ニュースを読み解く用語集/第2回

「エビデンス」って何? ニュースがわかる用語

「エビデンス」って何? ニュースがわかる用語

「ニュースを読み解く用語」の意味や会話例について、大正大学表現学部教授で情報文化表現が専門の大島一夫(おおしま・かずお)さんに、編集スタッフの藤原椋(ふじわら・むく)が連載で尋ねています。

好評だった前回・第1回の記事「『ホールディングス』って何?」に続き、今回はメディアでよく耳にする「エビデンス」という用語について、詳しく聞いてみました。

編集スタッフ・藤原

編集スタッフ・藤原

大正大学表現学部の教授で情報文化表現が専門の大島先生

大正大学表現学部の教授で情報文化表現が専門の大島先生

「医学的根拠」「科学的根拠」のこと

m.fujis

エビデンスという言葉は、テレビや新聞などで医療情報が報道される際に用いられているように思います。とくに新型コロナウイルス感染症に関するニュースでは頻繁に耳にします。どういう意味なのでしょうか。

k.ohn

エビデンスは英語の「evidence」に由来した外来語で、「証拠、根拠、証言」という意味です。ニュースでよく使われるのは、医学や科学の分野でしょう。また、心理学、社会学、教育学、法学などでも用いられます。

医学で、ある治療法が特定の病気やけが、症状に有効である場合、それがわかる実験や臨床(治療の現場)での結果を示すことを「エビデンスである『医学的根拠』や『科学的根拠』を提示する」などと言います。

m.fujis

エビデンスとは「医学的根拠」や「科学的根拠」を示す言葉なのですね。治療法を説明する場合には必須の重要な情報ですね。

医学の分野で使われ始めた用語

k.ohn

そうです。エビデンスとはつまり「裏付けとなる情報」で、医学の分野で使われ始めました。日本の医療では1990年代ぐらいまで、治療法を決定するにあたっては大規模な病院の有力な医師(教授)の個人的な経験や勘、慣習などによることが多かったと言われます。

しかし、2000年頃から『科学的、医学的に検証された最新の研究結果、エビデンスに基づく治療法』が最重要視されるようになりました。その治療法を用いるとどれくらいの人が治癒したのか、副作用はどうなのかなど、実際の治療データを集めて検証することが医療の基本になっています。

治療法の確かさをこうしたデータで裏付ける医学的根拠がエビデンスです。医療においての根拠は「エビデンス ベースド メディシン(evidence based medicine)」ともいいます。エビデンスと同じ意味です。

m.fujis

「エビデンスレベル」という言葉も聞きます。

k.ohn

「エビデンスレベル」は根拠の信頼度のことで、「この資料はエビデンスレベルが高い」などと言います。治療法を選定するときに、複数の確かな根拠に基づいたレベルが高いエビデンスかあるかどうかがとても重要になります。

210401_大島氏

「エビデンスに基づいた情報か」

m.fujis

エビデンスはどういった場面でどのように使用されるのでしょうか。

k.ohn

例として、「医療・健康分野の書籍を執筆するにあたり、最新医療の情報とそのエビデンスを調べる」、「上長に『この情報はエビデンスに基づいているのか』と聞かれた」、「医学論文を執筆する際にはエビデンスの提示は必須だ」、「このウエブサイトの科学記事はエビデンスが明らかではない」などですね。

ビジネスでは証拠の文書や音声データを指す

m.fujis

使用例を聞いてさらに意味をくみ取ることができました。エビデンスは医学や科学の分野以外に、ビジネスシーンでも使用されていますね。

k.ohn

会議や打ち合わせの際の議事録や録音データ、また、他社や個人とのビジネスメール、契約書類、送金証明書類などをエビデンスと呼ぶ場合があるでしょう。トラブルになったときのために、話し合った事実関係や取引内容を記録した「証拠としての文書や音声データ」を指します。

IT業界ではエビデンスというと、証拠資料というとらえかたをします。例えば、ウエブサイトの作成の過程でエラーが出た場合はログ(履歴や情報。またはその記録)や画面のスクリーンショットを残します。また、自分が執筆した記事が〇月〇日〇時〇分にアクセスランキング1位になったとすると、その瞬間のスクリーンショットを撮っておき、エビデンスとして記録するなどします。

m.fujis

多くの場面でエビデンスという用語が使われているのですね。

k.ohn

そのために注意も必要です。「これがエビデンスだ」と言われて説明されると、ついうのみにしがちです。疑問に思う場合は必ずもうひとつ突っ込んで、そのエビデンスはどんな根拠、データに基づいたものなのかを自分で確認する必要があります。

m.fujis

エビデンスのエビデンスを納得するまで確かめようということですね。わかりました。エビデンスという用語はこれからも、ニュースや職場の会話で登場したり使用したりする機会がありそうです。意味や活用の歴史を知ることができて、医療情報の理解も深まるように思います。大島教授、ありがとうございました。

次回は「ダイバーシティ」についてお尋ねします。

(構成・取材・文・イラスト 藤原 椋/ユンブル)

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