自信に満ちあふれた笑顔の女性は、3人の子供を持つオーストラリア人のターリン・ブラムフィットさん(35)。健康的でふくよかな体が印象的だ。この丸みを帯びた体型からは想像できないが、実は彼女、コンテストに出場するようなムキムキの元ボディービルダー。いわゆるパーフェクト・ボディーの持ち主だった。しかし、あることがきっかけでその完璧な体型を手放し「ムキムキ」から「ぽっちゃり」という逆ビフォー・アフターを経験した、とてもユニークな女性。そして、それを見た多くの人々が彼女の変化に勇気をもらった、と話題になっている。
3人目の子を出産後、自慢の体を捨て、心が楽に
2012年までボディービルダーだったターリンさん。「セルライト」や「たるみ」といった言葉とは全く無縁の生活をしていた。しかし3人目の子供を出産した直後から彼女の体型が徐々に崩れ始める。お腹や胸のたるみが気になるようになったのだ。これはボディービルダーとしては致命的。整形まで考えた。しかし常に“完璧な体”を求められることに疲れきったターリンさんは、ついに自慢の体を捨てることを決意。するとなぜか心が楽になり、今まで不満だらけだった体が「全部“元通り”」になったのだそうだ。
「ぽっちゃり」の写真に多数の称賛
そうして彼女は、徐々に女性らしいふくよかな体型へとトランスフォームして行った。多くの女性が「ぽっちゃり」から「スリム」になりたいと思っている社会で、全く真逆の変化を遂げた彼女は、その結果にとても満足しているのだと言う。そしてその変化をFacebookに投稿したところ、2週間で300万人以上のアクセスと2万を超えるシェアがあった。
「多くの人達がわたしの“アフター”の写真に称賛を送ってくれています。しかし同時に、多くの方々から『肥満を助長する』とお叱りの言葉も頂いています。『子供に悪影響だ』と言う人もいます。世界全体が(美のスタンダードに)洗脳されているんです!」と彼女は語る。
誰かと比べず、自分の体を愛すること
そんな洗脳された女性たちについて「常に手の届かない理想と比べられて判断されていると感じている女性は、本当の自分を押さえつけられ、日々ありのままの自分では不十分だと信じ込ませられています」とターリンさんは語る。
確かに、社会が持つ美の基準の呪縛から逃れられず、常に誰かと比べたり、完璧かどうかを気にしたりしながら生活している女性は多い。そしてビフォー・アフターを含め、女性に関わる様々なものが“完璧の美”にどれだけ近づいたかで計られているのも現実だ。しかしその「アフター」で、女性が手に入れなければならない美しさとはいったい何なのであろうか。
“パーフェクト・ボディー”だったにも関わらず、自分の体を愛せなかったターリンさん。彼女がそれを手放し、美しくそしてさらにハッピーになったというこのストーリーは、“完璧の美”がいかに幻想で作られたものかを訴えている。現在ターリンさんはボディーイメージの活動家として、女性たちに自分の体を愛することを伝えているそうだ。今後彼女の活動を通して、一人でも多くの女性たちが自らの体を愛せるようになることを願う。