日本一ちっちゃな働きかた改革 第20回 正能茉優さんインタビュー(第3回)

褒められるために仕事してちゃダメですか? モチベーションについて考える

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褒められるために仕事してちゃダメですか? モチベーションについて考える

「日本一ちっちゃな働きかた改革」
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「フリー編集長」と「社畜プロデューサー」というまったく異なる立場から、ウートピ編集部というチームを運営している鈴木円香(33歳)と海野優子(32歳)。

脱サラした自営業者とマジメ一筋の会社員が、「心から納得できる働きかた」を見つけるため時にはケンカも辞さず、真剣に繰り広げる日本一ちっちゃな働きかた改革が現在進行中です。

海野P(左)と鈴木編集長(右)

海野P(左)と鈴木編集長(右)

残業は禁止になったし、コアタイム制も導入されてる。でも、これってホントの「自由な働きかた」じゃないよね? 「自由」ってこんなもんじゃないよね? 自分の働きかたに、何か釈然としないものを感じたまま仕事をしている人も少なくないはず。

最近よく言われる「自由な働きかた」って、一体どこにあるんですか?

今回は、「ローコストでハイパーハッピー」をコンセプトに「自由な働きかた」の極致を体現するハピキラFACTORY代表で、SONY社員でもある正能茉優(しょうのう・まゆ)さんが、「ウートピ働きかた改革・有識者会議」のゲスト。

会社にリモートワークの仕組みがあっても週5で毎日出勤、つい深夜まで働いてしまうゴリゴリ社畜体質の海野Pが挑みます。

正能さん(中央)と海野P(右端)の対決もそろそろ終盤に

正能さん(中央)と海野P(右端)の対決もそろそろ終盤に

【第1回】社畜OLがついに見つけた「心から嫉妬できるワークスタイル」
【第2回】社畜OLとハピキラ社員が“努力”について考える

ハッピーって何だ?

鈴木:第1回の「社畜OLとハピキラ社員の遭遇」、第2回の「がんばるって何だ?」と話を伺ってきて、正能さんの働きかたの根本には「ハッピー」があることが見えてきました。最終回は、その「ハッピーって何だ?」というテーマで話していきたいと思います。

正能:そう、大事なのはハッピー。みんな、ハッピーなことが大事。私、先日ちょうど26歳になったところなんですが、私たちの世代は案外保守的だったりするんです。仕事云々ではなく、普通に結婚していいママになりたいなって女の子も、実は結構います。私も「そういうのもいいな」って思ったりすることもありますし。

結局、どんな人生でも、本人がハッピーならそれでいい。自分の人生に満足できてれば、みんな文句も言わないし、問題は、自分の人生に本当に満足できるの?ってことかなって。

鈴木:それはすごく本質的な問題ですよね。

「じゃあ、何やりたいの?」って言われても…

正能:働きかたとか生きかたの話をしていると、「今の仕事がイヤだ、会社がイヤだ」みたいな話ってよく聞くじゃないですか。そういう話をしていると、次に飛んでくるのは「じゃあ、何やりたいの?」っていう質問だと思うんです。

海野P:そうそう、私もこれまで死ぬほど聞かれてきた質問です。

正能:でも、「じゃあ、何やりたいの?」って聞かれて答えられる人なんか、いないと思うんです。答えられるなら、もうやってるし。

海野P:そうそう!

正能:そういう時にどうするか? 私は「やりたいこと」は結果として見つけるしかないと思うんです。だって、今、自分の目の前にあるのは、「明確にやりたくないこと」と「それ以外」の2つだけだから、「やりたいこと」を見つけるには、「明確にやりたくないこと以外のこと」を順番に試していくしかないんです。

海野P:確かに、9割くらいは「やりたくないこと以外のよくわからないこと」かも……。

正能:でしょ。「好きなこと」や「やりたいこと」と言われても、普通にしてたら見つかるわけない。大学生やって、会社員やって、ママやって……生きてたら、それだけでみんな精一杯だもん。でも、何かちょっとでも気になったことがあったら、やってみる。で、「意外にできた」「意外に好きだった」ってことがあったら、ラッキーって。

鈴木:「じゃあ、何やりたいの?」っていう質問がナンセンスということですね。

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モチベーションなんて、そもそもない

正能:こうやって働きかたに関するイベントに出たり、取材を受けたりしてると、「どうやって働くことへのモチベーションを上げるか?」みたいなテーマについて、聞かれるんです。だけど、その質問も答えはない。

鈴木:というと?

正能:「明確にやりたくないこと」と「その他のよくわからないこと」の2つしかないのに、モチベーションが生まれることはなかなかない。

鈴木:仕事がイヤだ、モチベーションが上がらない、じゃあ、どうやったらモチベーションが上がるかな?という思考プロセスそのものが間違ってると。

正能:そう。やりたいこととか、モチベーションとか、最初からあるとかありえないかなって。ある日突然湧いてくるとかありえないよなって。「よくわからないこと」を一つずつ試し続けて、「意外にできるかも」と感じることが見つかった時に、初めてモチベーションが生まれるんじゃないかな。

鈴木:すごく正論だと思います。

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みんな、褒められるために働いてる

鈴木:このインタビューが始まる前は、「ローコストでハイパーハッピー」の正能さんと、社畜Pこと海野ちゃんの間で、果たしてちゃんと会話が成立するのかちょっと不安だったんですが、感覚的には意外に近いのかも。海野Pが押し殺してきた潜在欲求を、正能さんがナチュラルに実現しちゃっているというか。

海野P:だから、本気で嫉妬するんですよね(笑)。それに本当に自分の感情に素直に生きてる。

鈴木:確かに、「こうあるべき」みたいな理想とか、そういうものが全然ないですね。

正能:理想はないですね。夢とか目標とかも聞かれるとすごく困ります。ハピキラFACTORYも事業目標とかないですし。売上は増えても減ってもいいかな。増えたら増えたで嬉しいけど、基本はこのままのサイズ感でビジネスを続けたい。

私、「Small is beautiful when it is not isolated.(孤立していない限り、小さいことは美しい)」という言葉が好きなんです。「これは自分でつくりました」と言える規模感で、それでいて社会全体に何かしらの影響を与えられるカタチで仕事をしたい

鈴木:「社会のためにいいことしてる」っていう実感が持てることも、大事ですよね。

正能:うん、そういう大義も欲しいな。だって、そのほうが褒められるじゃん

鈴木:(え、そっち?)

正能:ビル・ゲイツが来日していた時に講演に行ったんですけど、会場の人が彼に「今、一番興味のあることは何ですか?」と聞いたら、彼は「マラリア」って答えたんです。私、マラリアのことなんて、26年も生きてきて1ミリも興味もったことないのに……。たぶん、ビル・ゲイツほどの人なら地球の裏側にいる誰かの不幸について考えられるのだろうけど、私には無理だもん。

そんなに高い視座には立てない。アメリカザリガニくらい地面に近い視座しか持ち合わせてない。だから、あいにく純粋な大義は抱けなくて、「いいことしたら褒められるかも? でも、結果として世の中がハッピーになるなら最高!」っていう下心のある大義しか抱けないわけです。

海野P:下心のある大義(笑)。

正能:そう、下心のあるミーハーな大義。でも、ミーハーな大義でもいい。それでみんなが幸せになれて、自分も褒められるなら。

海野:社畜OLだってみんな褒められたいんです。褒められるためにがんばってるんです。「認められたい」って、結局「褒められたい」ってことだから。

正能:だよね!!!

鈴木:(油と水のはずのふたりが、最後にまさかの意気投合……)

(構成:ウートピ編集長・鈴木円香)

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日本一ちっちゃな働きかた改革

脱サラした自営業者のウートピ編集長・鈴木円香と、社畜プロデューサー海野Pのふたりが、時にはケンカも辞さず本気で持続可能なワークスタイルを模索する連載です。

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