「女子会やめた。」第4回 姫乃たまさん

「地下アイドルは自分の欲望を叶える職業」 姫乃たまに聞く、アイドルたる理由

「地下アイドルは自分の欲望を叶える職業」 姫乃たまに聞く、アイドルたる理由

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第4回のゲストは、地下アイドルの姫乃たまさん。

自身初の単著本『潜行~地下アイドルの人に言えない生活』(サイゾー)が話題を呼び、多くのメディアでライターとしても執筆活動をしています。事務所に所属せずに、ライブや物販もセルフプロデュースしている彼女。最近はライブパフォーマンスだけでなく、みずからバーカウンターに入ってお酒を振舞うイベントを開催しています。

ウートピで連載『アイドル女塾』も担当している生粋のアイドルファン・小沢あやが、現役アイドルについて疑問をぶつけてきました。

地下アイドルになったきっかけ

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小沢あや(以下、小沢):姫乃さんが地下アイドルになったきっかけは?

姫乃たまさん(以下、姫乃):私はアイドルが好きだったわけではなくて、人に誘われてなったんです。いつの間にか8年目です。地下アイドルって、”3年引退説”があるんですよ。若い子は、進学とか就職とか、私生活の転機で辞めちゃう。2年いるとベテランの世界なのですが、私は鳴かず飛ばずで8年やってるので化石みたいなものです(笑)。

小沢:大ベテラン! アイドルとファンの関係って、ネガティブな書き方ばかりされてしまうことが多いですよね。そこに憤りを感じていて、今回は姫乃さんと楽しい部分を語り合いたいなと。

姫乃:一時期は本当につらかったです。取材を受けても、なぜか「地下アイドルのファンは危険」っていう方向になってしまうことが多くて。自分のファンの人たちを悪く書かれるのもイヤだし、ファンの人がナーバスになってしまったり。急に辞めちゃうアイドルもいましたね。

護身教室に通うファンも……

小沢:「距離が近いから危険」とか言われますけれど、保護者目線のファンもいたり。ファンの方は、意外と紳士な人が多い印象です。

姫乃:みなさん気を遣ってくれますね。前に「少し前に本当に好きになっちゃったけど、もう落ち着いたから安心してね」って、事後告白をされたことがありました。気持ちが解決してから報告(笑)。ファンの人は、どこかできちんと線引きしてくれるんですよね。我慢強すぎて心配にもなるけれど、ありがたいです。

小沢:意外とがっつく人ばかりでもないんですよね。

姫乃:はい。何も声をかけずに帰ってしまう人もいますもん。こちらが「あの人、ちゃんと楽しめたかな?」って心配になることがあるくらいです。あとは、「何かあった時のために」って護身教室に通ってくれているファンの方もいました。

小沢:それはすごい! 握手会をのぞいたことがあるんですけど、ファンの方が制限時間毎にちゃんと入れ替わって、自治的に列を作っているのには驚きました。

姫乃:意外とホモソーシャルな社会なんですよねー。ファン同士の結束が強いから、抜け駆けをして踏み込んでくるような人はいないですね。私本人より、ライブの後の飲み会が楽しみのメインになっている人もいます。「ファンみんなが運営スタッフ」という空気もありますね。

小沢:ライブ現場は、温かいですよね。本人にアピールしたいというよりは、「あなたはみんなに愛されているアイドルだよ」って実感させてあげたい、っていう思いも強いんじゃないかなって思います。誕生日には、有志が客席でペンライトを配っていたりとか。

姫乃:そうなんです。地下アイドルとして取材を受けると、「ファンの人で怖い思いをしたんでしょ」っていうコメントを求められることが今までたくさんあったんですけど、ライブに来てもらえば、その誤解はとけるなって思いますね。

売れるアイドルの秘訣とは?

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小沢:以前、ライブを後ろで見ていたら「女の子が前にいると、XXちゃんが喜ぶから前に行ってあげてください」とか「初めての人にぜひ、前で見てほしい」って、最前列に押し出されたことが何回かありました。

姫乃:いい話(笑)。みなさん、優しいですよね。アイドルファンの宣伝力って、すごいんですよ。私のライブで、いつもチェキをたくさん撮っている人がいるんです。その人がライブがない日に「1日1姫乃たま」って、twitterで宣伝してくれて。

小沢:マネージャーみたいですね! 

姫乃:売れる地下アイドルの条件を「ネタPOSTができるファンがいる」「文章の書けるファンがいる」「写真と動画が撮れるファンがいる」の3つだとツイートしている人がいて鋭いと思いました。たしかにこれを備えている子は、ポーンとブレイクしていきますね。私は自己主張が弱くて、似た者同士なのかファンの人も大人しいんです。姫乃勢力、弱い(笑)。でも、自分が無理をすると、無理したキャラクターに対してファンがついちゃうから、あとがつらくなっちゃう。

小沢:姫乃さんは、なぜ事務所に所属していないんですか? 引く手あまただと思うんですけども。

姫乃:地下アイドルの事務所って、登記してなかったり、元々アイドルファンだった人が運営していたりすることが多いんです。資金もないし、ドーンと広告出稿してくれるわけじゃないから、マージンを払うよりも自分で頑張った方がギャラがいいんじゃないかなって高校生の時に思ったんです。お金の流れを自分が把握できるので、勉強になります。やることがたくさんあるので、表に立つ時間より、連絡とか調整作業をしている時間の方が長いですね。まあ、あの……誰にも誘ってもらえないというのもありますが……。

ライターを始めたきっかけは?

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小沢:ライターとして活動を始めたのは?

姫乃:私のライブに来てくれた雑誌の編集さんがいて、コラムを書かせてもらえることになったんです。きっかけは、エロ本でしたね。当時10代だったから、私はその雑誌読めなかったんですよ。寄稿しているのに、18禁だから(笑)。その雑誌も休刊になってしまって。

その後はブログからですね。私もアイドルだから最初、ブログもアメブロでやっていたんです。アメブロって基本的に、自撮りが多くて、文字少なくて、改行いっぱい……っていうスタイルがウケるんですよ。私は長い文章を書いていたから、あまり読まれなくって。それで、別のブログサービスを使ってみたら、いきなりバズったんです。

小沢:Webサービスの使い分けもカギだったんですね。

姫乃:同じ文章を貼り付けただけだったから、びっくりしましたね。それで、ブログを読んでくれた関係者の方から、いろいろお仕事をいただくようになりました。

地下アイドルって基本的には、自分の欲望を叶える職業なんですよ。「愛されたい」とか「昔自分をいじめていた人を見返したい」とか。とにかく、自己主張が大事。私はもともと成り上がり精神がないんですけど、さらにライターとして活動していると物事を俯瞰して見ちゃうので、アイドルらしさがなくなっていくのが悩みなんです。

小沢
:アイドルがアイドルになる理由は、そういうところにもあるんですね。

姫乃:女優になりたいとか、声優になりたいっていう子も多いですね。でも最近は「もう後がない!」ってアイドル業界に飛び込んでくる子もいます。「人前に立って歌って踊る機会なんて、もうラストチャンスだ」って、20代後半でいきなり地下アイドルになろうと思うみたいなんです。そういう人は自己プロデュース能力もガッツもありますね。

小沢:姫乃さんの、地下アイドルの先のキャリアプランは? 

姫乃:子どもができたらさすがに難しいかもしれないですけど、結婚しながらアイドルしている人もいますからね。私は決めていないけど、できるだけ長く地下アイドルをやっていきたいと思っています。あとは小説を書きたいです。

おまけ:気になる! 地下アイドルのポーチの中身拝見

「祖母にもらったものや、なんのブランドかわからない安いもの(そもそもロゴが剥げてる!)で構成されています。女子力……。」(姫乃)

「祖母にもらったものや、なんのブランドかわからない安いもの(そもそもロゴが剥げてる!)で構成されています。女子力……。」(姫乃)

オールナイトのイベントに出演した翌日、待ち合わせ場所にスッピンで駆けつけてくれた姫乃さん。アイドルとして顔を作るより、社会人として時間を守ることを優先する姿勢に感動しました(走らせてしまって、申し訳ない!)。対談後、写真撮影のためにパパッと手早くメイク。いい機会だったので、ポーチを撮影させていただきました。素肌が綺麗なので、最小限のアイテムでばっちり。ブランドにはこだわらないとのこと。

■店舗情報
都夏 下北沢店
住所:東京都世田谷区代沢5-29-16
最寄り駅: 小田急線下北沢駅
営業時間:
月~土 17:00~23:00(L.O.23:00)
日 12:00~23:00(L.O.23:00)
定休日:なし
電話番号:03-3410-8237

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