今まで見えなかったものが見えると人生は変わる? 「大人の勉強」のススメ

今まで見えなかったものが見えると人生は変わる? 「大人の勉強」のススメ

コラムニストの桐谷ヨウさんによる連載「なーに考えてるの?」がスタートしました。ヨウさんがA to Z形式で日頃考えていることや気づいたこと、感じたことを読者とシェアして一緒に考えていきます。第23回目のテーマは「X=X線」です。

今まで見えてなかったものが見えるようになったときの衝撃

唐突ですが、昔からレントゲン写真が大好きです。

一時期、頻繁に整形外科に通っていたのですが、わざわざデータをCD-Rに焼いて渡してもらったりしていたくらいです。俺の写真クラウド環境には歯医者でもらった頭蓋骨やら、腱鞘炎の疑いで撮影した手指やら、CTも含めれば腰椎のデータも保管されております。

なんで? と言われるとむずかしいんだけど、普段は見えないレベルの人体の組織・骨格を実際に見ることが出来るのが、なんとなくワクワクするんだと思います。

さて、レントゲンの歴史を調べたことはないけど、発見&発表されたときのエポックメイキングっぷりはハンパじゃなかったのではないだろうか?

なんといっても肉眼で見えなかったものが、可視化されてしまったのだ。目で見る世界とはちがうものを、写真に残すことができる。これはものすごい衝撃があったにちがいない。

人体の構造といえばジャンルを超越した奇才・レオナルド・ダ・ヴィンチが死体を解剖して、骨や筋肉に関する克明なスケッチを残していたことが有名である。だけど、その人の実態については知る術はなかった。たとえば生きている人間に対して、骨折しているかを確認するためにいちいち解剖でもされようもんなら、たまったもんじゃないわけで。

こういった内容は人体だけの話ではないと考えている。

実態としてたしかに存在しているのに、可視光線下では見えないものが存在しているという事実は、とても面白いと思っている。紫外線や赤外線なんかがそうである。実際に存在しているのに、我々が見ることも、感知することもできない存在、光である。

ちなみに他の動物は鳥やハエは紫外線が見えるようだし、ヘビは熱を感知してサーモグラフィーのように見えているようである。こういった話は「環世界」というキーワードで研究がされているようだ。それぞれの種ごとに固有の知覚世界を持って生きており、その世界観で生きている。

おそらく自分にとってレントゲン写真がもたらすときめきとは、別の環世界にまぎれこむことができたかのような目眩が発生するということなんだろう。

「感性のちがいが面白い」という現象も、本質的には似ている気がしている。自分と同じ世界を生きながら、目の前のこの人は自分とは少しちがう解釈で世界を生きている。その差異が知的好奇心をくすぐり、別のアングルで世界を見るきっかけになっているからなんだと思う。

見えるものが変われば、判断や決断も変わる

健康や幸せに関しても、同様である。目に見えないものが可視化されることで、なにか別の手を打てるようになるというのは福音である。

たとえば誰かがハッピー感を感じていないとする。その理由が、神経伝達物質における特定の物質の欠乏なのだとしたら、そこが充足するためのアプローチを取れば、ただのサプリですらそれを解決することができる可能性がある。「適度な運動と充分な睡眠」みたいなざっくりしたアドバイスよりも、よっぽどピンポイントで刺さる内容になるはずである。

あるいは特定の病気になっていなくても不定愁訴を感じていたとする。なんとなく気分がすぐれない、なんとなく体調がパッとしない、あくまでなんとなく。そういう場合、いまの医学では原因を特定することが難しいケースが多い。経験豊富で勘の鋭い医師が、「あるある」をもとに原因を連想してアドバイスをくれたときは原因を解決できる可能性があるけど、それはとてもラッキーケースで、大体の場合は曖昧に濁されて終わってしまう。これがいまは可視化されていない物質の増減によりもたらされているとしたら、対処は変わってくるだろう。

「見えないものを可視化することができれば、アプローチの仕方が根本的に変わってくる」という事実はとてつもないことなのだ。

尊敬している人が五年くらい前に言っていたことが印象に残っている。

「これは人間の幸せがデザインできる時代がやってきたってことなんだよ」

現在はまだ保険診療になっていないため詳細は伏せるが、近い将来に医療のスタンダードになっていくことがまちがいない先端医療の検査があり、これらが身近なのものになれば、個々人の健康へのアプローチの仕方は劇的に変わる。そういったものがどんどん出現してきている。

可視化は大きなキーワードである。医学的な話だけでなく、たとえば社会のメカニズムを認識することであったり、金融リテラシーを身につけることであったり、対人関係の洞察力を磨くことであったり、そういった知識や能力を身につけることは、自分の世界をガラッと変えうるものである。見えるものが変われば、判断や決断は変わる。

「人生、何歳になっても勉強が必要」

これは正しいと思うのだけど、なんとなくモチベーションが湧かないフレーズである。

そんなとき俺は「新しい(他者があまり持っていない)可視化ツールを手に入れられる」と考えるようにしている。他者との競争ではないにしろ、いままで見えなかったものが見えるようになることは、人生におけるさまざまなアプローチを劇的に変えうる。何よりも実態をきちんと知り、未来に進むことができるようになる。本当に素晴らしいことだと思う。

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