最近、注目されている「フェムテック」や「フェムケア」アイテム。10月7日には「アニヴェルセル表参道」(東京都港区)で、35を超える企業や団体の商品・サービスが出展し「フェムテックジャパン2021 / フェムケアジャパン2021」が開催されました。コロナ禍での開催だったため、来場は完全予約制。それでも500人の定員は開催前に埋まり、会場は熱気に包まれていました。
「フェムテック」とは、Female(女性)とTechnology(テクノロジー)をかけあわせた造語で、女性が抱える健康問題をテクノロジーで解決するという製品や技術、サービスを指します。話題に上ることが増えているものの、まだまだ一般的には語られることは少ないため、さらに多くの人に知ってもらうための舞台として開催されたのが「フェムテックジャパン2021 / フェムケアジャパン2021」です。
出展した企業や団体が紹介したのは、月経ケア、妊活・不妊・妊娠後・産後、女性特有疾患、更年期ケア、セクシャルウェルネス、メンタルヘルス関連。身近な生理用品から高度な技術を用いたサービスまで、その内容は多岐にわたっていました。その中から、前半は乳がんケア、後半は膣ケアにフォーカスしてイベントの様子をお伝えします。
うつ伏せに寝るだけでOK! 痛くない乳がん検診
日本人の9人に1人が乳がんにかかると言われている今、乳がん検診を受けたことのある方は多いかと思います。その一方で、定期検診の必要性はわかっていても、胸を見せることに抵抗がある、マンモグラフィで痛みを感じて以来、検診を受けていない…という声も。そんな抵抗感をなくしてくれる画期的な検査方法が「ドゥイブス・サーチ」の無痛MRI乳がん検診です。服を着たまま、専用の台の上にうつ伏せに寝て撮影するだけで、胸が圧迫されることがないため、痛みはありません。造影剤の投与も必要ありません。
簡単でラクなだけでなく、がん発見率が高いのもこの検査方法の特徴。「乳腺が高密度の人は、マンモグラフィではがんが発見されにくい」という話を聞いたことありませんか? 日本人は乳腺が白くぎっしり詰まっている高密度乳房の人が多いため、その乳腺に隠れてがんが発見されにくい傾向にあります。
「ドゥイブス・サーチ」はMRI撮影で乳腺に邪魔されないため、がん発見の精度が高いというメリットも。実際、私もマンモグラフィと「ドゥイブス・サーチ」の画像を比較して見たのですが、その違いは一目瞭然でした。
さらに、豊胸手術をしていたり、乳房再建手術を受けてインプラント(挿入物)が入っていたりする人も安心して検査することができ、がんの発見だけでなく、破裂や炎症のようなトラブルもわかるため、より安心できます。
検査費用は保険適用外で約2万円。現在、全国29の施設で受けることができます。「ドゥイブス・サーチ」の無痛MRI乳がん検診
乳房摘出後も「温泉に行きたい!」を叶える装着式人工乳房
乳がんによって乳房摘出手術を受けた後の選択肢のひとつとして提案されていたのが、装着式人工乳房「ルアナブレスト(R)」(カノアクルー)。接着剤なしで簡単に装着でき、取り外しも簡単。乳房再建手術をしなくても、自然なバストが再現できます。100%シリコンを使用した日本製で、職人の手でひとつひとつ丁寧に作られています。
驚くのは、その再現性。形だけでなく自身の肌の色に合わせて血管に至るまで着色され、本物と同じような柔らかい感触で自然なバストを再現しています。下記の写真を見てもそのリアルさがわかると思いますが、実際に触れたときのその感触には驚きました!
開発者の話では、乳房摘出手術を受けた人から最も多く聞かれるのが「温泉に入りたい」という声。「ルアナブレスト(R)」は肌の色をその人に合わせるほか、人工乳房周囲の薄い人工皮膚部分が体温で温められて透明になり肌になじむため違和感がありません。
他にも「ジムに行きたいけれど人の目が気になる」「暑い季節も胸の開いた服が着られない」「左右きれいなシルエットが出ない」などの声に応えるべく、より多くの人に知ってもらう活動を続けています。
今回紹介した2社の技術や取り組みを聞き、乳がんにまつわるテクノロジーの進化は目覚ましいのだと実感しました。そして、10月は乳がん啓発月間。厚生労働省では40歳になったら2年に1回、定期的に乳がん検診を受診することを推奨しています。まずは、乳がん検診を受けることから始めたいですね。