地震や台風など自然災害が絶えることのない日本。広島県で起きた土砂災害では多くの被害者が出たことも記憶に新しい。1923年の9月1日、約10万5,000人規模の死者を出した「関東大地震」が発生しました。その被害を振り返り、いつ発生するか分からない災害への意識を高めるため、毎年9月1日は「防災の日」に制定されています。
もしものときのために、常日頃から準備しておきたいのが防災用品。とくに、女性は避難時に男性には分からない悩みを抱えがち。そうした、女性ならではのデリケートな事情にも配慮して今年7月に発売されたのが、防災キット「Girl Power Promotionレディースサバイバルキット」です。企画したのは「日本の女子力が世界を変える」をテーマに活動を展開している団体「ガール・パワー(一般社団法人日本女子力推進事業団)」。代表理事の池内ひろ美さんに、ガール・パワーの活動内容と「Girl Power Promotionレディースサバイバルキット」の内容についてお話を伺いました。
女性一人ひとりが誇りを持って生きていける社会になるように
――「ガール・パワー」の活動コンセプトについて教えてください。
池内ひろ美さん(以下、池内):女性一人ひとりが自分らしく生きていくことができる世の中を目指して、啓発活動を中心に行っています。
今まで20年間で3万人を越える方々から恋愛や夫婦間の悩みのご相談を受けてきたなかで、女性が社会でどう活躍するか以前に、一番身近な彼氏や夫に意見が言えない、主張できないという女性が多いと実感してきました。彼に対して過剰に遠慮していたり、三歩も六歩も引いておかなきゃという意識が強い方が多いんですね。それは、いわゆる「大和撫子」的なものではなく、なんとなく脅えてさえいらっしゃいます。そうではなく、女性一人ひとりが誇りを持って生きていける社会になるように、ガール・パワーではセミナーをはじめアクションを促す活動をしています。
――職場や家庭におけるジェンダーの問題というのは根深いのでしょう?
池内:日本はまだまだ男性社会ですからね。とはいえ、なんでも男女平等にというのは難しいと思います。旧来のフェミニストたちは、女性が男性と同じように権力を持つことを目標にしていましたが、結果的に男性のような女性が生まれて、とても素敵な「女らしさ」を失ってしまった方もいらっしゃいます。社会的な地位を持とうとすると、家庭を持つことが難しいという時代だったのだと思います。仕事で活躍することだけ目指して、結婚や子供を産むこと、女性であることを否定した方すらあったのは残念なことです。
――今は時代が変わって、家庭でも職場でもバランスを取りながら、それぞれの場所で自分らしく輝いている人が増えているように思います。
池内:そうですね。本来女性はもっと欲張りになっていいと思います。恋愛も結婚もして、人を愛して愛されて、子供も産めばいいし、仕事もしたかったらすればいい。欲しい物があれば全部手に入れればいいんです。そのためには、勉強もしなくてはなりませんし、お洒落にも気を配ることも必要でしょう。自分を磨いて素敵な女性になられることです。
「女性が誇りを持って生きていける社会を目指す」を、女性たちだけで進めようとしてしまうと権利主張になってしまいがちです。でも、それは権利や地位、給料の多い少ないでもないと思います。私は24歳から8年間専業主婦をしていましたが、離婚後シングルマザーとして仕事を始めました。苦労もあり、情けない気持ちも抱えましたが、その時々を楽しむということは心掛けていました。誇りを持って生きていくためには、笑顔で健康に生きていくということが前提ですからね。
防災キットは近くに置いて防災意識を高めて欲しい
――「Girl Power Promotionレディースサバイバルキット」を企画されたきっかけについて教えてください。
池内:私は1995年の阪神淡路大震災を大阪で被災しました。震源地からは遠かったものの、家具はぐちゃぐちゃに倒れ、頭を6針縫う怪我をおい、水道もガスも止まってしまいました。一時はどうなることかと思いましたが、ライフラインは半日で復旧しました。日本の国、行政の防災復旧は他国と比べて迅速な対応ができていると感じます。
地震以外でも様々な自然災害に遭い、孤立してしまった地域も、翌日には自衛隊が入って物資などを届けています。災害大国である日本において防災グッズは欠かせませんが、個人でそんなに多くを常備しておかなくてもいいと思います。なかには、1週間分30㎏の防災グッズを置いている方もいらっしゃいますが、大きくてクローゼットの奥に仕舞いっぱなしというケースも多い。それでは意味がありません。
そのため、防災キットを企画するにあたって、目につくところに置いておけることを重視しました。オフィスでもご自宅でも本棚の隅などにおいておける、お洒落なA4ケースにコンパクトに詰めています。近くに置いて防災意識を高めて欲しいという思いもあります。
――23種26品と豊富なアイテムがキッティングされています。通常の防災キットとどういったところが異なるのでしょうか?
池内:女性ならではの悩みに寄り添えるグッズを入れているところですね。水や食品など必要不可欠なものをベースにしていますが、デリケートゾーンを洗浄してくれるクリーンシャワーや布ナプキンのような肌触りの生理用ナプキン、メイクも落とせる多機能ウエットティッシュやBBクリームなど、女性にとってあると役立つものを厳選しました。また、防災キットとしては日本初のコンドームもキッティングしています。
「コンドームを持っている女の子はかっこいい」という文化を作りたい
――コンドームはどういった理由から、入れられているのでしょうか?
池内:避難所は身の安全を守るための場所ですが、女性にとってはそここそが危険な場所になってしまうケースもあります。避難所内にはいろんな人がいます。同じ地域に住んでいても、普段は関わりなく生活していた人も避難所では一緒の空間で過ごさなければならない場合もあり、嫌がらせやレイプなどが起きる可能性はゼロではありませんよね。人を疑うのではなく、自分の身は自分で守るという意思を強く持つべきだと思います。その象徴がコンドームでもあります。
災害時ではなくても、日常生活においても持っておいた方がいいと思います。とくに、日本の女性は「この人がそんなことするわけはない」というように主体を向こうに置いてしまいがちですが、被害に遭ってからでは取り返しがつきません。
また、コンドームは災害時にも活躍してくれます。日本製のコンドームは非常に性能がよく、止血や怪我をしたとき雑菌が入らないよう手袋として使えます。さらに、水も最大4リットル入れることができます。運ぶことを考えると1~2リットル程度(布でくるんで持つと割れにくい)が適当ですが、転がっているペットボトルに水を入れるよりも清潔です。
――コンドームが「お試し品」なのは、何か理由があるのでしょうか?
池内:日常生活においてコンドームは持っておいた方がいいと思っています。レイプだけではなくデートDVなどで、望まない妊娠や性感染症となる場合もあります。万一、性被害に遭ったときに女性がコンドームを持っていたために合意のうえと思われ裁判で不利な立場に置かれることもあります。そんなとき、防災キットのなかにコンドームが入っていたから、お試し品をたまたま持っていたというエクスキューズが必要です。そうした意図があって「お試し品」と書かれたものをわざわざキッティングしています。
――日本は先進国のなかで唯一エイズの患者数が増えています。外国では付き合う前のカップルが一緒にHIV検査を受けに行くということもあるようですが、日本でそこまで意識している人は多くないですよね。
池内:日本は恥の文化なので、性的なことに関わることについて正面からの発言は控えがちです。とはいえ、今は梅毒が増えていますし、エイズだけでなく、治療薬がまだないスーパー淋病も日本で発見されています。性感染症が原因で不妊となる女性も多くあります。性交渉におけるリスクをしっかり考えなくてはいけません。コンドームを持ち歩くのに抵抗がある女性も多いとは思いますが、ガール・パワーでは「コンドームを持っている女の子はかっこいい」という文化を作りたいと思っています。
「Girl Power Promotionレディースサバイバルキット」というアイテムをきっかけに、「女性が女性らしく強く生きていく」ということについて考えていただきたいと望んでいます。
★プレゼントのお知らせ★
「Girl Power Promotionレディースサバイバルキット」を読者の方1名様にプレゼントします。応募方法はコチラ