2~3年前から、「◯◯プロデューサー」と名乗る女子が目立つようになりました。アパレルブランドのプロデューサーがテレビで取り上げられたり、ITベンチャーの社員がアプリの「プロデューサー」として活躍したり、今や多くの女子にとって「プロデューサー」は憧れの職種のようです。
ルーツは109のカリスマ店員
プロデューサー女子のルーツは、109のカリスマ店員です。2000年代以降、有名ギャルや読モたちが、次々と自分のブランドを立ち上げていきました。そこで使われたのが「プロデューサー」という肩書きです。
10年には『JJ』が、彼女たちを「おしゃP」と呼ぶようになりました。単におしゃれなだけではなく、デザイナーやバイヤーとして活躍する「おしゃれプロデューサー」。自分の好きなことを仕事にして、経済的にも自立している「プロデューサー」は、ギャルマインドをもつ女子の憧れになりました。
もてはやされる、ベンチャー企業の「プロデューサー女子」
ITベンチャーにも、プロデューサー女子が目立ちます。たとえばサイバーエージェントのアプリ「GIRLS UP」のプロデューサー・尾端安奈さんや、「Candy」の永山瑛子さん。彼女たちはいずれも20代で、「こんなことがしたい!」と声を上げ、新規事業のプロデューサーになりました。メディアへの露出にも積極的です。自分のやっていることや、自身のキャラが社会的に評価されること。ギャルや読モと同じように、彼女たちの仕事へのモチベーションの根底にあるのは「自己プロデュース欲」なのかもしれません。
なぜ「社長」ではなく、「プロデューサー」なの?
『小悪魔ageha』出身で、月商数億のアパレルブランド「Rady」をプロデュースする武藤静香さんは、ブログで次のように語っています。
「あたしは、社長でもなんでもない。デザイナーってポジションなの。会社の経営なんて難しそうなことは無理!」
多くのプロデューサー女子は、「社長」になりたいわけではありません。部下を従えたいわけでもありません。あくまで、自分のやりたいことを実現する「プロデューサー」でいたいのです。
ベンチャーにマッチした役職
ベンチャー企業には、「次長」「課長」といった肩書きがほとんどありません。年功序列の縦割り人事では、柔軟な組織変更がしにくいからです。その代わりとして便利なのが「プロデューサー」という役職です。社員から新規事業のアイデアが出されたら、「◯◯プロデューサー」という役職を与えて、どんどんチャレンジしてもらえばいいからです。
社員はたとえ失敗しても、「◯◯のプロデューサーを辞めました」でいい。再チャレンジの可能性が残されています。やる気のある女子にとっては、年功序列の中でいつ来るかも分からない昇進の順番を待つより、今すぐ「やりたいこと」を実現できるチャンスでしょう。
「自分の好きなことを仕事にしたい」女子と、「新しいビジネスをどんどん生み出して欲しい」ベンチャー企業。両者の思惑が一致したときに、「プロデューサー女子」が誕生するのです。男性と肩を並べてがむしゃらに働く「バリキャリ」は、もう時代遅れ。自分のやりたいことを実現し、キラキラ働くための新たなロールモデル、「プロデューサー女子」に今後も注目です。