寒い日が続く冬に活躍するのがニットやセーターですが、コートやダウンを着込んだり、暖房がきいた室内や電車に乗ると汗をかいてしまうという人も少なくないのでは?
最近はカシミヤ素材でも自宅で洗濯できるものも増えていますが、大事なお気に入りの服を長く着続けるためにも正しい洗濯の方法は知っておきたいところです。
そこで、衣料用洗剤メーカー「NSファーファ・ジャパン株式会社」の研究員・石井孝一(いしい・こういち)さんにニットの洗い方について詳しく聞きました。
ニットは3回着たら洗う
——ニットなどの冬の衣類は夏物に比べて汚れにくいイメージがありますが、どのくらいの頻度で洗えばよいのでしょうか?
石井孝一さん(以下、石井):ニットは洗いにくく、形崩れの心配もあってなかなか頻繁には洗えないと思うのですが、汗や花粉、ホコリがいつの間にか付着しています。なので、2、3回着用したら洗うようにしましょう。
短時間で洗うのがポイント
——3回着たら洗ったほうがいいのですね。洗い方について教えてください。
石井:繊維によっては洗えないものが多いと思うので、まずは洗濯表示を確認してください。ウールやシルクなどの動物系の繊維は水に濡れただけで縮みが発生するものもあるので、できるだけ短時間で済ませるのがポイントです。脱水をしてそのまま洗濯機に放置するとそのままの状態で型がついてしまうこともあります。脱水したらすぐに洗濯機から取り出して干すようにしてください。
具体的な手順としては、手洗いの場合は30度以下の水で押し洗いでやさしく洗いましょう。洗濯機を使う場合は、裏返しにしてドライコースなど力が加わらないコースで洗濯してください。ネットに入れてほかの洗濯物との摩擦を抑えるのもポイントです。おしゃれ着やデリケートな素材の衣類は中性洗剤で洗いましょう。
干すときもセーターやニット類は重さがあるので、釣り干ししてしまうと重さで伸びることもあります。可能であれば平干しのほうがよいかと思います。
脱水時間は30秒
——押し洗いは短時間でということですが、具体的に何分くらい洗えば良いのでしょうか?
石井:ものにもよりますが、押し洗いは5分程度に収めてください。洗濯機の脱水を使うようでしたら30秒くらいが目安です。脱水はどうしても強い力が加わるので30秒間脱水するか、できればタオルドライのほうがいいです。
——30秒でいいのですね。すすぎの回数は?
石井:洗濯桶に泡がなくなるまですすいでください。どうしても洗剤が残ってしまうとゴワつきの原因にもなります。敏感な方ですと肌によくないのでしっかりとすすいだほうがいいので、ここは念入りにすすぎをしてください。
——すすぎを念入りにというのはシャンプーと一緒ですね。
石井:確かにシャンプーをイメージするとわかりやすいかもしれませんね。
洗濯物が動かないネットを使う
——洗濯機で洗う場合はネットに入れてということなのですが、立体的なネットと平面的なネットの違いはありますか?
石井:どちらかというと、ニットやおしゃれ着の場合はマチがないネットのほうがいいです。
——そうなのですね! なんとなく立体的なネットのほうがよいのかなと思っていたのですが……。
石井:洗濯物が中で動かないようにしたほうがダメージが減るのでぴったりしたネットを使うのがおすすめです。マチがあるものや立体的なネットは中で洗濯物が動いてしまうので、できれば平たいほうがいいと思います。
——そういう理由があったのですね。ニットの干し方ですが、平干し用のネットがなくてとりあえずハンガーを二つ使って、ニットの裾と腕の下のほうを引っ掛けて干したことがあるのですが……。
石井:それでもよいと思います。
ニットの脇汗の洗い方
——ニットの脇に汗が付いてしまうことがあるのですが、その場合はどうすればよいですか?
石井:シミができた部分を洗剤で揉み洗いして、そのあとで漂白剤を付けていただくのが一番効果的かと思います。ただ、中には漂白剤を使えない衣類があるので注意してください。長い時間の漬け置きも避けたほうがいいので、できれば濃い目の洗濯液を作っていただいて、直接揉み洗いするのがよいかと。力を入れすぎるとよれてしまうのでゆるめに洗うようにしてください。