『老いる自分をゆるしてあげる。』上大岡トメさんインタビュー 第3回

50代、自分も周りも体調を崩しはじめて「老い」が気になった

50代、自分も周りも体調を崩しはじめて「老い」が気になった

『キッパリ!』などの著書を持つ、上大岡トメさんの新刊『老いる自分をゆるしてあげる。』(幻冬舎)のインタビュー。

第3回は著者である上大岡トメさんが、本のテーマに「老い」を選んだ理由や、取材で知った驚きの事実についてお聞きしました。

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閉経後の老年期があるのは人間の女性だけ???

画像提供:幻冬舎

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——そもそも「老い」をテーマに描こうと思ったのは、ご自身の身体の変化がきっかけだったのですか?

トメ:はい。私自身が50歳目前で喘息を発症したり、周りの50代の友人たちが同じように体調を崩しているのを見たのが直接のきっかけでした。同時期に、老いとは経年変化ではなく、遺伝子の中にプログラムされているという記事を読んでショックを受けたことも、「老い」に興味を持った理由です。

それと、もともと人の身体に興味があったというのもあります。人間の脳について描いた『のうだま*』のときもそうでしたが、人間の、自分の身体の中を知りたいと常々思っていました。急に体調を崩して、やはり「老い」に目を背けてはいられない。身体の中では何が起こっていて、これからどうなっていくのか科学的に知りたくなりました。

*「のうだま1、2」(池谷裕二氏と共著 幻冬舎)

——見えないものだけに怖いですよね。

トメ:そうなんです。幽霊と一緒で、知らないとただ怖いだけ。でも、相手の実態がわかれば正しく恐れてなんとかなるのではないかと。地震もただ怖いと言っているだけでは生き延びられない。相手のシステムを知って正しく恐れることが対策につながると私は思っています。

——50歳寿命説などはそのひとつだと思いますが、「なるほど」と思いましたね。

画像提供:幻冬舎

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トメ:おもしろいですよね。戦前は人生50年だったんですよ。この100年で人間の寿命はぐんと延びました。人生が長くなったからこそ、「老い」と向き合わないといけない時代になったんだと思います。

——帯に書かれた「閉経後も生きていることには意味がある」というキャッチが印象的です。女性の場合、いまだに「産める間が女」と言われたりしますが、人生100年になった現代、人生の半分がそうではない閉経後を生きることになります。

トメ:これも本書を描くための取材で知ったのですが、閉経後の老年期があるのは人間とクジラ族のシャチとコビレゴンドウだけらしいんです。だからこそ、50歳から先の人生に意味がるのかなと。これから先の自分が歩んでいく将来はどうなるのかと興味津々です。

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人の身体の中ではいろいろなことが起こっている

——執筆するにあたって、5人の専門家の方にお話を伺ったということですが、どうしてその人たちに話を聞きに行こうと思ったのですか?

トメ:部位別ですね(笑)。まずは「細胞のことを知りたい」から始まり、たまたまラジオで聞いた「骨」もおもしろいと思いました。それにともない「筋肉」も入れたいし「脳」は欠かせないし、あとは総合的に「老化」についてお話を聞ける先生を探しました。

「神経」なども上がったけれど、あまりにも広がり過ぎてしまうので泣く泣く削りました。本来「細胞」「骨」「筋肉」「脳」「養生」だけでも、それぞれ1冊かけてしまうくらいの内容がありますからね。実際にこれまでの作品以上に、何度も書き直し、削る作業を繰り返しました。情報量が多すぎると疲れてしまって、最後まで読んでもらえないですから。

——難しい内容なのにすっきりして読みやすく、わかりやすかったです。真面目なことというのは地味になりがちですが、最後までおもしろく読ませていただきました。知らなかったことばかりで、とくに「破骨細胞」と「老化細胞」の部分は衝撃的でした。

トメ:骨も細胞でできているんだけど、その骨を壊す細胞がいるっていうね。哲学的ですよね。細胞は本当に奥が深くて、分裂を繰り返すたびに違う細胞に生まれ変わる。

——最終的には「老化細胞」になり、これは死なずに身体に悪影響を及ぼすというのもショックでした。

トメ:歳を重ねるとあちこち痛くなるのは、老化細胞の影響なんです。

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画像提供:幻冬舎

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トメ:細胞分裂の回数が決まっているということは、寿命が延びたからこそ発見されたことです。そこには、染色体の末端部にある「テロメア」が関わっていて、細胞分裂するたびにテロメアは短くなっていくと言われています。そして、限界がくると「老化細胞」になる。

その一方で、テロメアは生活習慣によって長くできることもわかってきています。つまり、このメカニズムを知ることで、老化を緩やかにする対策ができるわけです。

——なるほど。細胞のことなんて考えたことなかったです。若いうちから生活習慣に気をつけることが大事なんですね。

(取材、文:塚本佳子、撮影:大澤妹、編集:安次富陽子)

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