『自慢話でも武勇伝でもない「一般男性」の話から見えた生きづらさと男らしさのこと』インタビュー第1回

「ふつう」でも「ふつう」じゃなくても、それなりに苦しい 『一般男性』の話から見えてきたもの

「ふつう」でも「ふつう」じゃなくても、それなりに苦しい 『一般男性』の話から見えてきたもの

恋バナ収集ユニット「桃山商事」代表の清田隆之さん。ウートピでの連載「結婚がわからない」を担当する安次富が、新刊『自慢話でも武勇伝でもない「一般男性」の話から見えた生きづらさと男らしさのこと』(扶桑社/以下、『一般男性』)についてインタビューを行いました。

「ジャッジをせずに人の話を聞くことが、だんだん難しくなってきました」という素直な悩みを打ち明け、話を聞くこと、発信することについて語り合います。普段のカジュアルなトーンでお届けします。全3回の第1回。

人見知りを発動させています

ウートピ編集部・安次富(以下、安次富):コロナ禍に入ってからは、ずっとオンラインでやりとりしてきたので、対面でお会いするのは2年ぶりですね。

清田隆之さん(以下、清田):ウソ、そんなに経つ!?

安次富:信じられないですよね。久々すぎて若干、人見知りを発動させていますが、今日はなにとぞよろしくお願いします……。

清田:自分も連載を全然更新できていないことに罪悪感が募っていますが……こちらこそよろしくお願いします(笑)。

安次富:さて!『一般男性』読みました。収録されている「個人」のエピソードはどれも興味深くて、今まで自分は「男性」というざっくりとした解像度で見ていたなと気づきました。そこでまず気になったのが『一般男性』を、どのように定義したのか。よく情報番組などでは“一般的な男性”というときに「年収〇〇万円」「身長〇〇センチ」「大卒」「正社員」みたいなスペックをあげたりしますよね。本書ではどうしましたか?

清田:すごくざっくり説明すると、有名人とか何かの専門家であるとか、普段我々が取材に行くような人ではない人。街で見かけても「ふつうの男性」と認識されるような人たち、というか。もう少し詳しく言うと、ヘテロセクシュアル(異性愛者)でシスジェンダー(出生時に割り当てられた性別と性自認が一致)で、心身ともに概ね健康で学校や会社に属している“マジョリティ(社会的多数派)”の男性……というイメージになるでしょうか。

安次富:いわゆる「ふつう」と言われるような。

清田:そうそう。最初から「これが一般男性です」とガチガチに定義するとか、それこそ「大卒」「正社員」といった条件を設けることはせずに“市井の男性”くらいの漠然としたところからスタートしました。だけど、取材を進める中で、本にも登場する「売れないお笑い芸人」や「東大生」を本当に「一般男性」と呼んでいいのかという疑問が出てきたり、介護職のアルバイトをしている取材者さんからは「自分は一般男性ではないかもしれないけど、大丈夫ですか?」という言葉も出てきたりもして、「一般男性」とはなんだろうと考えさせられた瞬間もありました。

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「ふつう」に悩む男性たち

安次富:その方は、外から見れば「ふつう」だけど、自分ではそうではないと感じていたわけですね。

清田:もちろん自己認識はそれぞれで、そもそも「ふつう」という言葉が曖昧で暴力性をはらんだものなのだけど……その男性は就職でしくじってしまったことや、恋愛経験がないことに、引け目やコンプレックスのようなものを感じていて、それで自分は多数派から漏れるタイプだと。ただ、どこかしら「ふつう」とは違うと葛藤を抱えていても、日本というこの国で異性愛者かつシスジェンダーの男性で、それぞれの困難はあれど、仕事や学業に向かえている人、そういうルートをたどれている人は、客観的にはマジョリティと言える部分も確実にあると思っていて。

安次富:そうですね。

清田:一方で、芸人をしている人からは、専業では生活が成り立たず、アルバイトをしたりして暮らす中で、自分が「ふつうの男」であることにコンプレックスを感じているという話も出てきて。

安次富:あー。「ふつう」でも「ふつう」じゃなくても、それなりに苦しい。わかるなぁ……。どっちもありますよね。なんなら日替わりであるくらい揺らぎます。

清田:そうやって、インタビューを進めるにつれて少しずつ輪郭が見えてきたり、逆にイメージが揺らいできたりしながら、「一般男性」とは何かについて考えたのがこの本です。

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リモートで「あなたの悩みを聞かせてください」

安次富:この企画は、清田さんの「note」でも取材を受けてくれる人を募集していましたよね。どのくらい集まりましたか?

清田:主旨やタイミングが合わなかったりで実際のインタビューまで繋がった人は多くはないんだけど、総数は20人くらいだったと思う。このほかにも人づてに紹介してもらった男性に話を聞かせてもらいました。大変だったのは、取材時期とコロナ禍がちょうど重なってしまったこと。ほぼリモートで話を聞くことになって。

安次富:あー。初対面で「あなたの生きづらさやコンプレックスについて聞かせてください」と言われるのは、聞かれる側もハードルが高い。

清田:そうなんだよね……。プライバシーに直結する問題を扱うわけで、信頼関係を構築できないと成立しない企画なので、結果的には知人の紹介であったり、桃山商事のことを予め知っていたりと、なんらかの接点や縁がある男性が大半になりました。

安次富:桃山商事の活動で、恋バナを聞くときって2時間くらい聞くとおっしゃっていましたが、今回の取材はどのくらい時間をかけましたか?

清田:平均すると3時間くらいだったと思う。インタビューの主旨を伝え、少しずつ打ち解けていくためにはどうしても時間が必要だし、とはいえ、一人当たりの文字数も決まっているし、そもそもみなさん忙しい中で時間を割いてくれているので、あまり長くも聞けない。そういう中で自然と3時間くらいになっていきました。中には2回に分けてインタビューさせてもらった人もいて、5時間くらい聞かせてもらったケースもあったけれど。

安次富:文字起こしが大変。

清田:文字数が膨大なことになってた(笑)。1〜2時間だと用意した質問を消化していく感じになり、一問一答みたいなやりとりに終始してしまうんだけど、流れを見ながら話が盛り上がるほうに広げていきたかったし、その場で考えながら発してもらった言葉の中にリアリティが宿ったりするので、なんだかんだ最低でも3時間は必要だったなという感じです。

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(取材・文:安次富陽子、撮影:面川雄大)

■イベント情報

清田隆之さんと、峰なゆかさんのオンラインイベントが開催されます。

峰なゆか×清田隆之『わが子ちゃん 1 〜育児は産む前から始まっている!』『自慢話でも武勇伝でもない「一般男性」の話から見えた生きづらさと男らしさのこと』特別対談
日時:2022年5月14日(土)14時〜16時
配信方法:Zoom
参加条件:コトゴトブックスHPにて電子チケットを購入
※別途発券手数料2%がかかります
https://cotogotobooks.stores.jp/items/6267504ab049a32ddb21ea1b

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