今年で80歳になる筆者の祖母が以前教えてくれた話がある。彼女がまだ若い10代の頃、たまたま隣の家を訪ねた祖父が祖母を見かけ一目惚れしたというのだ。こう聞くだけだとロマンチックな昔話に聞こえるが、祖母の本音は違った。「私は別に好きな人がいた。それに『映画を観に行こう』って誘ってくれる男性は何人もいたのに……」彼女の意思とは関係なく、その後祖父が祖母の父親に一方的に結婚を申し込み、父親は一つ返事でOKし、結婚とあいなったのだ。
時代は変わり、女性から逆プロポーズをするテレビタレントも出現し、さらには2度、3度と結婚を繰りかえすことも珍しくない。誰かが決めてくれる結婚でなく、自分たちで結婚を決める恋愛至上の現代、これだけ時代が変化しても、やはりまだまだプロポーズに関しては男性からするものという常識のようなものがある。
75%のアメリカ人が女性からのプロポーズは「あり」
AP通信によると、アメリカで行われたアンケートで「女性からのプロポーズはありだと思う」とい答えた人は約75%に達したという。ただし、アメリカでここ10年間の間で女性からプロポーズをしたというケースは増えているわけではないようだ。
結婚しているカップルの83%が男性からのプロポーズだったという。女性から男性にプロポーズしたのは全体の5%に過ぎなかった。
意外なことに、若い世代は、女性からのプロポーズをよく思ってないという結果が出た。30代以下の若年層で「女性からのプロポーズを支持する」と答えたのは約67%。つまり、アメリカ人全体の賛成派に比べると若年層の支持率が少ない結果になる。
ブリトニー・スピアーズなど有名人が、女性からプロポーズをすることはあっても、一般的には、いまだに男性からひざまずいて求婚されたいと願う女性が少なくないようだ。
昔のアメリカでは独身女性を笑いのネタにしていた
アメリカ・ニュージャージー州にあるモンマス大学の歴史学者、キャサリン・パーキンが女性からのプロポーズに関わる歴史的記録を見つけたという。それは1900年頃に発売されていたポストカードに書かれていた文章で「4年に一度の閏年に、女性からのプロポーズが許される」というもの。
パーキン氏は「この記録によると、本当に女性にプロポーズの権利が事実あったわけではなく、あくまで妙齢になってもまだ結婚していない女性をバカにする冗談のようなものだった」と指摘する。
100年前のアメリカは妙齢で未婚の女性にとって、とてつもなく意地悪で絶望的ないじめ目線があった記録といえよう。
もはや女性からのプロポーズも当たり前に!?
100年以上経った今、妊娠をすることで結婚に追い込むという荒技を使う日本人女性が後を断たないのも事実。それが良い悪いではないけれど、まだまだ「プロポーズは男性の独占物」という常識のようなものをはびこらせているのには、いつまでたっても自分からプロポーズをしない女性にも責任があるのかもしれない。
もう、男性が稼いで来たお金だけで生きるということが難しくなってきている現代では、主導権が男性にあるわけではないと思う。将来を一緒に生きる相手を選ぶという重要な決断は、話し合って決めるもの。女性からそのキッカケを作るのは当然の状況になってきているのかもしれない。