ケーキと花束にほだされないで…その介護離職ちょっと待った【わたし、定時で帰ります。】

ケーキと花束にほだされないで…その介護離職ちょっと待った【わたし、定時で帰ります。】

仕事辞めちゃダメ、ゼッタイ。

親の介護のために離職した人が、社会復帰できずに路頭に迷い、困窮していく。そんな話をよく聞く。「親孝行」「家族思い」という美談で語られがちだが、実際はそんな甘いものではない。昨年放送されたNHKスペシャル『ミッシング・ワーカー 働くことをあきらめて…』では、介護離職で親の年金に依存した生活を送る40~50代の人が取り上げられていた。介護サービスを利用せず、全部自分でやろうとした結果、にっちもさっちもいかなくなって、親子共倒れというケースが想像以上に多いのだ。

親を大切に思う気持ちを否定するわけではない。でも一度離職すると、社会復帰しづらくなる。70~80代の親は年金額も資産もそれなりにあるから、生活はなんとかなるだろうと思ったら大間違いだ。介護は予想以上に長引くと思ったほうがいい。10年20年とそれが続くとしたら、自分の生活はどうなるか。自分の老後の心配を忘れてはいけない。子供がいる人はなおさら辞めてはいけない。何があっても仕事は辞めず、自分の子供と生活を守ることを第一に考えるべきだ。

自分が親の介護をすると考えるよりも、介護サービスをうまく利用するために情報を入手し、必要な手続きをしてあげることのほうが親孝行である。たとえ遠方に住む親であっても、地域包括支援センターやケアマネージャーとこまめに連絡を取り合えば、親に必要なサービスは受けられるはず。

家族はべったり寄り添う必要はない

いざというとき、家族で支え合うことはもちろん大切だし、老いた親を子供がサポートする姿勢は重要だ。でも、仕事や日々の生活、人生設計に支障をきたすような「べったり寄り添う」必要はない。

ドラマの中で、坪倉の母親はおそらくまだ60代ではないかと思われる。なんらかの疾患によって集中治療室に入った後、退院したがリハビリが必要な状態だという。意識ははっきりしているが、体が不自由で日常生活をひとりでは送れない状態と推測。

坪倉がやるべきことは、まずは要介護認定の申請、そして母親の年金額や加入している生命保険や医療保険の補償内容の確認、さらには預貯金額やローンや負債の額を把握することだ。仕事を辞めるのではなく、こうした経済状況をきちんと知って、対策を練るべきだったのだ。

速攻仕事を辞めたのは、そもそも熊本に帰りたい気持ちがあったのかもしれない。収入は内田の方が高かったのかな。もしそうだとしたら、この夫婦は働き方と人生設計について、もう少し話し合っておいたほうがよかったのではないか……などと、いろいろ妄想してしまった。たかがドラマで。されどドラマ。

まあ、とにかく、独身も、既婚者も、子持ちも、そして兄弟姉妹がいないひとりっこであっても、親の介護で離職しちゃダメ。自分の生活の基盤と人生設計はキープしたまま、情報入手と対策を。「仕事辞めて、自分を犠牲にして、親の介護してます」「家族は一緒に暮らすのが一番」がお手本や理想になってはいけないのだ。あ、もうひとつ加えるなら、「夫の親の介護を妻がする」のも絶対に美談にしてはいけない。

(吉田 潮)

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