アメリカのカジュアルブランドJ.Crewはオバマ大統領夫人が着用するなどで有名だが、このブランドが先日「XXXS」という極小サイズの展開を始め、話題になっている。
CNNキャスターやファッション・ブロガーが批判
CNNでこのニュースを伝えるキャスターは、他の出演者たちに「どうよ、これ? ありえないでしょう?」とばかりに全面否定。その意見に相違なく、出演者全員が同意しているのだ。
彼らの言い分は「こんな小さなサイズを展開して、ティーンエイジャーたちがかわいそう!」という意見で一致。
男性キャスターは「ニュースをみているガールズたち! 私には4人のティーンエイジャーの息子がいるけど、彼らはやせ細ったXXXSサイズの女性より、リアルな女性を欲しているんだ!」と強く訴える。
またアメリカのファッション・ブロガー、アブラ・ベルクさんも批判。「洋服のサイズ番号が、女性たちの繊細なエゴを侮辱するからといって、自分に合うサイズより小さめの服を買うとでも思っているのでしょうか? 女性はもっと意思の強いものでしょ? この小さいサイズの展開をするJ.Crewの決定には賛成できません」とブログで語っている。
XXXSサイズはアメリカ人向けではなく、アジア人マーケット向け
圧倒的に批判的意見が多い理由は、小さいサイズの方がお洒落であるというトレンドをいたずらに引き起こしかねないということのようだ。特に、若い女性たちが、このトレンドに強迫観念を感じて健康を害するようなダイエットをしてしまうという危険性もあるからだろう。
当のJ.Crewのミッキー・ドレクスラーCEOは、この異例のサイズ展開について今年の春のインタビューでこう語っている。
「アジア進出にあたって、アジア用のサイズを揃えるつもりだ」
そして実際に、XXXSサイズはアメリカ人向けではなく、アジア人のマーケットに合わせてスタートしたというわけだ。
CNNのニュースでも「アジア展開が理由」とはっきり伝えているにも関わらず「このサイズが存在すること自体が悪」とすら捉えられている。
実はJ.Crewは以前、日本にも進出していたのだが、2008年に撤退したという残念な経験がある。だからこそ今回のアジア再進出は力も入っており、入念なリサーチも続けられているという。
アメリカには「XXXL」というサイズが普通に売っている
筆者がアメリカに一年遊学したときに驚いたことは、「XXXL」というサイズの服が普通に売っているということ、そして本場のディズニーランドに行ったとき、太りすぎて歩けない電動椅子のアメリカ人が驚く程いたことだった。
こういう状況を知っているからこそ、アメリカ人たちの小さなサイズへの嫌悪が強いことも理解ができる。でも、自由の国アメリカではスタイルの自由が存在することも事実。小さいサイズから大きなサイズまであって当然だろうと思うし、なによりアジア人の私からしてみたら「アメリカ人たちよ、もっと批判するべき対象はあるでしょうに」とも思ってしまうのだ。