恋愛経験をある程度積み重ねてきて、酸いも甘いも知っているオトナだからこそ、パートナーにあえて「言わない」ことをあえて拾って、恋愛コラムニストの桐谷ヨウさんにアドバイスをいただく連載「◯◯って言わない女子」。
ヨウさーん! 今回はこんなつぶやきを発見しましたよーー!!
【今回のつぶやき】
「外堀を埋められて結婚…ってどういうこと?」
先日、3年付き合ってた彼に「実は話さなきゃいけないことがある。今度結婚することになった」と言われました。
前の日まで仲よく旅行に行っていたので、まさに青天の霹靂でした。
後日、落ち着いて事情を聞いたところ、実は6年ほど前から合コンで知り合った女性と付き合ったり別れたりを繰り返しており、結婚を迫られしぶしぶ結婚届を出したとのことです。
彼女(あ、今は奥さんですね)とは共通の知り合いも多く、周りからもいつ結婚するのか? を聞かれて「外堀を埋められた」とのことです。
「でも旅行もご飯も君と行くのが一番楽しかった。だからこそ辛気くさい話はしたくなかった」と言われました。
随分とバカにされたもんだと思いつつも悪い気はしなかった自分が情けないのですが。それは置いておいて……。
私は結婚願望はないのですが、そんなことで結婚するものなの? と疑問です。そういうもんなのでしょうか?
アラサー未婚男子のホンネは…
こんばんは。ヨウさんです。
たしかにその言われ方は、“悪い気はしない”ですね(笑)。いや、彼にバカにする気はまったくないと思いますよ!
言われてもこちら側がどうしようもない本音は、罪ですよね。
今回は思いつくところから喋っていきます。
自分自身が長いこと同棲して、つい最近やっと婚姻届を出したのですね。その経験からすると彼の心情はすごくわかります。というか、世の中の未婚男性(30代)は、大体こんな感じかもしれない。
まず結婚願望がそれなりにある20代の男性は、さくっと結婚します。学生時代から付き合っていた彼女とか、5年目あたりまでのタイミングで付き合っていた人と覚悟を決めますよね。結婚式ブームの1回目と2回目のイメージです。
で、そもそも結婚願望がない人は20代で結婚するなんて論外だし、30代になっても積極的に結婚する理由なんてないんですよ。
合理的に頭で考えると、未婚から見て、結婚生活にメリットなんてないんですもん。そりゃ二の足を踏むってもんです。
先に既婚になった友人に「結婚、いいよ」と言われても、内心「そりゃお前がしたかったからだろ。特にうらやましくない」というのが結婚願望がない男性(過半数)の感想。
逆に「結婚、しないほうがいいよ」とネガディブな情報をインプットされたら「だよな」となる。
そして、仲がよかったり気が合ったりしても、必ずしも結婚相手になるとはかぎらないというのが、今回のポイントじゃないかなー。
「私たち、そろそろ結婚してもいいんじゃない?」と言えない貴女に伝えたいこと
この記事で書いたように、「気楽で楽しい現状維持(順調な交際)を選択してしまうに足る根拠が乱立している」からです。
別に俺は男の味方も女の味方もしません。ただ、どちらでもよい状況のときに、あえて現状を変えるアクションを取る人間はきわめて少ないという事実をはっきりさせておきたいのです。
「そんなこと」で結婚しちゃう場合って結構ある
わかりやすいのが“転職活動”かもしれません。
明確にいまの会社を辞めたい、続けられない理由がある場合は話が早いです。環境を変えようと自分からアクションを取るでしょう。
でも、多少不満を持ちつつも「それなりに悪くないなー。てかいいんだよな」と思っているパターンだと、人ってなかなか動かないんですよ。今回の男性のケースはそれに近い気がします。
で、外堀ってなんだよ?! と思われるかもしれませんが、マジの本音だと思います。
とある会社の人が「お前がよければいつでも合格」と言ってきている状態で、「いつくるの?」「足りない条件はなんなの?」とレールを引いてくれている状態。
このケースが適切なたとえかどうかは分からないですが、要は“抵抗する方がコストがかかる”というイメージを持ってください。
そんな流れだったら、転職するでしょう。結婚だって同じです。
先に挙げた記事で書いたのは、この「レールを引く」という部分を外注してしまおう……という話でした。それができる人はこういう悩みを持たないだろうから。
「そんなことで結婚するの?」という言葉は真理です。
逆に、そんなことでしか、結婚するに足る理由なんてないんですよ。結婚に夢も希望もないような男たちには。
そう、だから女性が彼のことを大好きでも、彼が「べつに結婚にこだわっていない」とか「自分から動くほど結婚をしたいわけじゃない」とか。あるいは「そういうの自分では言えないんだよなぁ」というスタンスのときは、現状維持が起きちゃう。
だから周囲の他人を使って、外堀を埋めていく人がその流れに持っていっちゃう。いったん流れができちゃったら、それに逆らうのも大変だから、もうそのまま流されちゅう自分を正当化しちゃう。「よし、腹をくくるか」と。
「流れに乗ってみる」のもアリ?
まとめます。今回のご相談者様が直面したエピソードは、とても含蓄に富んでいます。
人は強烈な内発的な動機に突き動かされて決断して、進むべき道を決めて、人生を歩んでいるわけじゃないんですよ。むしろそんなのは人生に何度かしかない特別な事柄です(起業家とかはそうじゃない人も多いですが)。
ほとんどのシチュエーションや多くの年数を、なんとなくの流れに従って、それに乗っかって、生きているんです。
人はそれを「なりゆき」とか「運命」とか「タイミング」とか「自分の決断」と言っているようです。
だから自分に対しては、そのなんとなくの流れを楽しんで、「乗ってもいい」と思えることならば乗っかって楽しんでください。それが人生を濃密な体験にするひとつの方法だということをご相談者様はもう知っているように、俺には感じます。
そして他人に対しては──これは恋愛でも仕事でも、友人関係でも──流れをつくってあげる、ということを意識してみてほしいのです。他人をコントロールしろ、と言っているわけではありません。
自分で考えて、選択して、行動を起こすというエネルギッシュな人は、現実的にはそう多くないという事実がただそこにあるんです。
だから流れをつくってあげる。そこにその人が乗っかればそれはそれでいいし、乗っからなければその人の好みじゃなかったんだな、と思ってみる。勝手な期待だけはしない。
流れに乗るというのは、必ずしも最愛の人を選択することや、最良の道を選択するということを意味しません。そして、欲やエゴが強い人ほど、流れを作ってしまいがちというのは、ちょっと根深い話ですよね。
応援しています。