この不調、何科へ行けばいい? 診療科ナビ/第3回

うつ病、不安障害…精神科で扱う病気は?【専門医に聞く 精神科ナビ・第2回】

うつ病、不安障害…精神科で扱う病気は?【専門医に聞く 精神科ナビ・第2回】

心身に不調があるとき、どの診療科を受診すればいいのか迷うことはありませんか。そこで各種の診療科ごとに扱う病気や治療法について連載にて紹介しています。

前回の精神科・第1回「うつは何科を受診すればいい? 精神科と心療内科の違いは?」では、うつ病は精神科の領域であること、また、精神科と心療内科、神経内科、メンタルクリニックの違いなどについて紹介しました。今回・第2回は、精神科が取り扱う病気やその治療法について、ひき続き、京都大学大学院医学研究科准教授で精神科指導医・専門医の田近亜蘭(たぢか・あらん)医師に尋ねます。

田近亜蘭医師

田近亜蘭医師

精神科で扱う主な病気は?

——精神科とは、どのような病気を扱うのでしょうか。

田近医師:精神科は心の不調、精神の疾患を扱う診療科ですが、さまざまな種類があります。主に次のような症状があり、いずれも仕事や生活、職場や家族とのコミュニケーションに支障をきたします。

・うつ病……気分が落ち込む、ものごとに興味がなくなった、気力がない、眠れない、食欲がわかない、といった症状がみられる状態(抑うつ状態)がほとんど毎日、2週間以上続きます。

・不安障害……人が多い場所、電車内、エレベーターなどの閉所にいるときに、急に過呼吸や動悸(どうき)、発汗が起こり、強い恐怖を感じるパニック障害、また、会社や学校で人前に立つときに強い不安を感じる社交不安障害など、いくつかの種類があります。

・強迫性障害……外出しようとしたときに、「カギを閉め忘れたかも」「コンロの火を消し忘れたかも」といったことが気になり、何回も確認する確認強迫や、何度手を洗ってもまだ汚れているような気がして、手を洗い続ける洗浄強迫などの症状がみられます。また、特定の数字やものの左右対称性、手順の正確さにこだわるといった症状がみられることもあります。

・双極性障害……一般的には、「躁うつ病」と呼ばれています。うつ病と同様の抑うつ状態だけでなく、逆に本来の自分よりもハイテンションで話し過ぎたり、お金を使い過ぎたりといった躁(そう)状態がみられます。抑うつ状態のときはうつ病と似ていますが、別の病気と考えられています。

・統合失調症……「悪口が聞こえる」、「監視されている」といった幻聴や被害妄想など、すぐに病気だとわかりやすい症状(陽性症状)だけでなく、逆に感情表出の減少や意欲の欠如といった、それが病気の症状だとはわかりにくい症状(陰性症状)もみられ、社会生活に支障をきたします。

・認知症……脳の萎縮や脳血管障害などが原因で、もの忘れ(記憶障害)、時間や場所がわからなくなる(見当識障害)、理解力の低下、生活動作ができなくなるなど、認知機能が低下します。もっとも頻度が高いのはアルツハイマー病ですが、それ以外にもいろいろな疾患が含まれます。

・摂食障害……極端にやせているにも関わらず、自分では太っていると思い込み、体重が増えることへの強い恐怖からさらにやせようとする神経性やせ症など、いくつかのタイプがあります。過食して、直後に自分で嘔吐(おうと)するといった行動がみられる場合もあります。

・依存症……アルコールや薬物の乱用、問題となるようなギャンブルを繰り返した結果、それらの行動への欲求が止められなくなり、社会的に問題を生じても続けてしまいます。買い物、インターネット、ゲームなどの行動にもあてはまります。

・パーソナリティ障害……その人が所属する文化や生活様式の基準から考えて、非常に偏った性格傾向や行動パターンを持つ結果、対人関係が不安定となり、社会生活に支障をきたします。

・心的外傷後ストレス障害……PTSD(Post Traumatic Stress Disorder) という略語の方が有名かもしれません。命の危険や強い恐怖を体験した結果、日が経ってもその体験が目の前で再現されるように感じるフラッシュバックや、似た状況を体験したときに強烈な苦痛を感じるといった症状があります。

・神経発達障害……対人コミュニケーションに障害のある自閉スペクトラム症(ASD)、注意を維持することができず、落ち着きなく動き回ってしまう注意欠如・多動症(ADHD)、知的能力に問題がないにも関わらず、文字を読んだり計算をしたりするのが難しい学習障害(LD)、突発的に声を出したり体を動かしたりするチック症などが含まれます。

精神疾患にはこのほかにも複数の種類があります。また、国内外の研究機関の調査では、「うつ病と不安障害が多い」と報告されています。

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聞き手によるまとめ

精神科で扱う病気には、うつ、不安、不眠、人前や閉所での過呼吸などのパニック、何度も同じ行動をとる、お酒や買い物への依存などさまざまな心の症状や、また、身近な病気のうつ病、不安障害のほか多くの種類があるということです。次回・第3回は、もっとも患者さんの数が多いといううつ病の治療について紹介します。

構成・取材・文 品川 緑/ユンブル

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