です」「誰でも美人の種を持っています」といったポジティブなメッセージとともに惜しみなく「美人に見えるテクニック」を披露してくれた野宮真貴(のみや・まき)さん。
最新刊となる『おしゃれはほどほどでいい 「最高の私」は「最少の努力」で作る』(幻冬舎)にも、その心構えや、ポイントが豊富に盛り込まれています。
前回は「今を楽しむ工夫」について伺いましたが、やっぱり野宮さんにお話を聞くのなら、ファッションは欠かせない……!
インタビュー第2回となる今回は、「なかなか時間のない、忙しい私たち」に向けて日常生活の中に「おしゃれを取り入れる工夫」について聞きました。
似合う服は肯定感をあたえてくれる
━━最新刊には、野宮さんが実体験から見出したファッションの基本やおしゃれに見せるテクニックやヒントが80項目以上も紹介されていますね。行きつけのブティックまで、惜しみなく披露されていて驚きました。
野宮真貴さん(以下、野宮):私は今57歳。本では40代くらいの方々に語りかけるように書いていますが、この本の主軸にあるのはおしゃれの基本やコツをお伝えすることです。ここに綴ったおしゃれのルールは年代に関係なく活用できるもの。早く知れば知るほどお得だと思います(笑)。
おしゃれに悩む時間が減るので時短になるし、自分を素敵に見せる服をチョイスすることで、それが自信にもなる。洋服から自信をもらうと、あらゆる場面で背筋を伸ばして立っていられるようになりますから、やっぱり、服選びって大切なんです。
━━早くその境地にたどり着きたいです。ファッションと向き合う時の心持ちを教えてください。
野宮:お洋服はコミュニケーションツールでもあります。ただ好きなものを着るだけでなく、その場にふさわしい装いも大事ですし、失礼のないように、ルールを知っておくことも必要です。そして、ルールを知った上で、そこに自分の好きなテイスト加えて、個性を表現していくことが、おしゃれの楽しみだと思います。
ファッションやメイクを、義務感でこなすのでも、難しいと敬遠するのでもなく、また、人の目を気にしすぎて個性を潰すのでもなく。この服を着ていると気持ちがいいとか、楽しい気分になれる。その感性を大切にしたいですよね。
ワードローブをリセットして、負のループを断ち切る
━━おしゃれに興味はあってもなんだかうまくいかない。毎朝、着たい服が見つからないという場合、何から手をつけたらいいでしょうか。
野宮:もし、今クローゼットの中に着たい服がないと思ったなら、それはチャンス。思い切って、一度、リセットすることをおすすめします。
今あるあまり似合わないお洋服に何かを買い足しても、延々にあまり似合わない服を買い続けるというループになってしまうでしょう? それよりも、自分に似合う新しい服を足の先から頭まで全部買い揃えることが一番の近道です。もったいないと思わずに初期投資だと思ってください。新しい自分を探すわくわく感を楽しめますし。
━━確かに、悪あがきな気がします……。ただ、自分に似合う服が難しいんですよね。
野宮:おしゃれがわからない、あるいは、自信が持てなくて負のループから抜け出せない場合、プロの意見に耳を傾けるのが、手っ取り早くて確実だと思います。皆さんの身近にいるファッションのプロといえば、ブティックのデザイナーや店員さん。
自分であれこれ考えるよりも、好きなブティックへ行って、店員さんの客観的な意見で基本のセットを作ってもらいます。そうすれば、次にその服に合うものを買い足そうとしますから、自分に似合って、着回せるワードローブが増えていきます。そうなったらおしゃれのループが始まりますので、どんどん素敵になりますよ。
赤い口紅とお気に入りの服を見つける
━━なるほど。では、基本セットには、何を選ぶのがいいですか?
野宮:本にも書きましたけど、やはり、アンサンブルを2セット揃えると、本当に便利。上下セットでも単品でも使えて、2つのアンサンブルを組み替えるだけで1週間着回せますし、アクセサリーなどで印象を変えれば、何通りにも着こなせます。
お財布との相談にはなるけれど、いいものを揃えておくとどこにでも自信を持って出て行けますし、基本セットはワードローブのベースとなるものだから、なるべく質の高いものを選ぶ。そんな意識を持ってお買い物に行けたらベストです。
━━それは合理的ですね。
野宮:副題に『「最高の私」は「最小の努力」で作る』と入れたのですが、合理的に最小の努力で物事に向かうと、一番大切なポイントが見えてきますよね。
おしゃれって、必ずしも華美な装いだけではありませんし。1ヶ月違うコーディネートをする必要もないと思うのです。お気に入りの服があって、その服を着ていると楽しい気持ちや、安心感を得られるのなら、いつも同じ服でいいと思います。「赤い口紅」と「お気に入りの一着」から徐々に自分のおしゃれの幅を広げていけばいいのです。
(取材・文:今富夕起、撮影:青木勇太)