アラサー以降ますます深刻化してくる女の腹まわり、通称“OVER30腹(オバサー腹)”問題。ボテボテ腹を放っておくと、慢性疲労、ひいては病気につながることを知っていますか。
呼吸整体師として約20年治療に携わり、これまで4万人以上の体を改善してきた森田愛子(もりた・あいこ)先生に、“オバサー腹”と慢性疲労の関係について聞きました。
おなかの状態でわかる、その人の健康偏差値
森田先生の治療院に訪れる患者さんは、ほぼ例外なく「おなかが膨張している」といいます。
「肩が痛い、腰が痛い、生理不順、慢性疲労が抜けない……。患者さんは個々のツラい症状を訴えるのですが、私が最初に診るのは患部ではなく、「おなか」です。おなかはあらゆる不調の“下地”となっています。ここに触れれば、その人の健康状態がすぐにわかります」
不調持ちの人のおなかは、胃のあたりの上腹部がパツパツに張り、下腹部は膨らみきった風船のようにパンパン……。反対に、何の健康問題もない人のおなかは、ふわふわでしなやかなのだそうです。
1日3万回くりかえす呼吸がその人の健康をつくる
そういう「おなかの状態」には、1日3万回くりかえしている“ふだんの呼吸”が関係しています。
「ピンとこない方に、もう少し詳しく説明しましょう。座ったままでいいので、おなかに手をあてて静かに呼吸をしてみてください。息を吸うとおなかは膨らみ、吐くとおなかがしぼむのがわかりますよね。
呼吸は、24時間365日休むことなくこの「膨らむ・しぼむ」のリズムに合わせて、体の中心から末端へ、末端から中心へと全身を循環しています。もう少し詳しく言うと、血液やリンパ、体液などと一緒に筋肉、関節、内臓、血流、免疫、自律神経など健康を司る機能がきちんと働くように調整しているのです」
ふだんから、浅く止まりやすい呼吸や、吸ってばかりで吐けていない呼吸をくりかえしている人、つまりおなかをきちんと使えていない人は、この「膨らむ・しぼむ」の動きがスムーズに行われていないそう。
「その結果、体内のあらゆる箇所に滞りが生まれます。そしてこの滞りの蓄積は近い将来、肩コリ、腰痛、内臓疾患や月経トラブル、肌荒れ、不眠、自律神経失調症など、さまざまな形となって出現することになるのです」
スマホや歯磨き…危険な息止めモードに注意
「私はちゃんと息をしているけど……」。そんな人も、無自覚のうちに“息止めモード”になっている場面がたくさんあるようです。
「たとえばスマホやパソコンに向かっているとき、歯磨きをしているとき、シャンプーをしているとき、満員電車に乗っているとき……。呼吸を忘れている時間ってありますよね。そして、この浅呼吸状態に陥っている間、例外なく人間の体は力んでいます。
そして、力みによっておなかはガチガチに固まり、呼吸はますます浅くなっていきます。こんな悪循環のくりかえしが“カチコチボテ腹”をつくり、あらゆる不調や病気の芽を育んでいるのです」
おなかは、生命活動や健康維持の基盤となるとても大切なもの。ふだんの呼吸や日常動作のひとつ一つを見直し、不調を寄せ付けない健やか美腹をつくっていきたいものですね。
森田先生の最新著書『奇跡の3日腹ペタ – 不調が消える! 体がコンパクトに! 』が3月10日にワニブックスから刊行されました。
(江川知里)