インドで女性への暴力は“日常茶飯事” 集団強姦殺人事件と酷似した「ファッション写真」に激しい非難

インドで女性への暴力は“日常茶飯事” 集団強姦殺人事件と酷似した「ファッション写真」に激しい非難

集団強姦殺人事件と酷似した作品に非難

もし、あなたがいつものように帰路につくとき、乗っていたバスの中で「複数の男に囲まれてレイプされる」ということが想像できますか?

この安全な日本ではバスの中でスリにあうことすら想像もできず、ついうたた寝してしまう人だって多いでしょう。 居眠りできるというのは、それだけ本当に平和な国だということです。

2012年に起きた暴行事件を想起させる写真

先日、インドのムンバイを拠点に活躍するカメラマン、ラージ・シェティさんがネット上で公開した写真が物議を醸しています。

「THE WRONG TURN」と題された写真の数々は一見、ファッション雑誌の写真かと思われるような美しい空間を映し出しています。ところがよく見てみると、どの写真も女性が男性に囲まれて性的暴力を受けているというシチュエーションのものなのです。

また、この写真が「バスの中の若い女性と複数の男性」であることから、2012年にインドで起きた実際の暴行事件と似ているとされ、非難を浴び、彼の公開した写真は現在削除されるに至っています。

その暴行事件とは、ニューデリーで当時23歳のスポーツ療法士の学生だった女子学生が友達と映画を観た帰り、バスの中で複数の男にレイプされた上、鉄の棒で攻撃され、後日死亡してしまったという衝撃的なものだったのです。

この事件を受けて何千人ものインド人たちが立ち上がり「インドでの女性の扱われ方」や、「この事件における警察や裁判らの無関心さ」などを非難する暴動が起きる程大きな出来事となりました。

そのおかげもあってか、以降、性的な少年犯罪の取り締まりも厳しくなり、実際に罪を犯した4人も正当に処分されました。

「私の国で実際に起きている事実を伝えたかっただけ」

ここまで大きな出来事だったが故に、ラージ・シェティさんの写真はインド人の感傷に触れてしまったのか、非難を受ける事態になってしまったのです。

ラージさん本人は、取材されたメディアでこう答えています。

「この写真のテーマは、2012年の事件を特定したものではなく、私の国で実際に起きている事実を元にして撮影したものなのです。私はインドに住むインド社会の一員としてこの事実を伝えたかっただけなのです。女性への暴行は、どの女性にでも起こりうることです。私の恋人でも、妹でも、母親にでも起こりうることなのですよ」

この美しい写真が「実際にインドで現在も起きている事実」だと知ると途端に息が詰まる思いがしてしまいます。でも、この写真は日本人である私たちにも、インドにおける女性たちの置かれる悲惨な環境と切実な恐怖をダイレクトに伝える表現の一つとも言えるのではないでしょうか。

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