パリ流恋愛のススメ leçon8

結婚の「縛り」から解放されたい! パリジェンヌがいつも「女」でいる理由

結婚の「縛り」から解放されたい! パリジェンヌがいつも「女」でいる理由

前回は、「もしも他の男性に心がうばわれたら?」をテーマに自分の気持ちを偽らないパリジェンヌ流の恋愛観をご紹介しました。今回のテーマは結婚です。

婚姻、非婚姻を選ぶ

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近ごろ、日本で「フランス婚」と耳にすることがありませんか? フランス婚というと、事実婚をイメージしますが、フランスではれっきとした(同性婚を含む)第二の婚姻関係です。それが1999年から導入された「PACS(パックス)」の制度。パックスは、「性別に関係なく、成年に達した二人の個人の間で、安定した持続的共同生活を営むために交わされる契約のこと」*で、結婚をせずしても夫婦と認められ、結婚同様に公的権利が与えられます。カップルが「この先」を歩む同意をしたら、届け出において、ふたつの選択肢があるのです。
*在フランス日本国大使館HPより引用。

結婚は「重い」?

日本でも「事実婚」を選ぶカップルも増えたとはいえ、法的な手続きがなく、依然として正式な結婚のほうが一般的です。一方、フランスでは2015年の時点でのPACS率は、カップル全体のおよそ4割超と、その割合は結婚に迫るほどです。なぜフランスでこんなにもPACSが普及したのでしょう?

その理由の一つとして、私が思い浮かべるのは、結婚が宗教ベースにあることです。フランス人の7割を占めるといわれるカトリック教徒。教会式は厳粛で、「マリッジリングはグルグル続く円」と結婚は永遠であることを説く神父さん。神聖な場で誓い合った二人が、離婚となれば大きな問題です。

また、結婚となれば、定められた数種類の書類一式をそろえ、市役所で「認証」の儀式もあります。心理面では、大変な手続きを踏む一大事、「覚悟」に近いものがあるのではないでしょうか。「紙切れ一枚」の提出で結婚できる私たちとは大きな違いです。

この連載でも再三「自分の気持ちに自由」なパリジェンヌの精神を記してきました。神聖な誓いや形式をも、意味があるかどうか各々に当てはめれば、結婚から距離を置く人も出てきて当然なのです。

なのでパリでは、正式に結婚しているか否かは、ほとんど問題になりません。いまだに「適齢期」という言葉が存在し、親や世間からの圧力も珍しくない私たちにはちょっぴりうらやましい?

いつでも「解消」できるけれど……

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しかし自由なカップルは、リスクもあります。いつ何時、彼が目の前から去ってしまうかわからない緊張感があります。特にパリは、人口の数だけ出会いも多いですから気が抜けません。

その緊張感こそ、パリジェンヌをきりりとさせ、いつまでも「女性」でいられる要因のひとつではないでしょうか。彼女たちのスキンケアやボディケアに余念がない様子を見るたびに毎日女性としての自分を「アップデート」する習慣が身についているように私には映るのです。

それでも「男と女」。いつ夫婦になるかわからない!

生涯現役女性の代名詞、パリジェンヌ。90歳のおばあちゃんだって、シングルであれば年齢問わず心は「常に相手探し」です(フランス人には自然体で、特別意識はしていないでしょうが)。

生活を共にしたくなるほど、相手へ恋愛感情が高まった先にあるのが結婚やPACS。たとえ晩年まで時間がかかったとしても、おかしくないですよね。日本女性もフランス人にならい、長いスパンで考えるのはアリだと思います。「適齢期はいつでもある」と理解すれば、自分にも他人にも(言葉での)圧力をかけません。

帰国した今、パリで日曜の昼のミサの後に教会前でダンスを踊るカップルのことをふと思い出すことがあります。手をとりあう二人に、夫婦か否かと問うのは野暮というものでしょう!

(米澤よう子)

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