夜ベッドでやっちゃう「ひとり反省会」 心がザワついて眠れない時の対処法

心配事があって眠れない、頭にくることがあって眠れない……ストレスが原因で睡眠の質が落ちてしまい、なんかカラダとアタマがだるい。そんな時、ありますよね?
心が疲れている時ほどぐっすり眠りたいもの。そこで、『大人女子のための睡眠パーフェクトブック』(大和書房)の著者であり、睡眠コンサルタントの友野なお(ともの・なお)さんに睡眠に関するお話を伺ってきました。
第3回目は、「心の疲れをとる眠り方」です。
第1回:あなたの睡眠の質は何点?自分に合った睡眠時間の見つけ方
第2回:今晩から始められる!「眠れる脳のつくり方」
心の疲れは「3つのA」でチェック
「心の疲れ」は睡眠の質を下げる原因にもなりますし、睡眠の質が低いために「心の疲れ」が生じてしまうという側面もあります。いずれにしろ、「心の疲れ」と「睡眠の質」は切っても切れない関係にあるんです。
心の疲れは、カラダのケガと違い目に見えません。それゆえなかなか気づきませんが、やはり早めに把握して対処することが大事。その時にまずチェックしておきたいのが、以下の「3つのA」。
心の疲れの指標「3つのA」
・アルコール(Alcohol)
・アブセント(Absent)
・アクシデント(Accident)
1つ目の「アルコール」は、「お酒」だけでなく、「何かに依存している状態」を指します。例えば、甘いものが止められなかったり、特に欲しいものがないのに買い物に走ってしまったり、はたまたスマホをトイレにまで持ち込んだりと、何かに依存する状態が続いたら「心が疲れているのかな?」と疑ったほうがいいでしょう。
2つ目の「アブセント」は、欠席、遅刻、早退を指します。それに加えて、身だしなみがどうでもよくなる心理状態もイエローカード。服がヨレヨレだったり、シミがついていたり、髪がボサボサですっぴんのままなど、そういう無頓着な状態は危険なサインです。
3つ目の「アクシデント」は、集中力がなくなり、アクシデントやミスが増える状態を指します。例えば、毎日忙しくて4時間しか眠れない人の場合、それが2週間続くと、丸2日間徹夜した時と同じくらい脳の機能が下がると言われています。さらに起きてから17時間後には、飲酒時と同程度まで脳の機能は下がります。「最近、凡ミスが多いな」と感じたら、睡眠の質を見直してみましょう。
この3つ「A」の状態が、2週間以上続いたら「心が疲れている」と判断して、質のいい睡眠でしっかりカラダを休めるよう意識すべきです。
女性は就寝前に「ひとり反省会」をしてしまう
心がしっかりと休まる、質のいい睡眠をとる最大のコツは、「心をからっぽ」にして眠りにつくことです。
ところが、20代後半〜30代の働く女性からよく聞かれる「眠れない原因」は、就寝前に「1日を振り返ってひとり反省会」をしてしまうこと。その日あったイヤなこと、モヤモヤしたことなどをあれこれ思い出しては考えごとを始めてしまう。きっとみなさんにも心当たりがあると思いますが、この「ひとり反省会」は睡眠の大敵。寝つくまでに時間がかかるばかりか、眠りが浅くなり夜中に何度も起きてしまう原因になります。
実は、男性よりも女性の方がメンタル面の問題を引きずる傾向にあることが指摘されています。私たち女性がつい「ひとり反省会」をしてしまうのも仕方のないことなのかもしれません。
でも、ちゃんと対処法はあるので大丈夫。一番のオススメは「マインドフルネス瞑想」です。静かな空間で目を閉じてじっと自分の呼吸に集中しながら、ココロとアタマをからっぽにしていきます。慣れないうちは雑念が浮かんでくると思いますが、初めはそれでいいんです。
何か考え事が浮かんできたら、アタマの中で「雑念」というラベルを貼ります。カラダのどこかがかゆいな……と感じたら、「かゆみ」というラベルを貼ります。どこからか音が聞こえてきたなぁ……と感じたら、「音」というラベルを貼ります。ラベルを貼り付けたら、アタマの中からそれをサッと押し流してしまいましょう。
このように書くと、感覚的でいまいちピンとこないかもしれませんが、毎晩就寝前に続けるようにすると、すぐに体得できるはず。この、「雑念のラベルを貼ったら流す」という作業を繰り返すことによって、だんだんと自分の呼吸だけに集中できるようになります。
マインドフルネス瞑想の目安は10~20分間。慣れない最初は5分でもいいでしょう。慣れてきたら少しずつ時間を増やしても構いません。ベッドに寝転んだ態勢ではなく、座った状態でやるのがベター。上半身をすっと伸ばして肩の力を抜き、両手は軽く太ももの上においてリラックスします。瞑想でその日の雑念をすっきりアタマから追い出して、気持ちのいい明日を迎えましょう。
「コブラのポーズ」も取り入れて
「マインドフルネス瞑想」の他にもうひとつ、自律神経のバランスを整えることで「心の疲れ」をとる方法を教えましょう。それは「コブラのポーズ」。うつぶせ姿勢からゆっくり顔を上げてグッと胸を開くポーズをとります。この時、呼吸も意識してください。特に、吐くほうを意識すると、自律神経のバランスを整える効果があります。就寝前はもちろん、昼間にパソコンに向かい続けて疲れた時も座ったままの姿勢でやってみてくださいね。
日本社会は、まだまだ「気合い」や「根性」で乗り切ろうとするマジメ気質が強いですよね。そういう環境の中では、自分の心の不調に気づかない人や、不調があっても認めない人が多いんです。自分の不調に細やかに気を配りつつ、身近に「3つのA」の問題を抱えていそうな人がいたら「大丈夫?」と声をかけてあげてください。
次回は「眠れない時の対処法」を聞いていきます。