ウディ・アレン監督の新作『ブルージャスミン』は、NY社交界の華だったヒロイン、ジャスミン(ケイト・ブランシェット)が、財産を失い転落しながらもセレブ界にしがみつく姿を描いた映画です。そういえば、転落セレブ、日本にもいますね。離婚問題が持ち上がった堂珍敦子、清原亜希、ドロドロ離婚した上原さくらなどは絵に描いたようなセレブ転落組でした。ではなぜあんなに幸福だったのに、落ちてしまったのか……。『ブルージャスミン』のヒロインとともに、セレブの闇を解き明かしましょう!
成り上がりセレブ男には要注意!
『ブルージャスミン』のヒロインの夫は大富豪ですが、成り上がり系です。投資詐欺で捕まって財産を没収されてしまい、夫頼みの生活をしていたジャスミンは転落してしまうのです。ネットや投資で稼ぐお金は、危ない橋を渡りがちなのかもしれません。ほら与沢翼だって、ホリエモンだってそうだったでしょう。でも、贅沢な生活をすればするほど、転落後は惨めで苦しみます。ジャスミンだって現実を受け入れられなくて精神安定剤とお酒が離せなくなりますからね。
ブランド品を失ったら自分には何も残らない!
ジャスミンはNYからサンフランシスコの妹の家に行く際、お金がないのに飛行機はファーストクラス、着ている服はシャネルのスーツ、旅行トランクはヴィトン! 飛行機のお金、いったい誰が払うんだ? と、心配になってしまいましたよ。お金がないならハイブランドの所持品を売ればいいと思うでしょう。でもジャスミンは手放さないのです。なぜなら、ブランドアイテムこそが彼女のアイデンティティだから。それを失ったら自分には何も残らないことがジャスミンにはわかっているのです。実際、彼女は仕事できないし、アタフタするだけで、セレブ生活を取り戻す強さもありません。ジャスミンも紗栄子くらい図太かったらドン底まで落ちることはなかったかもしれないのですけどねえ。
セレブ生活を維持する嘘の上塗り
セレブじゃないのにセレブの振りをするのは、その世界に憧れる人がやりがちなことです。あの結婚詐欺殺人事件の木嶋佳苗がそうでしたよね。セレブ気取りのブログで嘘ばかりついていましたから。ジャスミンは「何もかもがイヤ!」となったとき、エリート外交官と出逢い、自分はインテリアデザイナーで、夫は外科医だったけど心臓発作で死んだと嘘をつくのです。まさに木嶋佳苗的な発想! そして、その嘘が白日の下にさらされてしまうとき、彼女は壊れてしまうのです。
みんなにチヤホヤされ、贅沢を謳歌するセレブリティ。でもその実態はまさにバブルで、つかみどころのない泡なのです。セレブになりたいのなら、自らの力で成功を掴んだ方が揺るぎない地位を得られるはず。映画『ブルージャスミン』は、アラサー女子の反面教師的映画かもしれません。玉の輿は時に女をダメにする……。セレブ生活は決して幸福とは限らないのです。
●『ブルージャスミン』(公開中)
新宿ピカデリー、Bunkamuraル・シネマほか全国ロードショー