落ち着いた凛とした姿が印象的な女優の木村多江さん(46)。このほど人気ゲームアプリ「ねこあつめ」を映画化したことで話題の『ねこあつめの家』に出演しました。
映画は、スランプ中の小説家・佐久本(伊藤淳史さん)が主人公のほっこりした人間ドラマ。主人公が引越した先で出会った猫ショップのオーナー・洋子さんを演じた木村さんに本作や30代の頃について聞きました。
イメージしたのは「ビールを飲みながら猫と遊んでいる女性」
――猫ショップのオーナー・洋子さんを演じるにあたり、気をつけたことは?
犬好きの人と猫好きの人って、一般的にちょっと違っている印象があるので、猫好きだという点をどうキャラクターとして立たせるかをまず考えましたね。ところどころにしか出てこない役ですし、具体的に猫を可愛がっているシーンがあるわけではないけれど、猫が好きだというのがちゃんと伝わるように。洋子さんにイメージしたのは、なんとなく家でひとりでビールを飲みながら、足で猫とふざけて遊んでいるような女性でした。
――完成した作品をご覧になっていかがでしたか?
自分の役はいつも客観的に見られないので、そこはまあ置いておいて。映画自体はすごくほっこり癒されました。あと、自分を見つめ直しましたね。行き詰っているわけではないけれど、ほっこりするってことは、何かストレスがあるのかなとか(笑)。でもとにかくとっても温かくて可愛い映画です。
29歳のあがき「すごくありました」
――主人公の佐久本は若くして新人賞を受賞して一躍人気になった小説家ですが、今はスランプ中という設定です。20代は突っ走ってきたけれど、30代に入って調子が悪くなるというかふと「我に返る」という瞬間はあるのかなと思います。
木村さんは学生時代から舞台に立たれて、ずっと女優業を続けてこられたわけですが、30代に入る時、仕事や私生活で意識が変りましたか?
木村:そうですね。やっぱり29歳のときに考えましたね。あー、こんなに何もできてないし、恋愛も仕事もうまくいかない。でも30歳になっちゃう! っていう29歳のあがきみたいなものはすごくありました。
それから、20代はできなくても許される年代ですが、30代は許されない、責任を問われる年代になるんだということが怖かったです。でも30歳になったらなったで、人間って頑張るもので。責任を取れる人になろうとまた努力していくんですよね。
あとは30代の女性って、結婚とか出産とか、そうしたものを選択するのか、それともそのままいくのか、やっぱり悩む時期ですよね。いろいろな変化に直面する。身体も変化する時期ですし。そうした変化を楽しんでいけるかどうかが問われると思います。30代は表面的な美しさじゃないところ、内面を磨いて、内面の美しさで生きていく年代になっていった気がします。
(望月ふみ)
●木村多江さんが出演する『ねこあつめの家』は新宿武蔵野館ほかで公開中。
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