ちょっと歩けばコンビニやスーパーがたくさんあって、テレビや雑誌では際限なくおしゃれなレストランやバーが紹介される。なんとも便利で私たちのいろんな欲を満たしてくれる“東京”という街。
でも、自分にとって本当に必要な豊かさって何だろう?
8月上旬に東京・八重洲にあるシェアオフィス、Diagonal Run Tokyoで「今日から鎌倉に移ります。~鎌倉に移り住んだ3人の話~」と題したイベントが開催されました。
3人のお話から、移住する時に気になることをピックアップ。後半は、鎌倉で子どもを産むこと、生活コストは本当に下がるのかについてお届けします。
【登壇者プロフィル】
細井麗子さん:鎌倉在住。会社の倒産を機に移住。現在は鎌倉市内で会社員として勤務している。移住後4ヶ月でスピード婚。
柴田麻衣さん:逗子在住。家を建てるため夫婦で移住。都内の大手IT系企業に勤務。移住10ヶ月目。通勤時間は片道1時間45分
林彩子さん:鎌倉在住。陶芸家。7年前、結婚と独立を機に鎌倉に自身のアトリエを立ち上げる。現在3歳になる娘のママ。
【第1回】鎌倉移住のきっかけ「東京にこだわりすぎてない?」
【第2回】東京で家賃を払い続ける不安…移住で暮らしは変わった?
東京の暮らしも100点だった
——今の鎌倉暮らしに100点満点で点数をつけるとしたら?
細井麗子さん(以下、細井):100点!と言いたいけど、マイナス5点で95点かな。マイナスの部分は、夏だけ。今年初めて鎌倉の夏を体験しているんですけど、ちょっと雰囲気が変わるというか。パリピとか、ヤンキー車が集まるのがちょっと(苦笑)。
柴田麻衣さん(以下、柴田):私は200点ぐらいつけたいほど満足しています。最近すごくいいなと思ったのが、朝、バス停で待っている時の、太陽と緑と風。風が全然違うことに気づいた時に超幸せだなって思いました。
林彩子さん(以下、林):ふたりとも高得点。私も100点だと思っています。子育て中でもあるんですけど、山があって海があって文化があるっていう、サイズ感も含めてすごくいいところ。(建物の)高さ制限があるから、空も広くて、気持ちいいんですよね。
——東京での暮らしは何点でしたか?
細井:東京は東京で楽しかったです。イベントもいっぱいあるし。ピークの時には100点だと感じていました。移住前は70点ぐらいまで下がっていたかな。
柴田:私もそうです。東京は東京でめちゃめちゃ楽しかったし、そこに住んでいた時期は自分にとってはすごくいい人生だったなと思っています。でも、比較する基準が変わったんだと思います。
保育園に入れるのは意外に大変
——林さんは子育て中とのことで、鎌倉での子育てはいかがですか?
林:そうですね。鎌倉で出産したんですけど、子どもを育てるという意味ではいい環境だと思います。誰かが言っていたんですけど、「鎌倉で子育てをしている人が子どもに怒鳴るのを見ない」と言われて。そんなこと……あるか(笑)って。
でも都内で働いている人に子どもができた時、保育園に預けたとしても、「熱が出た」と連絡が来てまたトンボ帰りしなきゃならないとか。そういうのも聞きますね。
柴田:逗子や葉山は小さい町なので、保育園は意外と大変です。子どもをもつことを考えているなら、保育園の空き状況とか人気エリアを見た方がいい。私も、認可の一番大きな保育園の近くに家を買いました。結局そこも待機児童が出ているみたいなんですけど……。
物価はそんなに安くないけれど…
イベントの最後には参加者から「生活費は実際どのように変わりましたか?」という鋭い質問も。
林:私は鎌倉が安いとは思っていません。むしろスーパーも東京の下町と比べると高い。市場や漁港があるので、ちゃんとそこまで行くといいものが安く買えるということはある。でも、便利さを都内と比べたら便利ではない。私が住んでいる材木座にはコンビニがひとつもないので。
柴田:家を買ったので家賃がないのはありますけど、食費は全然変わらないですね。ただ、家にいることが充実しているので、わざわざストレス発散のためにどこかに行こうと思わなくなりました。その分の出費がだいぶ減りました。
細井:私は使うお金が結構減りました。お金をかけて遊ぶ必要がなくなったんです。鎌倉駅にはファッションビルや家電量販店といった、どの駅にもありそうな店がないんです。ビーサンでたいていどこでも行けるのでハイヒールももう必要ないですし(笑)。
今回のイベントは、ウェブマガジンhaletto(ハレット)が「自分らしい場所で暮らすこと」をテーマに主催。「その人が、そのときどきの価値観に合わせて、自由に街を選び、より心地よい暮らしを作るためのお手伝いをしたい」という思いがあるそうです。いきなり移住はハードルが高いけど、今の暮らしをちょっと見直したいなという時に、移住女子から学べることも多いのではないでしょうか。