受診のハードルを上げている原因は? 産婦人科について知っておいてほしい6つのこと

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受診のハードルを上げている原因は? 産婦人科について知っておいてほしい6つのこと

「産婦人科」と聞くとどのようなイメージが浮かぶでしょうか? 「妊娠したら行くところ」「若いのに妊娠したって怒られるのではないか」「内診ってよく聞くけれど、何をするの?」「一人で行くのは恥ずかしい」……。

大人の女性であっても産婦人科に行くのは「恥ずかしい」と思っている人がいるかもしれません。

しかし、産婦人科専門医で女医ボクサーの髙橋怜奈先生は「(産婦人科を)受診をするということは自分の健康を意識しているという、自信をもつべきこと」と話します。

世間の視線や偏見で産婦人科に行くことをためらって手遅れになる前に——。髙橋先生に、女性だけではなく男性にも知っておいてほしいこと、大人や社会が考えるべきことを伺いました。

1、いつでも誰でも行っていい

——先日、制服を着た女子高生が産婦人科に行くことを揶揄(やゆ)したツイートが炎上しました。まさかとは思いますが、学生は産婦人科に行ってはいけないなど“制限”はあるのでしょうか?

髙橋怜奈先生(以下、髙橋):年齢や学生であることなどによる制限はありません。どなたでもいらしてください。

もちろん、制服でいらっしゃっていただくのもまったく問題ありません。病院が空いているのは登校日であることも多いでしょう。必要があれば学校に行く前、学校の帰りでもいつでもきてください。やむを得ず病院を受診するために欠席、遅刻や早退をした場合は診断書を作成できます。

2、妊娠以外の相談もできる

——産婦人科はどんな患者さんがかかっているのでしょうか? また、どんなときに行けばいいのでしょうか?

髙橋:月経に関するトラブル(月経痛や月経前症候群,月経不順など)や相談、月経をずらす相談、おりものの異常、お腹が痛い、腰が痛い、体に不調があるとき。婦人科検診、避妊に関する相談、ピルの処方や相談などです。

初経から数年は月経不順になることが多いですが、月経がこない、月経不順であるなど、心配であれば検査や相談をすることができます。検査の内容も相談して決めることができるので怖がらないでください。

性交の経験がある人は最低でも1年に1回は検診のために受診をしましょう。

——いろいろなことが相談できるのですね。

3、内診は「恥ずかしい」かもしれないけれど…

——実は私も26歳のとき「子宮内膜症」と診断されて、低容量ピルを処方してもらったところ痛みが緩和されて快適に過ごしています。「ただの生理痛」と思わないでもっと早く行けばよかったと思いました。

ところが、生理痛に苦しんでいる同世代の女性に産婦人科での受診をすすめても「恥ずかしいから」「ピルを飲むのは遊んでいる女と思われて嫌だ」と言ってなかなか産婦人科には行こうとしません。世間の偏見に加えて、女性自身も「恥ずかしい」という意識を持ってしまい、足が遠のいてしまうのが原因かと思うのですが、産婦人科医の立場から見てどう思われますか?

髙橋:産婦人科は他の科と違い、内診があります。女医さんだったとしても見ず知らずの人に局部を見られるのはみんな恥ずかしいです。でも私たち産婦人科医はたくさんの患者さんを診ています。「生理だから」「お風呂に入っていないから」などまったく気にしないでください。

内診台には羞恥心に配慮してカーテンが設けられていますが、逆にカーテンがあることで何をしているかわからず不安という方もいます。そのときは「カーテンを開けてほしい」と一言伝えてください。

「たかが生理痛」と思っていても子宮内膜症や子宮筋腫など何か病気が隠れていて、受診をためらっているうちに病状が悪化して、初期にかかっていれば薬などの保存的治療で済んだものが、手術が必要になったり、不妊症になってしまったり、さらにはがんを見逃してしまっていたということもあります。

内診の間の恥ずかしいという気持ちはほんの1~2分、受診をしなかった後悔は一生、と考えています。

4、産婦人科のハードルが高い原因は…

——まだまだ産婦人科へのハードルは高いと思いますか?

髙橋:そうですね。まず、親世代が受診のハードルを上げている気がします。学生はお金がない。受診のお金を親にもらわないといけないし、産婦人科を受診したことがばれたくないから保険証を使いたくないという人もいます。

まずは親世代が「生理の不調があったら産婦人科を受診しようね」など積極的に声をかけてあげるべきです。

産婦人科は妊娠に関するだけの場所ではありません。月経や腹痛、何もなくても自分の体について相談できる場として考えてほしいです。

——まわりの目を気にして妊娠しても産婦人科を受診しない女性もいるかもしれません。

髙橋:妊娠反応の検査キットを薬局で買うこともできます。ただし初期の場合は陰性になることもあるので、自己判断をせず産婦人科で相談しましょう。また妊娠といっても正常妊娠だけでなく、「異所性妊娠」と言って子宮以外の卵管などに妊娠をしてしまう場合があります。受診、診断が遅れると命にかかわります。一人で悩まず、すぐに受診をしてください。

5、自分の体を意識するのは自信をもつべきこと

——産婦人科に行くのが恥ずかしいと思っている女性にメッセージをお願いします。

髙橋:内診はみんなはじめは恥ずかしいです.でもそれを私たちはみんなわかっています。お声をかけながらゆっくり診察します。「恥ずかしい」「初めてで緊張している」「怖い」……なんでも伝えてくださいね。

産婦人科自体に行くのが恥ずかしいと考えている方ももしかしたらいるかもしれません。ただ、産婦人科に一歩踏み込めばみんな女性です。たくさんの悩み、悩み以外の相談も含めていろいろな事情できていますので、恥ずかしがることはまったくありません。受診をするということは自分の健康を意識しているという、自信をもつべきことです。

6、社会や大人ができることは…

——本当にその通りですね。自分の体に関することは自分が責任をもつことで、他人にとやかく言われることではないと思います。今回のような世間からの視線や偏見を気にしてなかなか産婦人科に行けなかったり、特に若い女性は妊娠を言い出せなかったりする人がいるかもしれません。そうならないために、社会や大人はどういう環境を作っていけばよいのでしょうか?

髙橋:社会や大人自体がかわらないといけませんし、若い世代も自分で正しい情報を集める能力をつける必要があります。

日本の性教育は諸外国に比べとても遅れていることにも原因があります。まずは教育から変える必要があります。また、できたら若い女性から支持されているような女性タレントさんや有名人の方が産婦人科受診のハードルをさげてもらえたら効果的だと思います。

また、病院側には産婦人科という診療科だけでなく、女性診療科など名前を変えているところもあります。そのような工夫もハードルを下げるのに一役かっています。

——そうですね。私も定期的に産婦人科に行くことで安心して日常生活を送れています。社会や大人が「#産婦人科行こうぜ!」という空気を作っていくことが大事ですね。

(取材・文:ウートピ編集部・堀池沙知子)

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