もしあの女性(ひと)がオフィスにいたら…? 第2回

“次世代エース”欅坂・平手ちゃん型後輩には見守り力で対応

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“次世代エース”欅坂・平手ちゃん型後輩には見守り力で対応

「もしあの女性がオフィスにいたら?」
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話題のあの女性なら、オフィスでのトラブルをどう切り抜けるだろう。現実にはありえないシチュエーションを、妄想してみたい。

今回、コラムニストの河崎環(かわさき・たまき)さんに取り上げていただくのは、欅坂46の平手友梨奈(ひらて・ゆりな)さん。どこまでもストイックに仕事に打ち込む大型新人が現れた時、先輩の私たちが取るべき行動とは……?

黒船がやって来た!?……けど

化粧室で、この春入社したばかりの新人が泣いているのに出くわしたら、どうしましょうか。しかもその子が、「すっごい新人がやって来た」と入社早々に噂になっていた、その当人だとしたら。

年次が上の社員たちからは陰で「黒船」と呼ばれている彼女。今回想像するのは……欅坂46のセンター、平手友梨奈ちゃん。欅坂46は、秋元康さんプロデュースのアイドルグループの中でも「坂道シリーズ」と呼ばれる乃木坂46に次いで結成。2016年3月に「大人たちに支配されるな」と歌う『サイレントマジョリティー』をひっさげてデビューしました。それからたった8ヶ月で紅白歌合戦に出場、これまでわずか1年ほどの活動ながらリリースしたシングル曲は4曲全てオリコン首位を獲得するなど、世間の話題をさらってきました。

彼女たちは「反体制派アイドル」として、従来のアイドルのイメージを覆すような過剰に演出された可愛さや笑顔の安売りを封印。強いメッセージ性を持つ楽曲と、鋭く叩きつけるようなダンス、硬質で透明なMVを特徴とし、反抗期の渦中にいる荒々しさの中に閃光のように走る絶対的な少女美を巧みに表現して、男性ファンだけでなく女性ファンからも熱烈な支持を受けています。

その中で「笑わないセンター」「媚びないセンター」として、少し乱れたショートボブのパッツリと断たれた前髪の下から強い目力で画面の向こう側の私たちを射るのが、前述の平手友梨奈ちゃん。グループ最年少の14歳(結成当時)でセンターとなり、そのクールで絶対的な美少女ぶりは「山口百恵の再来」と言われました。グループの少女たちの中でもただ一人、見る者に強い印象を残す圧倒的な異次元感を放っています。

優秀、でも人間関係に不器用……上司に「生意気」と怒鳴りつけられる

さて、彼女がオフィスにいたら……。仕事のできる先輩や上司たちからは「今年の新人の中でもダントツ」と一目置かれる、あなたのオフィスの友梨奈ちゃん。でも決して同調圧力に自分を委ねることのない彼女は、高い意識でストイックに仕事に打ち込みます。そのせいで、協調性に欠けると思われたり、周りの嫉妬も買いやすい面もあるでしょう。かつての「腰掛け志向」ほどではないにせよ、それほど仕事に打ち込もうと思っていない冷めた同期からは「なんであんなに頑張るわけ?」のキツい声も。

まだ絶滅していない男尊女卑系の上司ウケも最悪。「おいおい、今年の新人はどうなってんのぉ〜?」とネチネチとした嫌味も日常茶飯事。それでも媚びない姿勢を貫くので、上司には生意気との印象を持たれがちで……。

そしてあなたは見てしまうのです。彼女の涙を。

「トガってんなぁ、正義ふりかざすと組織ではやっていけないよ。妥協を知りなさい、妥協を!」と、仕事でピリピリしていた上司の逆鱗に触れてしまった友梨奈ちゃんですが、正義を手放して妥協するなんて、彼女にとってはそれこそ一番つらい。

泣いちゃダメだという心の声が聞こえてきそうなほど、泣くのをこらえようと化粧室で懸命に唇を噛み締めている友梨奈ちゃんに声をかけると、「大丈夫です」と必死に大人らしい言葉を返してくる。こんな時にまで優秀でなくてもいいのに、素直に泣いてしまえばいいのに……。

できる、でも正義感の強すぎる新人女子をどう導くか?

才能はあるが愛想はない、弱音を吐かない、仕事を与えたら期待以上のレベルで必ず打ち返してくる、真面目な女子社員。現代のそういう優秀な「平手友梨奈型人材」の女子を時折見かけますね。本当はちゃんと笑える子のはずだけれど、その子が今目の前でつまずいている。先輩の私としては、どうしてあげればいいのだろう?

「できるやつだから、ほっといても大丈夫」というのは思い込み。自分にも新人時代があったと思い出し、自分はその頃どうして欲しかっただろうと考えてみてください。“先輩”って、もちろん頼りになる存在だけれど、その中途半端な年齢差が逆にコミュニケーションを難しくもしてしまうことはありませんでしたか?

大人と戦う友梨奈ちゃんは、実は自分も大人志向だからこそ対等に戦おうとするわけで、合わせようとしている目線が高い。いっそすごく年上だったなら、友梨奈ちゃんタイプはむしろ素直にアドバイスを聞けるのかもしれません。

ここでは適切な距離を保ち、“導かない先輩”となりましょう。背中は見せるけど手は引かずに見守る。「辛ければいつでも頼って」「手はかけないけどいつも見てるよ」とのメッセージが伝われば、味方がいるとわかった平手友梨奈型人材には、それだけでエネルギーとなります。

世間には、「頑張ってるね」と努力の過程を褒められて喜ぶ人と、「よくできたね」と結果を褒められて喜ぶ人がいますが、平手友梨奈型人材は「結果が出て初めて努力に意味がある」と考えるストイックなリアリスト。先輩としては、彼女が努力している過程では余計なことを言わず、口を出すのは最後の最後。全部が終わってから「頑張ったね」と評価してあげると、平手友梨奈型人材は一番報われたと感じてくれるでしょう。

協調性は「ソフトな男子に教えてもらう」のもあり

また、孤高の天才になりがちな平手友梨奈型人材に周りとうまく折り合う力をつけてもらうには、女子の中で揉むのではなく「男子力」を投入! 友達も多くリーダーシップがあり、人間関係のバランス感覚に富むけれど女子への理解はまだちょっと青いくらいのリア充男子とバディを組ませると、とても相性がいいのです。

カタい女子と柔らかい男子、そういう二人の凸凹は性別が違うからこそ非常によく機能します。男子が提供するのは「協調するための方法論」、女子は「主張し、切り開く方法論」。もともと向上心のある二人、お互いにないものを相手から学び、いい刺激となるでしょう。

すると、平手友梨奈型人材の彼女は、2、3年目から自分と同じような優秀だけどトガった女子を育て、いい先輩に、やがてはいい女性管理職となっていく素地ができるかもしれません。ロールモデルといった考え方から、つい女子の教育は先輩女子にと思いがちなのは固定した先入観。志のある女子は、女子からも男子から多くを学ぶアンテナを持っていますし、それが本当の多様性に富む「コーエド(共学)」社会での人材育成なのですよね。

(河崎 環)

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あの女性(ひと)なら、頭の固い上司にガツンと言ってくれたり、優しく悩み相談に乗ってくれたり、時にはライバルとして切磋琢磨しあったりするのかも。ワクワクするような想像を、コラムニストの河崎環さんが鋭い視点で分析していく連載エッセイ。

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