歯科医が教える「してはいけない」むし歯ケア・第3回

ホワイトニング用、香料入り、フッ素化合…むし歯と口臭ケアアイテムの選び方【歯科医が答える】

ホワイトニング用、香料入り、フッ素化合…むし歯と口臭ケアアイテムの選び方【歯科医が答える】

むし歯と口臭ケアにとって、よいこととしてはいけないことをシリーズでお届けしています。今回は、むし歯、歯周病、口臭ケアのアイテムと方法の続編として、研磨剤入りやフレーバーテイストの歯磨き剤の使用はOKかなどについてご紹介します。ひき続き、歯科医師で口腔衛生がご専門の江上歯科(大阪市北区)の江上一郎院長にお尋ねしました。

【第1回】食後すぐの歯磨きはNG…食事とむし歯ケア法を歯科医に聞く
【第2回】泡立つ歯磨き剤はむし歯、口臭ケアにOK?

ホワイトニングのために、研磨剤入りの歯磨き剤がいい?

(1)歯の黄ばみが気になるので、「ホワイトニング用研磨剤入り」タイプの歯磨き剤を使用していますが有効でしょうか。

江上医師: NGです。研磨剤は市販の歯磨き剤の多くに含まれていて、成分や含有量によって、多少から強力タイプまで多種があります。そのうち、パッケージに、「研磨剤入り」や「ホワイトニング用」、「ヤニ取り用」、また、「顆粒」、「つぶつぶ」をうたうタイプは、強力で含有量が多いと考えられます。

それらを使うと、コーヒーやワインなどのドリンク、食べ物の色素や、タバコのヤニのこびりつきが落ちやすいことは間違いありません。ただし、研磨剤はそういった着色や汚れを落とすのと同時に、歯の表面の保護膜と言える硬い「エナメル質」の部分まで削り落とすことがあります。

歯のエナメル質の下には、神経につながる柔らかい「象牙(ぞうげ)質」と呼ぶ層があります。エナメル質が傷つくと象牙質も削られて刺激が神経に伝わりやすくなり、ちょっとしたことで痛みを感じる象牙質知覚過敏症になる可能性があります。

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たとえば、陶器を研磨剤入りの洗剤で磨くことをイメージしてください。洗った瞬間はきれいになったように見えますが、やがてどんどん汚れや色素が取れにくくなります。陶器の表面には、研磨剤の摩擦で微細な穴や傷ができて、そこに汚れが付着していくからです。

歯も同様に、研磨剤との摩擦でエナメル質に傷がつき、そこに汚れ付着して、いずれはかえって汚れが目立つようになります。

とくに、歯の根元のエナメル質は薄くてはがれ落ちやすいので、歯周ポケットに研磨剤が詰まることがあります。歯周病の人は研磨剤入りの歯磨き剤は避けましょう。研磨剤の成分は、炭酸カルシウム・リン酸水素ナトリウム・無水ケイ酸などです。「清掃剤」と表記されていることもあるので注意しましょう。

どうしても、ヤニ取りなどで強力な研磨剤入りを使いたい場合は、使う頻度を少なめに、目安として2週間に1回程度以下にして、ほんの少量でゴシゴシと強く磨かずに、歯の汚れだけを落とすイメージでそっと短時間で磨きましょう。

適切なケア
着色汚れは1日にしてならず。日ごろから唾(だ)液の分泌を促す、歯科医院で歯石を除去するクリーニングを定期的に受けるなどしましょう。「研磨剤(清掃剤)不使用」のタイプを選ぶほうが歯の健康ケアにとっては適切と言えます。

【参考記事】歯の黄ばみは唾液の力で防ぐ…自分でケアする方法
歯科医院で歯石を取る…健康保険適用の「クリーニング」とは

フレーバーやすっきり感重視の歯磨き剤は口臭予防になる?

(2)口臭予防になるかと思い、香料入りの歯磨き剤を使っています。

江上医師: NGです。香料そのものは口の中の健康に悪いものではありませんが、口臭予防にはなりません。

おとな向きにも、イチゴやレモンなどフルーツ味やチョコレート味、ハチミツ味などのフレーバータイプの歯磨き剤が市販されています。それらには成分に香料が含まれていますが、臭いを除去するものではありません。

懸念は、歯磨きの際に香りに満足して、すぐに歯を全部磨いた、口臭がおさまったと錯覚しやすいことです。とくに、すっきり爽快感をうたうタイプはその傾向が強く、実際には磨き残しが多くて歯垢に香料のスプレーをしたような感じとなり、根本的な口臭ケアになっていないケースが多く見られます。

適切なケア
口臭予防を香りに委ねず、まずは、唾液の分泌を促すことが重要です。

「フッ素配合濃度1,450ppm」の歯磨き剤はむし歯予防になる?

(3)むし歯予防に、「フッ素配合・高濃度1,450ppm」という歯磨き剤を使っています。

江上医師: OKです。科学的に、フッ素はむし歯予防に効果がある成分だと認められています。市販の歯磨き剤の多くに含まれていますが、2017年3月に、フッ素濃度の上限はそれまで1,000ppmだったのが1,500ppmまで引き上げられました。

フッ素濃度が950ppm以上の歯磨き剤でむし歯予防の効果が表れるとされていますが、現在(2019年10月時点)では、配合濃度が1,450ppmという市販品も見かけるようになりました。

適切なケア
フッ素は、歯の表面のエナメル質のダメージを修復する、また、歯の質を強くする、口の中の細菌の活動を抑えるように働きます。歯科医院では、高濃度のフッ素を歯に塗布し、自宅ケアとしてフッ素の洗口もお勧めしています。とくに夜寝る前に使用すると有用です。

歯磨き後には口を念入りにすすぐ?

(4)フッ素配合歯磨きのあとは口をよくすすいで、うがいも習慣にしています。

江上医師:NGです。(3)でお話ししたフッ素は口の中にとどまっているほうがむし歯予防になります。そのため、歯磨き後のすすぎは、ほんの少量の水で1回だけで十分です。何度も水ですすいだりうがいをしたりすると、口の中のフッ素を吐き出すことになるからです。

また、歯を磨く前に歯ブラシに水をつけてから歯磨き剤を乗せるのもNGです。歯磨き剤の成分が水で薄まって、効果が半減します。

適切なケア
歯磨きには水を多用しないこと。そのために、歯ブラシのヘッドには低刺激タイプの歯磨き剤を少量だけ乗せて、歯を1本ずつ丁寧に磨きましょう。

第2回で教えてもらった発泡剤(合成界面活性剤)や、今回の研磨剤や香料が多量に含まれる歯磨き剤では刺激が強すぎて、歯をていねいにブラッシングすることができない、また口臭が消えたと勘違いしやすいという指摘です。はっとすることばかりで、どれもいますぐに適切なケアに変えて実践していきたいものです。

(構成・取材・文 品川 緑/ユンブル)

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