「寒い朝、頭がぼーっとして起き上がるのに30分ぐらいかかる」「年中、起床時にだらだらする。起きる方法はあるの?」という悩み、多くの人から耳にします。そこで鍼灸師の陽田志保子さんに、すっきり目覚めのためのツボを教えてもらいました。
すっきり目覚めのコツは血流アップ
はじめに陽田さんは、朝の目覚めが悪い原因についてこう話します。
「病気や薬の影響ではない場合、寝起きにだらだらするのは、頭部~肩の血流が滞っているからと考えられます。
すっきり起きるには、起床してからまずは寝ている状態のままで、これから紹介する頭と目のツボを刺激してみてください。次にゆっくりと起き上がって、頭の頂点にあるツボをヨガのポーズで刺激して全身の血流を促しましょう。
気合いで勢いよく、がばっと起き上がるのは避けてください。急に血圧が変動して、めまいや貧血、頭痛が起こることがあるからです。コツは、ツボを中心に徐々に血流を促すことです」
ツボ・天柱(てんちゅう)を刺激する
「天柱」の「天」は鎖骨から頭部までを、「柱」はその名のとおり、重要な部分を支える大黒柱を意味します。首の後ろに、2本の柱のように隆起する筋肉があるでしょう。その頂点にあるツボが天柱です。
ここを刺激すると頭部の血行が良くなり、徐々にすっきりとしてくるでしょう。だるさや疲れ、冷え、のぼせ、めまい、頭痛、目の疲れ、首や肩のこりなども改善する万能ツボとして知られています。
<ツボ「天柱」の位置>

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首の後ろの2本の太い筋肉と、髪の生え際が交差するところのすぐ外側にあるくぼみ。左右にあります。
<刺激法>
両方の手で頭を覆うように包み込み、おや指の腹をツボに当てます。ひと押し5~10秒ほどを3~5回くり返しましょう。指の腹でさするだけでも有用です。
ツボ・晴明(せいめい)を刺激する
スマホやパソコン画面を長時間見続けて疲れたときに、目頭を押さえることがあるでしょう。その目がしらに「晴明」のツボがあります。
「晴」は目、「明」は照らす、明るいという意味で、押すと目がはっきりと見えるようになることを表しています。目の周囲から鼻のあたりの血流を促し、目の疲れや充血、鼻水や鼻づまりの改善にも有用です。
<ツボ「晴明」の位置>

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目頭と鼻筋の間にあるくぼみ。左右にあります。
<刺激法>
ひとさし指などで、ゆっくりとひと押し5~10秒ほどを3~5回くり返します。ツメを立てないようにしましょう。
ツボ・百会(ひゃくえ)を刺激する
「百会」の「百」は数が多いことで、「会」は出会うという意味があります。全身の働きに関係する道すじが出会う場所である頭のてっぺんにあるため、こう名づけられたと言われます。
このツボを刺激すると、頭から首、体から足にかけて全身を巡るように血流が促されます。頭痛や頭重感、目の疲れ、鼻づまり、耳鳴りなどに作用し、目覚めの悪さを改善するでしょう。
<ツボ「百会」の位置>
両方の耳から頭に沿って上がった線と眉間の中心から上がった線が交わった部分。頭のてっぺんにあります。
<刺激法>
ひとさし指・なか指・くすり指をそろえて、ゆっくりとひと押し5~10秒ほどを3~5回くり返します。手のひらや指の腹でさするだけでも有用です。
また、ヨガのウサギのポーズでも指圧ができます。布団の中で四つんばいになり、百会をそっと布団(床)につけて刺激します。その姿勢で10~30秒ほどキープしましょう。可能なら、背中の後ろで両方の手を結び、天井に向けて上げます。全身の血流が促され、目が覚めてくることを実感するでしょう。その後は元の四つんばいに戻ってから、ゆっくりと起き上がりましょう。
聞き手によるまとめ
さっそく起床時に、まずは寝たままで、天柱、晴明、百会を手の指で押し、次によいしょっと四つんばいになってからウサギのポーズをしてみました。この過程で、じわじわと目が覚めていくことがわかります。試してみてはいかがでしょうか。
(構成・取材・文 藤原 椋/ユンブル)