産業医に聞いた、ハイスペ女子の恋愛事情 第1回

「教養がある人=話が合う人」という条件は外せない ハイスペ女子の恋愛事情

「教養がある人=話が合う人」という条件は外せない ハイスペ女子の恋愛事情

一流大学卒業という学歴や、プロとしてやりがいのある仕事を手に入れた女性を、一般に「ハイスペ女子」と呼びますが、そのありかたは近年、変化しつつあるという話をウートピでも取り上げました。「仕事かプライベートか」の二択の時代から、「仕事もプライベートも」の両立の時代を生きるようになったハイスペ女子たち。

今回は全3回にわたり、産業医で『ハイスペック女子の憂鬱』(洋泉社)の著者である矢島新子(やじま・しんこ)さんに、ハイスペ女子の恋愛事情について聞いてみました。

「ハイスペ女子=恋愛下手」という世間のイメージもありますが、実際のところどんな恋愛をしているのでしょうか。

第1回目のテーマは、「ハイスペ女子は本当に恋愛で悩んでいるの?」です。

ハイスペ女子は「教養」が外せない

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——矢島先生、今回は「ハイスペ女子の恋愛事情」をテーマにお話を伺いたいと思いますが、まず「ハイスペ女子」をどう定義するかが難しいですよね。

矢島新子先生(以下、矢島):そうですね。「ハイスペ」に明確な定義はなく、個人や集団によって変わってきますが、私としては「一流大学を出て、プロとして専門性の高い職に就いてバリバリ仕事している女性のこと」を指してハイスペ女子と呼んでいます。人によっては、そこに「見た目がキレイ」とか、「ハイスペ男性と結婚する」といった条件を加える場合もありますね。今回は「学歴と経済レベルが高い(女性の上位10%である年収500万円以上)女性」をハイスペ女子としてお話を進めていこうと思います。

——では、さっそくそんな「ハイスペ女子」の恋愛事情について教えてください。メディアではよく、「ハイスペ女子」は、その学歴や収入の高さから男性に敬遠されがちだったり、まじめで奥手だから婚期を逃したり……みたいな悩み多き「恋愛下手」として描かれがちですが、実際のところどうなのでしょう? みなさん、悩んでいるんですか?

矢島:世間でよくイメージされるような「恋愛下手」とはまた違うかもしれませんが、悩みはいろいろと抱えていますよ。私のまわりのハイスペ女子から寄せられる相談で多いのが「出会いがない」と「どういう人を選ぶべき?」の2つですね。

——「出会いがない」と「どういう人を選ぶべき?」は、ウートピ世代の独身女性もほぼみんなが抱えているお悩みかも……(笑)。

矢島:ハイスペ女子の場合、「どういう人を選ぶべき?」という問題に2つの条件がついてきます。つまり、相手の「収入」と「教養」です。「教養」とは、結局「学歴」とかなりの部分重なるんですが、文化的なレベルや、知識の量、受けてきた教育の質などをひっくるめたものですね。簡単に言えば、話が合うかどうか、です。

会社を経営していたりしてすごく収入があっても、この「教養」がないとハイスペ女子としては「会話が楽しくないからNG」となってしまいます。相手の育ちの悪さを感じてしまうという人もいます。ハイスペ女子の相手選びでは教養のある/なしは外せない条件のようです。

「収入」に関しては、自分もちゃんと稼いでいるので、収入は同等か、自分より上ならOKという感じですね。なかには自分の何倍も稼いでいないとダメという人もいますが。

——自分より「上」どころか「何倍も上」を希望する人もいるんですね。

矢島:「教養」と「収入」の重なる部分を探そうとして苦労しているハイスペ女子は少なくないようです。とある30代のハイスペ女子の話ですが、婚活パーティーに出かけていくと最近は20代の参加率が高いため自分が場違いな感じがしてしまうし、経営者の男性が集うような場所に出かけて行っても「教養」の面で「ちょっと無理だな……」ってなっちゃう場合が多いそうです。

——要は、「教養」と「収入」がある自分に似た人を求めてしまうんですね。その時点ですでにハードルが高いですね。

矢島:そう。そうなるとやっぱり物理的に難しいんですよね。一般的な女性が相手に求める年収は今の時代、700〜800万円だとすると、ハイスペ女子は平気で1000万円、時には2000万円を求めていたりするので(笑)。それだけでも世の中の10%もいないのに、さらに「教養」がある人となると本当に限られちゃいますよね。

「上方婚」にこだわるのはなぜ?

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——でも、なぜ相手に「収入」を求めてしまうんでしょう? 自分も安定してかなり稼いでいるのであれば、仮に相手の収入が少なくてもそんなに気にする必要がなさそうですが。

矢島:自分より社会・経済レベルが低い相手と結婚する「下方婚」と、高い相手と結婚する「上方婚」で考えれば、ハイスペ女子は圧倒的に上方婚志向ですね。同じようなスペック同士の「同質婚」でも、まあOKなんですが、一番したいのは上方婚でしょうね。でも、それは本人が望んでというよりも、「親からの押しつけ」も多いんです。

ハイスペ女子の親も学歴にこだわる傾向にありますから、せっかく相手を見つけてきても「〇〇大出てて、何でそんな学歴もない人と結婚するの?」と言われちゃったり。私の友人も医者だった相手について親から、「〇〇大学の△△の医局じゃないとダメ」と言われてしまったと。

——親御さんがかなり保守的なんですね。

矢島:まあ、時代と共に少しずつ変化しているんですが、現代のハイスペ女子はまだかなりコンサバティブ(保守的)な家庭で育てられた人が多いと感じますね。例えば、外資系企業でバリバリ仕事をしているハイスペ女子は、わりと帰国子女が多いんです。実家の家庭環境も日本に比べたら自由な雰囲気なのかな、と思いきや、意外とそうではなくて。

海外で生まれ育って、大学進学や就職で初めて日本に来たようなハイスペ女子でも、親の教育方針はガッツリ「日本人たるものは!」って感じだったりして、日本人よりもコンサバティブな感覚を持っていたりします。普段は礼儀正しくて律儀、外国人と話すときだけ、いきなりカジュアルになっちゃうようなタイプですね。

——外資系のハイスペ女子ほどコンサバというのは面白いですね。

矢島:結婚相手の男性に「学歴」と「収入」を求める上方婚は、まさにコンサバです。そういう女性の親は上方婚志向が強いですから、たとえ彼女たちが「彼には収入がないけど、私が養うからいい!」と言っても、親が躊躇しちゃうんです。親の言うことには素直なのも、ハイスペ女子の特徴ですしね。

——「教養」と「収入」が自分にとって、というより親にとって外せない条件になっている面もあるんですね……。「いい相手がいない」は、ハイスペ女子に限らずみんなのお悩みですが(笑)、やっぱり客観的に見たら「ムリでしょ」という条件を求めちゃうところはありますよね。

次回は「仕事がデキるハイスペ女子は恋愛も上手?」というテーマで聞いていきたいと思います。

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