「いますぐ結婚や出産の予定はないが、将来出産で困らないようにしたい」という20代・30代の女性たちの間で、ひとつの魅力的な選択肢となっている未受精卵子の凍結保存。「健康な独身女性にも卵子凍結保存を認める」との方針が今年8月に日本生殖医学会によって出され、11月中には、年齢が40歳以上の場合は推奨しない、また、妊娠・出産の先送りは推奨しないなど、ガイドライン案が正式に決定するとのことで、ますます注目を集めています。
初期費用60万円 未婚女性には痛い出費
しかし実際に利用するとなると、現状ではかなりの費用が必要です。卵子凍結は医療保険が適用されないため、病院にもよりますが、実際に入院して全身麻酔、採卵、そして凍結までの初期費用におよそ60万円。次に、凍結した卵子の年間保管料が1個につき約1万円。年齢によって保存を推奨する数が異なり「25歳で7個以上」としているクリニックも。そして最後に、体外受精の費用として50万円以上がかかることになります。結婚後の不妊治療の費用は夫婦の預金から出ることが多いですが、卵子凍結の費用は、ほとんどの場合未婚女性のポケットマネーから出ることになります。
このように大きな投資をするわけですから、結婚・出産願望のある女性としては、将来のお相手となる未婚男性の意見も踏まえた上で決断をしたいところ。なんといっても、肝心の“受精”には精子が必要なのですから。「卵子凍結をどのように考えているのか」、都内に住む未婚男性の生の声を取材してきました。
卵子凍結のまえに知っておきたい男性の意見5タイプ
未婚女性の卵子凍結について、一度も結婚の経験がない未婚男性にインタビューを行ったところ、「ナチュラル志向・利己主義・保守派・倹約派・進歩派」と考え方が大きく5つにわかれました。そのタイプ別の主な意見は次のとおりです。
【1】ナチュラル志向タイプ
「いくら女性の社会進出や晩婚化の時代といっても、自然に逆らうのはよくないし、遺伝子に影響がでないのか疑問。不妊治療にも抵抗があるので、卵子凍結は到底理解できないし、子どもができなかったときは諦めるか、どうしても欲しいときは養子縁組をしたい」(自営業/25歳)。
【2】利己主義タイプ
「卵子凍結する女性に正直ひいてしまう。不妊治療についても、男側もしなければならないのは嫌。子どもが欲しいので若い女性と結婚するつもり」(商社勤務/33歳)。
【3】保守派タイプ
「結婚してから子どもができなければ不妊治療をしたらいいと思うので、結婚していないのにそこまでしなくてもいいと思う。ただ、不妊治療のとき卵子を凍結していたとしたらそのときは使いたい」(食品メーカー勤務/27歳)。
【4】倹約派タイプ
「人工的な不妊治療と同じで、卵子凍結は時代背景的にしかたない。ただ、費用が高額で成功するかどうかも定かではないので、それだったら早く結婚することに時間とお金を使う方がいいのでは」(マスコミ勤務/35歳)。
【5】進歩派タイプ
「僕自身が女性だったら仕事も頑張りたいので、コストをかけてでも率先して卵子凍結すると思う。ただでさえ、男女ともに仕事と家事の両立を求められている時代で、女性だけが出産時期のリミットを煽られるのは不公平。年齢を重ねたステキな女性が多くの可能性をもってくれていると嬉しい」(外資系銀行勤務/28歳)。
「卵子を凍結している女性」を3タイプが支持
さらに「結婚を考えている35歳の女性がいたとして、20代の卵子を保存しているかいないかではどちらが嬉しいか?」という質問に対しては、ナチュラル志向タイプと利己主義タイプ以外の男性が「20代の卵子を保存している女性」を選択し、「凍結保存するに越したことがない」「卵子凍結に賛成する」という結果に。
ただ、結婚・出産願望のある女性が、せっかく高い費用をかけて卵子凍結したとしても、お相手となる男性の主義によっては宝の持ち腐れとなってしまうことがあるのも事実。
それを考えると、資金はお見合いやエステなどの“婚活資金”に充ててできるだけ若いうちに結婚することを最優先し、妊娠が難しかったときの選択肢として卵子凍結を考えるのが、現実的で賢明な選択なのかもしれません。