「清田隆之シ×ジェーン・スー」第1回

カッコつけたいのは彼女じゃなくて男友達の前 なぜ僕はオラついてたのか?【清田隆之×ジェーン・スー】

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SNSが発達してなくてよかった…僕がオラついてた時代

スー:それにしても、運命ってわからないものですね。大学生で「Popeye」に連載を持っていたわけで、それってイケイケ中のイケイケじゃないですか!

清田:マガジンハウスの「Popeye」や、JTが出していた「FILT」というフリーマガジンで連載をしてました。こう書くとイケイケですね(笑)。

スー:今の活動からは想像もつかないな。そのまま鼻持ちならないクリエイターになっていた可能性もあるわけで。それがまさか、男性としての内省や自省をするようになるとは。

清田:確かに20代の頃はどこかクリエイター気取りで、広告業界やデザイン業界で働く同世代が集う飲み会とかにも顔を出してました(笑)。

スー:あはは! まさにイケイケだ!

清田:当時は2000年代中頃でまだSNSがそこまで普及していなかったんですが、あったらいけ好かないこととかガンガン書いていたかもしれません……。

スー:それヤバい。140字ポエムでリツイート2万みたいな無間地獄に入ってたかも。危ういところで切り返してきましたね。

清田:社会問題に関してわかったふうなことを言ったり、人権感覚もリテラシーもないまま差別的な発言をしちゃってたかも……。

スー:いやいや、時代を考えると、誰もがそういうリスクを背負っていましたよ。お仕事の依頼はたくさんあったでしょう。自分たちのことを、当時はどんなふうに感じていらっしゃったんですか?

清田:雑誌に作品を発表しても反響がないから、自分たちが人からどう見られているか、正直よくわからなかったんですよね。

スー:直接的なフィードバックがない時代の功罪の功のほうだなぁ。

清田:自意識はパンパンに肥大化していただけに、身近にそんな承認装置があったら危なかった気もします。

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スー:清田さんが男性としての自分を内省するに至るまでの道のりで、一度はイケイケに行きかけていたことが興味深いです。卵と鶏どっちが先の話ではありますけど、若い男性の名前が世に出ていく際、どこかでオラつきタイミングがくるように感じます。

清田:オラつきって極めて男性性っぽい問題ですよね……。確かに当時、メディアに名前が載っていることを自慢したい気持ちとか、全能感的なものに酔いしれる感じとか、同世代から「すげー!」って言われたい気持ちとか、そういうのすごくあった気がします。

スー:若い時はそりゃそうですよ。今はどうですか?

清田:いろんな本とかマンガとか演劇に打ちのめされた結果、オラついていた自分を恥じる気持ちが芽生えていきました。もっとも、今でもラジオ番組などに呼ばれるとミーハー心が刺激される部分もあり……どうなんだろう、完全になくなってはいないけどかなり落ち着いたように自分では感じています。2014年に初めて桃山商事として本(『二軍男子が恋バナはじめました。』)を出すことができ、長年の目標がかなったというのも大きかったかもしれません。出版業界で育った人間としては、著書を出版できるなんて憧れのことだったので。

スー:なるほど。今年40歳になられたということは、紙の洗礼を受けている最後の世代ですもんね。お気持ちはよくわかります。

清田:20代の頃は本当に悶々としてたんですよ……。大学時代あんなにイケてたんだから、もっと到達できるはず、と自分に対するお見積もりも謎に高くて。なのに今はここ……みたいな。現実とお見積もりの差額分を目に見える実績では埋められず、人の作品を腐(くさ)したりしてた時期も正直あって……お恥ずかしい限りなんですが。

スー:わかるわかる。誰にでもそういうのってありますよ。

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